宵越しの銭は持たぬ
「江戸っ子は宵越(よいご)しの銭は持たぬ」という言葉があります。
稼いだ金はその日のうちに使ってしまうという意味で、江戸の男の気っ風(きっぷ。心意気)を表した言葉です。
この言葉を悪い意味に解釈する場合もありますが、明日を心配してケチケチお金を貯めないという気性には、どこか心惹かれるものを感じないでしょうか?
ある、「いい男」で通っている有名人が、「50歳にもなって貯金は百万円もない」ことを、別に恥ずかしいことでもないように言っていたのですが、子供だった私にもそれが印象的だったと見えて、いまだ憶えています。
私が崇拝する、元キックボクサーで、今も武道家である沢村忠(本名:白羽秀樹)さんも、宵越しの銭は持たない男で、収入も凄かったが、それを仲間と楽しく過ごすのに豪快に使ったと伝記に書かれています。
ただ、浪費が良いと言っているのではありません。
潜在意識の法則の教師であるジョセフ・マーフィーは、子供にアルバイトをさせることを勧めていました。苦労もせずに得た金は、つまらないことに使ってしまい、それが人生を台無しにする悪しき習慣になるからです。「おこづかい」を正しく使うよう子供に指導することは難しいのですが、ちゃんと働いて得たお金の場合は、それは易しいのです。だから、たとえおこづかいでも、何らかの仕事の報酬として与えることが絶対に必要です。
ちょっと話を変えましょう。
ジョセフ・マーフィーが、潜在意識を活用してお金を得るうまい方法として紹介しているものに、現在、すでに大金を持っていると思って、それをどう使うか考えるというものがあります。
例えば、1億円としましょう。
ところが、「1億円あったら何に使う?」と聞くと、「貯金する」と答える人が非常に多いのです。絶対に1億円持つことが無いばかりか、あらゆる意味で豊かになることもない人達です。
また、「ポルシェを買って、ブランドものの服やカバン・・・・」と空想する人も多いです。これこそ、まさに虚しい空想です。本当にポルシェが好きで、迷うことなく「ポルシェを買う」と言うなら、非常に良いことですが、「格好が良いから」「自慢できるから」という理由で欲しがる人は、買えないででしょうし、買えたらむしろ不幸です。
ではとばかりに、素晴らしい使い道を考えたとしても、それにリアリティが全くなく、灰色に感じることもよくあります。つまるところ、その人に1億円を持つ器量が無いのです。
マーフィーのこの教えは、富を得る優れた方法であると同時に、自分を認識する方法でもあるのです。
1億円では歯が立たないなら、自分で活用できる範囲で最大限の金額を設定するのが良いと思います。10万円という場合もあると思います。誰だって、最初は10万円の器量もありません。
人気のある優秀な男性ニュース・キャスターが、「50歳までは、入ってくるお金は全て使っていた。しかし、50を過ぎてからは、一部は残しておくようになった」と、自己の成長を語ったことがありました。
しかし、ちょっと修正させていただきたい。正しくは、「50歳まではお金を浪費していた。しかし、50歳からは、かなりお金をちゃんと使えるようになった」ということと思います。
無駄なことに使わなければ、適度にお金は貯まります。しかし、お金を無駄に退蔵(使わずに保持する)、死蔵(活用せずに無駄にしまっておく)してはいけない。それは、必要な金は、いつでも入ってくることを信じていないことになり、実際にそういうことになりかねません。ケチケチ貯めたお金は、不本意なことで無くしたり、騙し取られることもよくあるものです。
ビル・ゲイツは、数百億ドル(数兆円)という資産を有しますが、それを見事に活用しています。それでいながら、現金はそんなに持っている訳ではなく、生活は実に質素です。現在は立場上、難しいかもしれませんが、スニーカーを履き、日本製の車を自分で運転し、大衆食堂で食事をし、飛行機はエコノミーに乗りました。私は昔からゲイツマニアですが、本当に楽しい男であると思います。
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Comments
周りの人の金の使い方を見ると、ギャンブルで浪費したり欲しくもないゴルフクラブを付き合いのために買ったりしています。そのくせにいつも金が無い金が無いとこぼしていて救いようのなさを感じます。
それもこれも自分にとってなにが大切なのか、なにが必要なのかが見えていないからなんでしょうね。
そんな私が欲しいものは金だけでは手に入らないものばかりですが、彼らには到底理解してもらえなさそうです。
Posted by: あき | 2010.07.29 at 12:56 AM