アメリカ陸軍は、去年1年間の兵士の自殺者が160人で過去最悪だったと発表し、イラクやアフガニスタンの戦争で多くの兵士が精神的な病を抱え、自殺者の増加に歯止めがかからない状況が浮き彫りとなっています。
アメリカ陸軍は29日、兵士の自殺に関する調査報告書を発表しました。それによりますと、陸軍の兵士の自殺者は、2004年以降毎年増え続けていて、去年は160人で、過去最悪でした。また、自殺未遂も1713人に上りました。報告書は、自殺や薬物の過剰摂取などみずからの行為で死亡した兵士が戦闘で死亡した兵士の数よりも多いと指摘し、「今や敵よりもわれわれ自身に危険が潜んでいる」と警告しています。さらに報告書は、イラクやアフガニスタンでの戦争が長引くなか、兵士が精神的なストレスから自殺しているケースが多いものの、軍の司令官は、こうした兆候を見過ごしたり、兵士のケアよりも軍の作戦行動を優先させたりして問題を先送りにしてきた可能性を指摘しています。アメリカ軍では、兵士に対するカウンセリングを強化するなどの対策を進めていますが、今回の報告書の発表は、依然として自殺の増加に歯止めがかからない深刻な状況が浮き彫りとなっています。