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国、基金設置明言せず 特措法解釈めぐり紛糾

(2010年7月29日付)

 本県の口蹄疫問題を集中審議する衆院農林水産委員会が28日開かれ、口蹄疫対策特別措置法に盛り込まれている地域経済再建のための基金について、設置の有無をただす質問が相次いだ。

 山田正彦農相は「設置を(政府に)お願いする」と前向きな意向を示したものの、古川元久内閣官房副長官は「基金設置を含めて対応を検討する」として、国は基金を設置しない可能性も示唆した。

 委員会では、質問に立った7議員のうち道休誠一郎(民主、比例九州)、江藤拓(自民、宮崎2区)議員を含む5議員が「県が復興策を講じようにも基金があるとないでは大きく状況が変わる」などと、国に基金設置を求める質問が相次いだ。

 山田農相は「基金設置は特措法に例示しているが、本当に設置できるかどうかは県からの要望を丁寧に聞き、内閣全体で検討する」と支援策の一例との認識を示した。政府の口蹄疫対策本部副本部長の仙谷由人官房長官を補佐する古川氏は「各省がさまざまな支援を検討している」と述べるにとどまった。

 これに対し、野党議員が「条文は基金を設置し、さらに必要な措置を講じるという意味だ」などと質問を重ねると、山田農相は「『基金その他の措置』をどう解釈するかだが、農相の立場では設置をお願いしたい」と一歩踏み込んで答弁。しかし、古川氏は「県の要望を踏まえ、基金設置を含めて対応を検討する」との姿勢を崩さなかった。

 委員会は古川氏の答弁に納得しない野党議員の反発で一時中断する場面もあったが、条文の解釈を近く協議することでまとまった。

 基金について、特措法23条は「地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、(国や地方自治体が)これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置、その他の必要な措置を講ずるものとする」としている。