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【連載企画】教えて!現場から子どもたちへ(3)

(2010年7月30日付)

【テーマ】楽しみだったお祭りが延期・中止になって残念でした

■復興へイベント再開 (祭り運営者・渡辺憲弘さん/宮崎市)


 新聞やテレビで報道されているように、口蹄疫ウイルスは人や車が運ぶなどして牛や豚にうつることがあります。このため、感染が広がるのを防ごうと、たくさんの人たちが集まる動物園やプールが閉鎖になったり、お祭りなどの楽しいイベントが延期、中止になったりしましたね。

 私は、「まつりえれこっちゃみやざき」振興会事務局事業推進委員長をしています。宮崎市中心街で毎年開いているこの祭りも、2日間で21万〜23万人もの大勢の人々が遊びに来るので、どうしても開催の時期を遅らせる必要がありました。

 また、屋外は、屋内のような出入り口がなく、どこから人が来るのか分からないので、一人一人に消毒を呼び掛けるのが難しいという理由もあります。

 こういったイベントは、感染の広がりを防ぐためだけに延期、中止したのではないと思います。苦しむ畜産農家の気持ちを考えると、お祭りを開く雰囲気にはなれません。楽しみにしていた子どもたちのことを思うと、とてもつらかったけれども…。

 今、いつもよりも町に元気がないと思いませんか?

 それは、感染拡大防止のために必要以上には人が出歩かなくなって、買い物客、県外から訪れる観光客も少なくなっていたからです。また、人を呼び込むことで、地域に元気を与えるお祭りなどのさまざまなイベントが減っているというのも、原因の一つです。

 多くの人が外出し、商店街などでお金を使うことにより、私たちの町は成り立っています。その回数が減って、商売をしている人たちの生活も苦しい。口蹄疫被害は畜産農家以外にも広がり、気分的にも県全体が落ち込んでいるよう。「口蹄疫発生↓人が外に出ない・イベントができない↓町に活気がなくなる↓商売ができない↓生活に苦しむ人が増える」という、悪い流れになっているのです。

 でも、安心してください。みんながお祭りや、遠足、修学旅行などの学校行事を我慢してくれたおかげもあって、口蹄疫は終息に向かいつつあるようです。このままいけば、みんなのためにも、町の復興のためにも、今までできなかった魅力的なイベントをどんどん開いていけます。

 31日〜8月1日に予定していた「えれこっちゃ」は中止ではなく、9月11、12日に延期して開きますよ。

 もう夏休みが始まりましたね。外で遊びたい気持ちをぐっと我慢して、家で早めに宿題を終わらせた時と同じような気持ちになってみてください。これからは、楽しみが待っていますよ。思う存分に遊んでほしいです。

【写真】「がんばろう宮崎!」の横断幕が掲げられた宮崎市の商店街で、「地域のイベントが街の復興への起爆剤になる」と話す渡辺さん

 わたなべ・のりひろ 1975(昭和50)年、宮崎市生まれ。宮崎産業経営大卒。同市の印刷会社役員。宮崎青年会議所まつり創造委員会委員長、まつりえれこっちゃみやざき振興会事務局事業推進委員長を兼任する。