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独自基金300億円規模 県、国へ緊急要望

(2010年7月30日付)

 県は29日、口蹄疫復興に関する国への緊急要望を取りまとめ、発表した。県が独自の設置を検討している基金は300億円規模と設定。県財政が厳しいため、基本的に国による全額財政支援を希望している。また、感染が集中している西都・児湯地域への「復興特区」創設、国の防疫体制の見直しなども要望。東国原知事は「危機的な本県の財政状況では、国の全面的な支援なくして復興を成し遂げることは到底不可能」として、政府に実現を強く求めた。31日に民主党県連に伝え、8月上旬にも政府へ直接要望する。

 県総合政策課によると、緊急要望は畜産農家や関連事業者への支援、本県のイメージアップと宮崎ブランド回復への支援など八つの柱で構成し、具体策39項目が並ぶ。

 県の独自基金300億円は、3年間かけて必要な事業に全額充てる「取り崩し型」。具体的な使い道では、繁殖牛や肥育牛の買い支え、種牛や種豚の育成支援、新設する「県内一斉消毒の日」の運用などを挙げている。

 300億円の根拠について県は「必要な事業を積み上げた結果」としており、今後さらに上積みが必要なケースも想定しているという。ただ、県は4月以降、総額592億円もの口蹄疫対策費を計上。「貯金」に当たる財政調整積立金を約67億円取り崩し、財政は逼迫(ひっぱく)。このため基金全額を国に支援してもらいたい考え。

 これとは別に、口蹄疫対策特別措置法第23条に基づく基金の設置について、国は28日の衆院農林水産委員会で「(復興対策について)基金設置を含めて対応を検討する」として、基金を設置しない可能性も示唆。今後、県独自の基金と、国が検討している基金について調整が必要となりそうだ。

 このほか、国直轄事業で、感染が集中した西都・児湯地域を復興特区に指定し、国庫補助事業の補助率のかさ上げや優先採択などに取り組むよう要望。

 防疫体制の見直しでは、ウイルスの侵入経路について「国家防疫の観点から、国の責任において解明すること」と訴える。口蹄疫対策や復興対策で生じる地方負担は、全額を特別交付税で措置するよう求めている。

◇県の口蹄疫復興に対する緊急要望のポイント
・県が創設する300億円規模の基金への全面的な財政支援
・西都児湯地域に「復興特区」創設
・ウイルス侵入経路の解明と国の防疫体制見直し
・繁殖牛や肥育牛の買い支え・種雄牛、種豚の育成支援
・地方負担は全額特別交付税措置