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[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:1ab095e5
Date: 2009/11/29 14:08
・オリジナルキャラが出てきます。

・原作と設定が異なる場合があります。

・オリジナルキャラの登場やストーリーの展開の都合、作者の趣味などにより原作とは異なる点が多数あるかもしれません

以上、注意書きを考慮の上、御趣味に合致せぬようでしたら御観覧をお控え頂くのが最善かと思います。

最後によく読むときに多用するため大変重宝しています。
このサイトを管理運営してくれている管理人さんに感謝を致します。
本当にありがとうございます。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第一話 始まり
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:1ab095e5
Date: 2009/12/05 19:40
 ハロー、ハロー。



 唐突だが私の名前は鈴木翔大。けして、『しょうだい』では無く『しょうた』だ。
 どこにでもいるというわけではないけど日本人の高校生だった。
 名前の由来は大きく羽ばたくという意味らしい。その名の通り大きく羽ばたいた。
 よく分からないところに。

「おぎゃぁぎゃ(本当にどこ? ここ)」
 そう、高校生だった。だったは過去形なのだ。
 今いる場所も不明だ。というか私は死んだんじゃじゃなかったっけ? 
 ・・・・・・ああ、転生か、これが転生ってやつか。記憶を持って転生したのか
 ・・・・・・ありえない~~~、
 しかし、現実は認めよう。考えようによっては私は天才じゃないか。勉強なんてしなくても高校までなら出来る、たぶん。
 おっと、すっかり現実逃避で忘れてたけど目の前の親と思われる人たちが深刻な顔をして話し始めた。
「かわいい子ですね」
「ああ」
「けど、この子にも私たちの苦しみを、血継限界を持つ物の苦しみを背負わせることになるんですね」
「・・・・・・そうだな」
 ・・・・・・は? 血継限界? どっかで聞いたことがある気がするけど、はて? なんだっけ?





 ──二歳の時、彼は初めてとは思えないほどの安定感を醸しながら歩き出した。



 ──三歳の時、彼は当然だと言わんばかりに読み書きをマスターした。



 そして、七歳
「はぁ」
 旧名鈴木翔大こと、雪白氷華はため息をついていた。
 転生をして五年、なぜ転生をしたのかは以前と分からない、しかしひとつ分かったことがある。ここは前世とは違う世界だということと、ここはNARUTOの世界だということだ。
 ありえない。
 しかし、現実は認めよう。
 この五年で分かったことはこの世界がNARUTOの世界だということ、私は火の国の小さな村に住んでることだ、
「はぁ」
 そしてもう一つ、私は血継限界だということだ。
 前世ではSS物を見ると死んだら物語の世界にいけたらいいなと思ったこともあった。しかし、実際に来てみるとそこまでいい物じゃない。特に科学文明があまり発達してないのがつらい。
「はぁ」






 時は氷華五歳の誕生日に遡る。
「話とは何ですか? 母さん」
 氷華は家で母に聞いた。家には氷華と母しかいない。父は四歳のときに事故で無くなった。
「ええ、よく聞いて下さい。とても大事な話です」
 床に伏せた母は真剣な顔で話し始めた。
 元々体の強くなかった母は私を産んだときから体調を崩している。
 ・・・・・・おそらくそう長生きは出来ない。
「分かりました」
「まずはじめに、貴方は血継限界です」
「・・・・・・・・・・・・は?」
 まてまてまて、血継限界? 忍びの一族でもない私が? ありえない。・・・・・・いやそういえば生まれてすぐにそんなことを言ってたようなすっかり忘れてたけど
「落ち着いて聞いたくださいね。なぜ貴方が血継限界なのかというと――」



 母の話はの内容はこうだ。

 母方の祖父と祖母は水の国出身だそうだ。
 水の国では内乱が多発した政情不安定な土地柄ゆえ血継限界の血族はその力を恐れられ迫害されそうだ。
 そのため血継限界の祖父と祖母は水の国から逃げ出した。
 さらに驚いたのは祖父と祖母は違う血継限界だということだ。
 さらに父方の祖父も元忍びで血継限界だったそうだ。
 これは聞いたときは追い忍はなにやってんだと思ったが父方の祖父は死んだことになっていて実際死に掛けたいたところを父方の祖母が助けて結婚にいたったとか昔自分の血筋を話したとき聞いたそうだ。
 ちなみに父は才能がなかったらしい。
 つまり、私には最低でも三つの血継限界の血が流れというとていることになる。
 なぜ、最低でもかという母の祖母の先祖は迫害されるが故、昔は水の国を転々としていたから確立は低いが他にも混ざっていてもおかしくないそうだ。
 まったくありえない。そもそも複数の血継限界が混ざるとどうなるんだ?
 ・・・・・・あ、そういえば確か漫画で五影会議中にサスケが襲撃したとき水影が二つの血継限界を持ってたはずだ、つまり、才能があれば複数可能かもしれないということか。
 しかし、血継限界の能力が分かっているのは母方の祖母だけだ。祖父のは子供のときに一度聞いただけで忘れてしまったらしく、父方の祖父は誰にも告げずに死んだらしい。
母は母方の祖母と同じ血継限界だそうだ。

 唐突だが、私は雪白氷華、男だ。名前は大変女らしい。しかしこれは仕方が無い。名前は親に決める権利があり、親が子に与える贈り物だ。そこに口を挟む権利は子には無い。
 だが、私は名前どころか容姿まで少年というよりも少女だ、黒髪黒目だけあって幼女版、日本人美少女みたいだ。母親似? 確かに母親似だろう。しかし、母は女、私は男なのにここまで似るというよりも少女のようなのはおかしい。
 しかし母の血継限界を聞いて納得した。母方の祖母の血継限界は原作でも出てきた。そう、波の国に出てきた白と同じなのだ。氷遁を操る血継限界なのだろう、たぶん。原作で細かい設定は無かったし(あっても忘れたけど)。つまり、そういう血筋なのだろう、遺伝なのだろう。私はそう思うことにした。諦めるために。


 その話を聞いてから約半年後、私も血継限界に目覚めた。
 ・・・・・・母と同じ血継限界だった。





 それからというもの、万が一のとき身を守るため基本的な忍術と少し風遁、水遁、血継限界の氷遁の特訓を隠れながらしている。
 母は「もしもの時、逃げれればいいからそんなに真面目にしなくてもいいよ」というが元日本国民の自分からしてみるとこの世界は危ないと思う。真面目に修行をしている。
 そもそも、私が修行してるのは忍術が殆どだ。
 母は祖母祖父から教わった忍術を教えてくれるし、祖父祖母が水の国から逃げる時に待ちだした。巻物、忍具はあるから苦労はしていない。しかし、問題は体術だ。
 母は床に伏せているため、体術は教えられない。
 ま、忍になる気は無いから良いんだけどね。





 今日は、村の子供たちと遊んでいる。
 忍術の修行は夜からだ。
「ねえ、氷華おねえちゃん。今日は何して遊ぶの?」
 子供のうちの一人が聞いてくる。
 そうだね。何して遊ぼうか? しかし間違っている。間違っているぞ!
「うん、何して遊ぼうか? あと、誰がおねえちゃんだ」
 ここは小さな村だけあって村人全員が家族のように暮らしている。
 私の仕事は子供たちの遊び相手をすることだ。
「じゃあ、鬼ごっこね」
「いいけど、森のほうはだめだよ」
「は~い。じゃ、氷華お姉ちゃん鬼ね」
「いいよ。それと、覚悟するがいい。誰がお姉ちゃんだ」
 最近思う。私はこどもっぽくなった気がすると、あれだろうか。体が子供だから精神も影響を受けてるのだろうか? 
 ま、別にいいけどね。





 こうして病気の母の手伝い、子供たちと遊ぶ、母の手伝い、子供と遊ぶ、修行、の繰り返しで日々が過ぎて行った。
 こんな日々がいつまでも続くと思っていた。
 しかし、八歳のとき母が死んだ。
 このとき気がついた。私は頭の中でだけじゃなくて本当にこの人のことを母親だと思っていたんだと、NARUTOの世界はもう私にとって物語ではなくて現実なのだと、頭の中だけでなく心底理解した。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第二話 死と決意
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:1ab095e5
Date: 2009/12/05 19:43
 


 母が死んでから二年がたち私は十歳になった。
 私は子供たちの遊び相手をしながら修行を続けていた。
 母の死が唐突に起きたようにこの日の出来事も何の前触れも無く唐突に起きた。
 私は村では忍術が出来ることは隠していたので運動の出来る少女のような少年ということになっていた。
 ・・・・・・一部ものすごく不満だが最近諦めつつある。
 私は村の人たちに頼めれて森に山菜を取りに行った。



「ない」
 山菜を探し始めて二時間ほどがたっただろうか、時間の経過とは比例せず、山菜はあまり集まっていない。
「どうしよう」
 こういうときこそ忍術だと思った(違う)が私は影分身は出来ない、やり方すら知らない。
「・・・・・・どうしよう」
 真剣にどうするか悩んだ矢先にそれは眼に入ってきた。
「・・・・・・煙? あの方角は・・・・・・まさか村!?]
 眼に入ってきた煙は村方角から上がっていた。
 急いでひき返す、そして見たものは盗賊に蹂躙された村の姿だった。
「・・・う、そ・・・・だろ?」
 その問いに答えるものはいなかった。
 目に入っていた光景はまさしく蹂躙された村だった。
 女子供すべてが殺されていた。
 それを理解した氷華は自然とつぶやいた。
「殺してやる。お前ら皆殺しにしてやる」





 村人を皆殺しにした俺たちの前に子供がやってきた。
 怒りに満ちた顔をしているところを見ると村の生き残りだろう。後五年もすれば絶世の美少女になっただろうにもったいないことだ。
 部下に命じ周りを取り囲ませると「殺せ」と命じた。
 今日の村を襲ったのは金でも食料でも女でもなくただ全員が人を殺したかっただけだ。
 部下が少女を殺そうと動こうとしたときそれは起きた。
「お前たちが死ね」
 少女を中心に激しい爆発が起きたのだ。





「あと、五人」
 爆発を私は少しはなれたところで見ていた。
 私は、ただ単純に怒りに任せて突っ込むのではなく確実に殺すために家に忍具を取りに行った。
 やったことは単純だ。水分身に複数の起爆札を持たせて爆発させただけ、原作でイタチがやった分身を爆発させた術の簡易版にしたパクリだ。
 しかし、効果はあったようだ。
 それだけで十六人いた盗賊は残り五人になった。
「水遁・水球」
 水の球を作りの五人の上に打ち上げ盗賊たちの頭上まで行くと針状の氷にして落とした。
「氷遁・氷針雨」
 これだけで、呆気なく盗賊は全員死んだ。



 この日雪白氷華は初めて人を殺した。




 三日後氷華は村を見ていた。
 この三日間は殺された村人たちの遺体を埋葬したりしていたのだ。
 氷華は三日前のことを思い出しながら呟いた。
「強くなろう」
 母と父を亡くし、村人たちを殺されて、そう思うようになった。
「強くなるには忍びになるのが早い、か」



 原作知識からも考えて目的地を木ノ葉の里に決め氷華は歩き始めた。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第三話 初めての忍との戦闘
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:1ab095e5
Date: 2009/11/29 14:10
 私は自分以外の村人が皆殺しにされたのをきっかけに木の葉の里を目指して旅をしている。
 しかし、何事も予定通りいかないものだ。
 村から木の葉までは歩きで一ヶ月もあればつく距離だった。
 ・・・・・・ただし普通に歩けば、いくつか足止めがあった。
 一つ目は、村のことを近くの町に報告したときの事情聴取が予想よりも時間がかかった。
 ここでは「森に山菜を取りに行っていて帰ったらもう盗賊もいなくみんな死んでいた」といったら納得してくれた。
 行くあてはあるのかという話になったら「行くところがあります」というと「気をつけていけ」というだけで開放された。
 二つ目は路銀だ。
 村を出るとき忍具の入ったというのか? まあその巻物、必要なものと一緒に村にあった金を集めて路銀にさせたもらったが一か月分の食料を買うには足りない。ぜんぜん足りない。
 元々村は自給自足の面があったため金は少なかった。
 そのため、街道からはずれて森を移動することが多い、草や木の実などは村にいたときの知識で食べられるかどうか分かる。
 問題は肉だ。
 トラップなどの仕掛け方は知らないけど見つければ捕まえられる。
 しかし、見つけるのが大変だった。
 そのため木の葉へのルートの近くに川があると少し外れてもそこへ行った。
 川なら氷遁を使って凍らせれば魚が簡単に手に入るからだ。



 そんな感じで予想よりも時間がかかってしまったが何とか木の葉の里が見えるところまでくることが出来た。
 しかし、今私は死の恐怖と不安でで震えていた。





 ことの始まりは木の葉の近くに来たときにさかのぼる。
 木の葉に近づいたために原作を思い出していた。
「確か私が最後に見たのは――」
 私はコミックだけでなくジャンプでも読む派だった。
「そうだ。キラービーVS鬼鮫で鬼鮫が勝って鮫肌で足を切り落とそうとしたら鮫肌がビーのチャクラを気に入って攻撃を拒否してビーの刀で切り落とそうとするシーンだったかな?」
 ・・・
 ・・
 ・
「あー! 気になる。気になる気になる。助かったの!? 助からなかったの!? どっち」
 原作を思い出したら純粋に続きが気になってしまった。
 一つ気になると他も気になるものだ。
「漫画の続きが気になる! アニメの続きが気になる! ドラマの続きが気になる! 小説の続きが気になる! あ~予約してたゲームが!」
 はっきり言って漫画はまだいいしかし、私は毎月小説の発売日を楽しみに生きていた人間なのだ。
 悲しくて涙が出てきた。
「あきらめよう。考えないようにしよう。現実は認めよう」
 このことに対しては考えないことにした。
 それにしても転生してから「現実は認めよう」と良く思うようになった気がする。



 そして、細かいことは考えないようにしてこの後木の葉で起きることについて考えて木の葉崩しを思い出し恐怖した。
 私には複数の血継限界の血が流れている。
 もしこのことが大蛇丸にばれたら。
 ・・・・・・やばい。呪印を刻まれてしまう自分の姿が浮かんだ。
 うん。元々氷遁以外の血継限界は隠すつもりだったけど絶対に隠そう氷遁だけでも狙われるかも知れないんだから、



 こんな感じで考えていると一つの疑問に駆られた。
 一つ目は、この世界に元いた世界から転生してこの世界に来たのは私だけなのか? もしも他にも来た人間がいるのなら原作知識が狂ってしまう、
 一つ目の例では、もしも来た人間が幼いころの大蛇丸を殺していたら大蛇丸のイベントは無くなる。他にも転生者が火影などの重要人物と関わると狂う可能性がある。
 二つ目、転生だけなのか? という点だ。SS物には転生物だけでなく憑依物もある。もしも憑依した人がいるとこれまた狂う。
 二つ目の例では、誰かが四代目火影に憑依して、九尾襲来時に行きたくないとか、忍者にならなかった。などがあれば最悪木の葉が滅びる。
 ・・・・・・これに関しては木の葉の里があるのは確認しているから無いだろう。
 ・・・・・・うん。すべてが狂う。
 原作に、この世界に修正力や強制力などというものがあることに期待しよう。





 夜、木の葉の里の入り口の門まであと二百メートルまで差し掛かると足を止めた。
「どうしよう」
 今まで考えてなかった。
 否、解決案が見つからず問題を先延ばしにしていただけだが私が木の葉の里に入るのなら出来るが住んだり忍者アカデミーに入るのは無理があるんじゃないかという点だ。
 自分で言うのは何だが怪しいだろう。いきなり忍者になりたいといって里に来ただけならまだしも忍術だけなら下忍を越えた力を持っていてさらに血継限界まで持っているのだから、
「実力を隠すか? いやそれじゃあ意味が無い。早く強くなるなら隠すのは得策じゃない。・・・・・・第一実力を隠しても忍者になりたいというだけでも怪しいか」
 うん。いいアイディアも浮かばないしとりあえず森で寝ながら考えて明日木の葉に入ろう。



 

 がさごそ
「ん?」
 私は物音で目を覚ました。
 木の葉の里への旅で野宿をし続けた私は物音と気配に敏感になっていた。
 前に一度物音を無視たら毒蛇に噛まれる寸前で目を覚ましたことがあるためそれ以来慎重になったのだ。
「・・・・・・とりあえず何か確認しておくか」
 眠たい体を動かして氷華は物音のしたほうに向かっていった。 



「さてさて、どうしたものか」
 物音のしたほうに行った私の目に入ってきたのは四人の忍と思われる人と誘拐されたと思われる同い年ぐらいの少女だ。
「さて、どうやって助けるか」
 もう私の中で助けることは決定している。
 だって、目覚めが悪くなりそうだし、
「まず、状況を確認するか」
 よく見ると少女を抱えた一人が他の三人に指示を出している。
 残念ながら額宛を見たがどこの額宛だったか覚えてない。
 明確に覚えてるのは木の葉と砂だけだ。
 なんとなくだが指示を出してるのが他の三人とは格が違う気がするから他の三人が中忍で指示を出してるのが上忍だろう、下忍を誘拐の任務に使わないだろうし、
 それにしてもやりにくい、私の攻撃方法は水遁、氷遁がメインで、風遁はサブだ。
 母方の祖父祖母しか忍術を伝えていないのが理由だろう。
 水の国ならいいが火の国なら苦労する。
 ま、そこらへんを考えて『あれ』を残したんだろうけど、
 さてさて、仕掛ける前に自分の手を確認しておこう。
 まず、風遁は烈風掌、風の刃。水遁は霧隠れの術、水分身、水球、水の刃、水龍弾、水牙弾。
 あとは、血継限界の氷遁と氷遁で強化した水遁、あとは基礎の分身とかと瞬身の術。
 しかし、悲しきかな威力の高い術は威力が下がっていたりする。氷遁も白が使っていた魔鏡氷晶も特訓したがまだ四枚が限界だ。
 四枚だと逃げられる場合があるだろう、その上白のように片手印じゃ水を凍らせて少し操るのが限界だ。
 一度会って教えを請いたいものだ。会ったら殺されそうだけど、再不斬に、
「うん、前に盗賊に使った手の改良版をまず使うか」
 始めの一手を決め私は動き出すのだった。





「水分身か」
 上忍と思われる人物が私の水分身を一瞬で見破り部下たちが手裏剣を本体の私が隠れてるところに投げてきた。
「げっ、さすが」
 ぎりぎりのところですべて避けきると二人がこっちに迫ってきた。
「即殺すのを決めるとはね」
 話を聞く気も無いらしい。
 二人が迫ってきている間にも水分身は行動している。
 水分身は上忍と思われる忍に向かって走り始めた。
 しかし、そこはさすがというべきか少女を片手で抱えている状態で水分身の背後を取りクナイを刺した。
 ・・・・・・私の思惑道理に、
「がぁ!」
 私は攻撃され崩れた水分身の水を利用し忍びの攻撃してきたほうの腕を氷で貫いた。
 改めて思った。
 ああ、素晴らしきかな血継限界。格上の相手の隙すらつけるんだから。
 ま、水が氷になって襲い掛かってくるなんて予想つかないもんね。さて次は、
 私はポーチの中から『あれ』を取り出し宣を抜いた。
 中から大量の水が噴出してきた。
 『あれ』こと、水筒は母方の祖父祖母のものだ。
 二人も分かっていたのだろう祖父祖母は水の国の出身だ。
 しかし、火の国は水の国のように水が大量にある訳じゃない。
 もしも木の葉の忍と戦闘になったら不利になると、そこでこの水筒だ。
 この水筒は封印だか口寄せだかは知らないがとにかく大量の水を入れておくことが出来る。戦闘に必要な水を確保するために作ったのだろう同様のがあと二つある。
 しかし、戦闘になるとは思わなかったので今は常に持ち歩いている一本しかない。
「秘術・魔鏡氷晶」
 本体の私は出てきた水を使って魔鏡氷晶を使い追ってきた二人を囲んだ。
「さて、ならべく殺したくないから手足をつぶさせてもらおうか」
 私は氷の鏡に入ると光速で移動し二人の手足を切りつけ腱を切った。
「がぁ」
 二人が体制を崩すと首に手刀を叩き込み気絶させた。
「あと、二人」
 しかし、残りの二人には片方が少女を抱えているため広範囲攻撃は出来ない。魔鏡氷晶も同様だ。
「風遁・風の刃」
 少女を抱えていないほうに風の刃を放ったがぎりぎりのところでよけられた。
「なめるな! 土遁・岩柱槍」
 足元から岩でできた槍が飛び出してきたが難なくかわせた。
 弱い? 
 ・・・・・・ちがうな。おそらく目立って木の葉の追っ手に見つかるのを恐れてるんだろ。
 ってことは、目立てば木の葉の忍びが来ると、
 今までは不意をつけたからどうにかなったがもう不意はつけない。なら援軍に期待しよう。
「水遁・水龍弾]
私は上空に向かって細い水に龍を放った。
「死ね」
 先ほど片腕を潰した忍が起爆札をつけたクナイを放ってきた。
「やばっ」
 ぎりぎりのところでクナイをよけたが爆風をほろに受けて私は意識を手放した。





 「・・・・・・・・で、ここはどこだ?」
 気がつくと私は知らない部屋に寝ていた。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第四話 生還と日向
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:1ab095e5
Date: 2009/11/29 14:11
 知らない部屋で寝ながら私は考えた。
「え~と、確か私は寝てたら物音がして見に行ったら女の子が攫われてて助けようとして――」
 ・・・
 ・・
 ・
「あ~、そうだ。
 上忍っぽい人の片腕潰して、二人潰して、起爆札付きのクナイを片腕潰したのに投げられて爆風を受けて気絶したんだった」
 ・・・
 ・・
 ・
「・・・・・・もしかして気絶じゃなくて私・・・死んだ?」
 ・・・
 ・・
 ・
「じゃあここ死後の世界!? いやいやそんなのあるわけが無い!」
 ・・・
 ・・
 ・
「けど、転生はあったし、死後の世界もあってもおかしくは無いんじゃ」
 ・・・
 ・・
 ・
「あうあう、そうか私は死んだのか」
 涙が出てきた。
 うう、こんなことなら目覚めなんか気にしないで無視するべきだったんじゃ。
 そういえばあの女の子は助かったのかな? 助かってなかったら無駄死に
「いやだー!無駄死にはいやじゃー!」
 恥も外聞も無く泣き叫んでいると扉が開き男性と少女の計二人の人物が入ってきた。
「言っておくがお前は死んではいないぞ」
 入ってきた人物の大人のほうが言ってきた。
 良かった死んでないのか、ということはあの後駆けつけた木の葉の忍が助けてくれたのか。
 もしも、戦ってた忍が少女と一緒に攫ったのならもう実験とかされたそうだし、
 ん? この日とどっかで見覚えがあるような?
 長い黒髪、白い目。
 白い目? 白い目ってもしかして白眼?
 ってことは、日向ヒアシ? 
 なんで?
「まず礼を言おう娘を助けてくれたようだな」
 ・・・・・・ああそういうことか誘拐されてたのはヒナタだったんだ。
 ん? おかしいぞ。誘拐されそうになってた少女は私と同い年ぐらいだった。よく覚えていないけどヒナタ誘拐イベントはヒナタが幼いときだったと思ったんだけど、
 まあ、少しぐらいのずれは当たり前か、
 私が思考していると少女が礼を言ってきた。
「日向ハナビと申します。危ないところを助けていただきありがとうございます」
「は?」
 今なんていいました? この子、
 日向ハナビ? 
 確か・・・・・・そう、ヒナタの妹だ。
 ・・・
 ・・
 ・
 おかしい。おかしいおかしい!
 あんまり覚えていないけど確かハナビは四~六歳ぐらいはヒナタと年が離れてたはず、
 つまり、ハナビが十歳ぐらいだともう木の葉崩しは終わってるはず、けど私は木の葉に向かうに当たって少し調べた。
 木の葉は原作通り九尾が襲来し四代目火影は死亡、
 しかし、まだ三代目火影は健在。だから私はまだ木の葉崩しは起こってないものと思ってたんだけど、
 もしかして、以前考えたのがあたってて転生者か憑依者の影響で起きなかったの?
 それとも、何らかの影響でハナビが早く生まれたの?
 現実は認めよう。私はハナビと同い年ぐらいだと、
 木の葉崩しが終わってようが起こらなくても私に損はないし、
 ・・・・・・まあ、どっちにしろ今私は木の葉にいるんだしあとでナルトの年齢を確認しよう。
 原作主人公だから中心にいるだろう。たぶん、
 けど、ハナビ誘拐イベントも無かったと思ったんだけど?
 まあ気にしない。現実は認めよう。
「ふむ、どうやら頭を打ったようだから混乱しているのだろう」
 うん、混乱してる。けど、頭を打ったからじゃない。
「ハナビ少し席をはずしなさい」
「はい。父上」
 返事をするとハナビは部屋を出て行った。
 あ、いやの予感がする。
「さて、名乗ってなかったな。日向ヒアシだ」
 うん、知ってます。それにしてもダンディーなおじ様だ。
「はじめまして、雪白氷華と申します。
 ・・・・・・一応申しますけど男です」
 うん、一応だけど着替えさせられてるし、
「うむ、そんなことよりも聞きたいことがある」
「でしょうね」
「お前は何者だ」
 殺気は出てないね。・・・・・・たぶん、
 娘を助けたから感謝してるのかね~?
「そうですね。一応一般人ですよ」
「一般人が中忍二人を倒して上忍の片腕を潰せるものか」
 怪訝そうに睨んでくる。
 うん、分かります。
 一般人に忍が倒されたんじゃ面目丸つぶれだし国が忍を雇う意味が無くなる。
「はぁ、
 言っておきますけど倒せたのは不意がつけたからですよ」



 私は前置きを言ってから説明を始めた。
 母方の祖父と祖母は水の国の血継限界で水の国では内乱が多発した政情不安定な土地柄ゆえ血継限界の血族はその力を恐れられ迫害やから。
 祖父と祖母は水の国から逃げ出したらしい、
 私は火の国の小さなの村で生まれたが血継限界のためもしもの時に逃げられるように母から忍術を教わった。
 しかし、母は病に倒れその二年後村が盗賊により私がい皆殺しにされたて行くあての無い私は忍者になろうと思って木の葉に来た。
 木の葉を選んだのは火の国に住んでいたし、水の国は行く気がさらさら無かったから選んだ。
 木の葉の近くまで来たが泊まるあてがあるわけじゃかったからとりあえず朝になったら入ろうと思って寝てたら物音がして行ってみたら忍がいたから戦闘になった。
 もちろん、複数血継限界の血が流れていることは言わなかったが、



「なるほどな」
 とりあえず納得した様子のヒアシは何かを考え始めた。
「で、行くところはあるのか?」
 行くところね~、予定ではバイトしてアカデミーは入ると年齢的には来年が最終学年だから金ためて入るつもりだったんだよね。
「いえ、ありません。元々バイトして金を貯めたら来年アカデミーに入るつもりだったんで」
「そうか、ならこの家に住むがいい」
「は?」
 なんていいましたこの人?
「もう一度言って貰えますか?」
「この家に住むがいい」 
「・・・・・・本気ですか」
「本気だ。娘の恩人に野宿をさせるわけにもいくまい」
 な、なんていい人なんだ日向ヒアシ。
 久しぶりに人のやさしさに触れたから涙が出てくる。
 私感動しました。
「では、お言葉に甘えさせてもらいます」
「うむ、上層部の報告もこちらで済ませておこう」
「・・・・・・感謝します」
「アカデミーへの転入手続きもこちらで済ませておこう」
「あのですね。私は残念ながらお金が無いので今すぐの転入は無理なんですよ」
 そう、木の葉に来るまでに金はほとんど使い果たしている。
 木の葉に孤児にたいする何らかのシステムがあれば話は別だが、
 第一あったとしても木の葉出身ではない私には適応されないと思う。
「細かいことは気にしなくていい」
「いえ、そこまでしてもらうわけには」
 確かにこの申し出はありがたい、
 しかし、そこまでしてもらうのは心苦しい。
「なら、お前ほどの実力なら下忍任官は確実だろう」
「・・・・・そうですね。
 自分で言うのもなんですけど忍術は下忍の領域を超えていると自負しています」
「なら下忍なってから返せばいい」
 ・・・・・・なるほど、けどそこまで迷惑をかけるのも、
 いや選択肢は無いかここで日向の庇護下に入らないとダンゾウとかに血継限界を探るためにばらされそうだし、
 もしかしたら、そこまで考えていっているのかもしれない。
 日向の庇護下にあれば上層部も下手なことは出来ないだろうから安全だろう、
「では、不束者ですがよろしくお願いします」



 それにしてもなんて義理堅い人なんだ。日向ヒアシ、改めて感動した。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第五話 出会い
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:67f0b1de
Date: 2009/11/29 14:11
「――というわけでヒアシ殿の計らいで今日よりここに住まわせていただくことになりました。雪白氷華と申します。性別は男です。よろしくお願いします」
 私は恭しく頭を下げながら困惑していた。理由は目の前にヒナタとハナビが居るからだ。いるのは別に普通だ、おかしくは無い。ここは日向宗家だし、二人の家だし、しかし問題はそこじゃない。
「は、はじめまして。ハナビの双子の姉のヒナタと言います。よ、よろしくお願いします」
(双子? どこまで原作から外れてるんだよ! ありえないし! 
 ・・・・・・いや、現実は認めよう。第一この世界に転生者や憑依者が私以外に過去現在において一人も居ないとしても私という存在が誕生した時からこの世界に本来無い私という歯車が加わって物語りは狂い始めたんだろうし。
 うん。もう何が出てきても深く考えすぎないようにしよう・・・・・・考えるのは大切だから考えはするけど、うん。そうしよう)
「こちらこそよろしくお願いします」
 ああ、今原作とはどれぐらい変化してるんだろうか・・・・・・
余談ではあるが私とヒナタ、ハナビは同い年だった。





 二日後、私はハナビと一緒に木の葉の里を回っていた。
 こうなったのは簡単だ。
 私がヒアシ殿に「木の葉の里を見て回ろうと思います」といったらハナビが「氷華さんは土地勘が無いので案内します」といったのがきっかけだ。ハナビの説明は実に分かりやすかった。
 特に問題は無かった。
 ・・・・・・しかし悲しいことに無かったは過去形なのだ。
 今、私とハナビの前に一人の少年が居る。年齢は同じぐらいだろう。
「よ、久しぶり。ハナビ」
「そうですね。テツさん」
 挨拶をしたテツと言うらしい少年は氷華にも話しかけてきた。
「で、あなたは」
「申し送れました。少し前から日向宗家でお世話になっています。雪白氷華と申します。性別は男です。よろしくお願いします」
 性別を言ったところでテツは驚いたようだが特に聞き返したりせずに話し出した。
「!?・・・・・・そうか。俺は黒金テツ。・・・・・・ちなみに原作はどのぐらいまで読んだ?」
「!?」
(・・・・・・そういうことか)
「またですか? 私にも同じ事を聞きましたけど、本当に意味が分かりません」
「そうなの? すいませんけど私も良く分かりません」
「そうか。悪いな、へんなこと聞いて」
「いえいえ、それじゃあ」
 そういって二人は歩き出した。
「・・・・・・明日の朝十時日向宗家の近くに居てください」
「!?」
 ボソッと氷華は呟くと歩き出した。



「そういえばハナビさっきの人はどんな人なの?」
 テツと会って少ししてから私はハナビに聞いた。
「ああ、あの人は姉上のクラスメートです」
「クラスメート?」
「はい。前に一度お会いしたんですけどさっきと同じで『原作はどのぐらいまで読んだ?』と聞かれました」
「そうなんだ」
 なるほどね。確かにハナビは怪しい。二人目の女の子の名前をハナビと決めていたと仮定すれば・・・・・・いや、仮定しなくてもいいな。名前に生まれた日や特別な理由で決めたのではが無く普通に考えた結果なら二人目の女の子はハナビになる可能性が高い。つまり、ハナビはヒナタの双子で転生した人物であってもおかしくない。さっきのテツとか言うのはそう思って聞いたんだろう
「どうかしましたか?」
 思考に没頭しすぎていたようでハナビが心配そうに話しかけてきた。
「ん? いやなんでもないよ」
「そうですか。基本的なところは案内し終わりましたけどどこか他に知っておきたい場所はありますか?」
「ん~とあとはアカデミーに案内してくれる?」
「そういえばアカデミーに通うんでしたっけ」
「うん。そうだよ」
「分かりました。こっちです」
その後ハナビにアカデミーに案内してもらって私たちは日向宗家に帰った。





 次の日、十時五分前に「ちゃんと道を覚えられたか確かめたいので少し散歩に行ってきます」と言い私は日向宗家から出た。
 出て少し歩いたところに昨日の少年黒金テツが居た。
「や、一日ぶり」
「おい! お前も転せ――」
「ストップ、他で話そう」
「・・・・・・分かった。じゃあ、茶店行こうぜ」
「おごってくれるなら行く」
「・・・・・・自分で払えよ」
「いろいろな事情で金が無い」
「分かった。そんなに食うなよ」
「あんみつとお茶でいい」
「分かった」
 二人は茶店に向かって歩き出した。



「――で」
「ん」
 あんみつを食べていた氷華はテツに話しかけられそちらを向いた。
「お前も転生した人間でいいのか?」
「そうだよ」
「そうか、俺だけじゃなかったのか」
 テツはほっとした表情で言った。
それはそうだろういきなり知らない世界に転生したら心細くもなるものだ。自分以外にも同じ人が居れば安心する。氷華のようにあまり気にしない人のほうがまれだろう。
「ん。ま、私も同じ転生した人にあえて安心したよ」
「・・・・・・お前元から心配してなかっただろ」
「まあね」
「神経図太いな」
「そんなことは無い。
 それよりも、いい加減無駄話はやめてお互い今まで何があったとか気づいたこととか自分が今後何したいとか話さない? あと改めて自己紹介とか」
「賛成」
「じゃあ、そっちからどうぞ」
「ああ昨日も言ったけど名前は黒金テツ。生まれは普通の一般家庭に生まれた今はアカデミーに通ってる。気づいたことはハナビとお前ぐらいだな。したいことは出来れば木の葉崩しとかを阻止したいとは考えてる。やったことといえばナルトと仲が良くなったぐらいか」
「ふ~ん、ちなみに得意に忍術とかは?」
「土遁、後は体術どっちかといえばこっちがメイン。でお前のほうは」
「・・・・・・話す前に一つ」
「何だ?」
「これは一応信頼したから話すと思ってね。木の葉の上層部とかは知ってるけど、下忍いかのアカデミーは絶対に知らない話だし、自分の切り札を明かすわけだし」
「分かった」
 氷華が真剣に言うとテツも真剣に答えた。
「名前は雪白氷華、性別は男。あっまずはじめに私血継限界だから」
「は? おいいったい――」
「はい。そこ最後まで聞く。まあ話すと長くなるけど簡単に言えば原作で白も言ってたけど水の国では内乱が多発してたから政情不安定な土地柄ゆえ血継限界の血族はその力を恐れられ迫害されたらしいじゃん」
「そういえばそんなことも言ってたな」
「で、うちの母方の祖父祖母は逃げたらしいのよ。火の国に。で、私はその末裔。けど、父と母が死んで住んでた小さな村は盗賊に私以外皆殺しにされて木の葉に来たんだよ」
「・・・・・・」
 テツは想像していなかった氷華の過去の壮絶さに絶句していた。
「ちなみ日向宗家にいる理由は木の葉に来る直前にハナビが誘拐されそうなところに出くわして救助が来るまで足止めをしたから」
「・・・・・・どんだけだよ」
「ま、いままで小さな村にいたから特にやったこととかはわからない。以上かな」
「まて、血継限界の能力は何だ」
 話を切り上げようとした氷華にテツは聞いた。
「ああ、氷遁だよ」
「・・・・・・なるほどな」
「・・・・・・・・今失礼なこと考えなかった?」
「いや、納得しただけ、氷遁って白と同じだろ?」
「そうだよ。たぶん」
「遺伝だったんだな。白の女らしい外見は、お前も白に似ている訳じゃないけど美少年ってよりは美少女だし」
「気にしてるんだからさ、言わないでくれる」
「・・・・・・分かった」
 もしかしたら知らず知らずのうちに少し殺気を放っていたのかもしれないテツは素直にうなずいた。
「で、お前の得意忍術とか目的とかは?」
「そうだね。忍術は血継限界の氷遁、水遁、風遁かな? 教えてくれたのは母なんだけど母は床に伏せてたから体術は習ってないから普通かな?」
「習ってないのに普通なのかよ」
「うん。簡単に言えばチャクラコントロールは結構なものなんだよ私、だから身体能力を強化するから」
「そうか」
 テツは「お前血継限界だけじゃなくてそんな才能まであるのかよ!」と叫びたくなったが何とかこらえた。
「目的は強くなることと、そうだね。影分身を覚えたいかな」
「強くなることは分かるとして影分身はなんで?」
「役に立つでしょ。修行とかで」
「なるほど、けどそう簡単には教えてもらえないだろ」
「そこは抜かりない。ナルトが会得したら風遁忍術の印を教える代わりに影分身の印を教えてもらうから」
「そう簡単にいくか?」
「行く。遠距離系の術だから迷わず乗ってくる。使えるようになるかはお互い別だけど」
「なるほどね。・・・・・・そういえばどうしてそこまで強くなりたいんだ?」
 テツがそういった瞬間氷華の雰囲気が変わった。
「私が強かったら村人たちは皆殺しにされる前に帰れたかもしれない。村人たちが皆殺しにされて私は知った、強くなければ守りたいものを守れないと、だから私は強くなる」
「そうか」
 テツはその言葉にこめられた氷華の意志の強さに気づいたのだろう、もう聞くことは無かった。
 ・・・
 ・・
 ・
 少しして氷華は立ち上がり言った。
「じゃ、そろそろ帰るから」
「分かった。またな」
「じゃ、次はアカデミーで」
「・・・・・・は?」
 テツは自分の耳を疑った。
 今こいつなんていった?
「考えれば分かるでしょ。強くなるなら忍になるのが早い。ならアカデミーに通う。当然じゃない?」
「・・・・・・言われてみれば確かに」
「じゃ、またよろしく」
 氷華はそう言うと日向宗家に向かって歩き始めた。



 それが雪白氷華と黒金テツの出会いだった。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第六話 氷華のアカデミー初登校
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:67f0b1de
Date: 2009/11/29 14:25
「では行ってまいります」
 私はヒアシ殿、ハナビ、ヒナタにそういうとヒナタよりも早く屋敷を出てアカデミーに向かって行った。
ヒナタよりも早く出たのは転入するに当たって早めに登校しておいたほうがいいと思ったからだ。
「さて、今日から私も本格的に原作に関わり始めるのか・・・・・・」
 そういって私は原作を思い浮かべた。
 ・・・
 ・・
 ・
 私の脳裏に浮かんだのは大蛇丸に呪印を刻まれてしまう自分。我愛羅に殺される自分。大蛇丸に殺される自分。暁のメンバーに殺される自分。ひょんな事からサスケの代わりに大蛇丸の器にされてしまう自分。ペイン襲来時に殺される自分が浮かんだ。
 ・・・
 ・・
 ・
「強くなろう。うん、大丈夫今でも中忍ぐらいなら倒せるだろうし今から修行すればそう簡単には死なないはず」
 自分を勇気付けるために声に出していってみたが新たな不安が浮かんできた。
「けど、強くなりすぎると余計大蛇丸に目をつけられるような」
 そういって私の売りに大蛇丸の姿を思い浮かべた。病的な白い肌、舐めまわすような目、伸びる舌etc、etc、
 ・・・・・・だめだ。生理的に受け付けない。
 なら実力を隠しておちこぼれを装う? 無理だ。カブト以外のスパイの目なら誤魔化せるかもしれないがカブトには少なくとも感ずかれる気がする。感ずかれ不審に思われたら逆効果ここはサスケと同じぐらいの実力にしておこう。サスケよりもある程度は上でも大蛇丸はうちは一族の生き残りのサスケを優先するだろうし、写輪眼が心底ほしいみたいだから。けど血継限界ってだけでも狙われる気がするし、
 ・・・
 ・・
 ・
「・・・・・・い、今から考えてても仕方が無い。どうにかなることを祈ろう。それに強くなって魔鏡氷晶を何十枚も作れるようになれば勝てなくても逃げるぐらいは出来るだろうし」
 日向宗家を出たときは割と意気揚々と出てきたがアカデミーにつく頃にはすっかり絶望的な未来を想像してうなだれていた。





「はじめまして、雪白氷華と申します。性別は男です。よろしくお願いします」
 そう言い私は恭しく頭を下げたが教室はざわめき始めた。
 いろんなところから失礼な声が聞こえてくる。
「えっ嘘男?」「あんなに綺麗なのに!?」「みえな~い!」etc、etc、
 極めつけはナルトだ。
「うそだってばよ! ぜんぜん見えないってば」
 他の人たちはささやく程度だったのにナルトは叫んだ。
 教室を見るとテツとヒナタが心配そうに見ている。
 私が切れないかどうか心配なんだろう。二人とも私が女と間違えられるのを気にしているのを知っているから、
「本当に男です」
 教師がクラスを静かにするまでに十分以上の時間を有した。



 退屈だ。授業はその一言に尽きるだろう。
 今イルカ先生が何かしゃべっているが退屈だ。
 元々、私は忍術は下忍の域を超え下手したら中忍をも超えている。座学も問題ない。体術は修行していないため技術には問題があるかもしれないけどチャクラコントロールによる肉体強化で下忍程度の動きは最低でも出来る。繊細な動きにはかけるかもしれないけども、
(ああ、アカデミーに入るっていう選択は間違ってたかな? これなら個人で修行したほうが早く強く慣れたかもしれないな。
・・・・・・けど、母からもらった巻物の忍術以外は分からないから下忍になって担当上忍とかに教われないと巻物に書かれた忍術を全部会得するとそこで終わりになっちゃうんだよね。はぁ~)
余談ではあるが母からもらった巻物は一時期木の葉に預け、写したら返してもらった。書かれていたのは殆どが霧隠れの里の忍術らしいから有効的に使うつもりだろう。一応母の形見のため人に預けるのは抵抗があったが実験台になったりするよりは安い代償だ。
 ・・・・・・血継限界についての巻物は渡してないけど、
「おい、そこの転入生」
「はい?」
 いきなりイルカ先生に話しかけられそちらを見た。
「前に出てきて分身の術をやってみろ」
 一瞬新人いじめ? と思ったが原作から考えてそんなことをする人ではないので純粋に新しく入ってきた私の実力が知りたいのだろう、
 しかし、本気を出すわけにはいかないそこで私はテツを「何体までだったらセーフ」という視線で見るとテツはさりげなく指で五と記してきた。
「分かりました」
 私は教卓の前まで行くとすばやく印を組んだ。
「分身の術」
 私は五体の分身を出した。
 すると、また教室がざわめき始めた。
あたりから「サスケ君と一緒」とか「マジかよ」とか「すげー」とか聞こえてくる。
 どうやら三体はサスケと同じ数らしい。サスケはクラスで一番だったから騒ぐのも当然かっとそこまで思考が行って私はテツをにらんだ。
 休み時間になって問い詰めるとテツは私の視線の意味を「何体までだったらセーフ」ではなく「このクラスの最高は何体?」という意味だと思ったらしい。
 それを聞いた私はすぎたことは仕方がないとあきらめた。元々、殆ど初対面の相手と目で会話しようとしたのが無理だったのだ。多少意味が伝わっただけよしとしよう。
 分身をした後のサスケの視線が痛かったけど、





 午後になり今は外で組み手をしている。どうやら今日は午後の授業は体術らしい、私はテツと組んでいるテツは体術は一番らしいので今は二、三回りほど実力を下げてもらって組み手をしているこうしておけば回りからはテツがまだなれて無い転入生に合わせてあげてるとおもうことだろう。体術の実力はこれに今後合わせていこう。聞いたところテツも忍術に関しては隠しているそうだ。チャクラによる強化もしてないとかこれは当然か剛拳だろうと柔拳だろうとチャクラまで使ったら危ない。ヒナタをみれば柔拳で戦っているがチャクラまでは使っていない。
 私はここ数日、日向宗家で見た柔拳を自分ありにアレンジした感じのもので戦っている。日向一族と違い白眼は無いため的確なダメージは与えられないがチャクラコントロールに優れている私は真似事ぐらいは出来る。さらに、的確なダメージは与えられなくとも内臓にダメージを与えることに変わりは無いためかなり使える。元々私は忍術で戦うのがメインスタイルのため体術はあくまでサブなのだ、多少使えればいい。
 今はむろんチャクラを使ってないので攻撃があたっても内臓にダメージを与えたりはしないが、
「そういえば原作の人たちは今どんな感じなの」
 掌底を繰り出しながら聞くとテツはそれを防ぎながら言った。
「いや、みんな原作どおりただ、お前のせいでサスケがどうなるか分かんねえけど」
「どういう意味?」
「今のサスケはプライドの塊みたいなもんだろ」
「そうだね」
 テツの放った拳を受け流し距離をわずかにとりながら答えた。
「アカデミーの成績は体術、忍術、個人、チーム、戦術が分かるんだよ」
「それで?」
「サスケは体術以外は全部一位なの、けどお前が来たからどうなるか分からないだろ?」
「・・・・・・なるほどね。けど今から敗北に慣れておけば大蛇丸のところに行かなくなるんじゃない」
「逆に行きやすくなる可能性もあるだろうが」
「ま、なすようにしかならないよ」
(私的には大蛇丸のところに行ってくれるといろいろと助かるんだけどね。サスケが手に入れば最悪の場合多少逃げれればそうしつこくは追ってこないだろうし、ほおって置けば大蛇丸を勝手に倒してくれるし)
「そうだけどな」
「第一私が忍術で一位になっても体術一位のお前には非難する権利が無い」
「痛いとこつくのな」
 そして二人が同時に動き出そうとしたとき――
「お~い、いったん集まれ」
 ――イルカ先生の声が響いた。
「なんかタイミングが悪い先生だな」
「まったくだ」
 生徒が全員集まると先生は話し始めた。
「え~、今から二人組みになって忍術ありの模擬戦をしてもらう」
「! ・・・・・・先生、私は今日が始めて何で見学でもいいですか」
「ん? ああそうだな。組み手を見た感じ問題が無いようだったが」
「いえいえ、まだ不慣れですので」
「そうか。じゃあ見学してなさい」
「はい」
 私はイルカ先生が模擬戦といった瞬間サスケの視線を感じて速攻で見学を申し入れた。
「ちっ」
 あっ、舌打ちが聞こえた。





「いや~、サスケの視線が痛かったね」
 今、私は放課後テツと二人で話している。
「ああ、他のやつらも気づいてるのは気づいてる」
「だよね~」
「けど何でやらなかったんだ」
「めんどくさいこの一言に尽きる」
「適当だな」
「そんなことよりさ」
「何だよ」
「どこかに水場のある演習場内?」
「あるだろうな」
「そこって入れるかな?」
「無理」
「だよね」
 私はため息を突きながら言った。
「第一どうしてそんなところに行きたいんだよ」
「水遁の修行。結構難易度の高い忍術が使えるんだけどさ威力が高いのだと村にいたときはばれないようにするために弱めてしか使えなかったから、だから高い威力で使おうとすると余計なチャクラを使っちゃうと思うんだよね。だからさ、どっかで練習したいんだよ。もしも戦闘になったとき困るでしょ?」
「なるほどな俺は体術と土遁だからね。特に問題は無いな。てか問題の出る水遁って何だよ」
「水の刃、水龍弾、水牙弾 あと風遁の風の刃もかな?」
「だんだけだよ」
「言ったでしょ家の事情みたいなもんだよ。いやこの場合血の問題かな?」
「・・・・・・そういえばそうだったな」
 気まずい空気が流れたが氷華が話を変えた。
「まっ、日向の敷地内でやっていいってヒアシ殿には言われてるんだけどさいやじゃん。世話になってる人の敷地を荒らす可能性があるから」
「なるほどね。
 ・・・・・そういえば螺旋丸の練習したか?」
「した」
「出来たか? ちなみに俺はまだ」
「出来たといえば出来たし、出来てないといえば出来てない」
「意味わかんねえよ」
「自来也の螺旋丸修行覚えてる?」
「確かはじめに水風船を割らないようにチャクラを球体状にとどめてその後ゴムボールが割れるほど乱回転させて最後に乱回転させた状態を圧縮させて球体状にさせるってやつだろ」
「うん、私が覚えてるのもそんな感じ」
「で、それがどうすれば答えになるんだよ」
「ま、聞けって、第一段階の球体状には余裕で出来た。第二段階は少し苦労したかな? で問題は最終段階これがうまくいかなくてね前に村でチャクラをこめすぎて少し大変なことになって以来殆どやってないんだよ。少しでいいなら出来るんだけど」
「少し?」
「そっ、普通の螺旋丸は指を少し曲げると大体握る感じになる大きさでしょ。つまり手首から指の先までサイズでしょ」
「そうだな」
「私は螺旋丸の状態にしようとすると手のひらサイズが限界しこも手の平サイズつまり手首から指の付け根まで」
 そういって私は小さな螺旋丸を作って見せた。
「小さいな」
「そ、威力もそこまでは無い。ただ球体だけじゃなくて円盤にも出来るからね柔拳もどきとあわせれば飛び道具を防ぐのにも使える」
 手の平の上で螺旋丸を円盤状に伸ばした。
「まじで」
「まじで、けどそのうち普通サイズの螺旋丸も習得したいね」
「おれもだよ。使い勝手がいいからね」
「そういえばさ」
 私はふと疑問に思ったことを聞くことにした。
「なんだ?」
「一般家庭の生まれなんだよね?」
「そうだぞ。優所正しい一般家庭だ」
「じゃ、何で土遁の術が使えるの」
 巻物とか修行をつけてくれる人はいないはずだ。
「ああ、うちは優所正しい一般家庭なんだけどな祖父が忍びだったんだよ。まっ結婚相手は一般人の人で父も母も一般人だから俺は打ちの家系では祖父ぶり二人目の忍びなんだよ」
「つまり、祖父の残した巻物とかから習得したと」
「そ、祖父も土遁系だったらしくて」
「性質変化は遺伝的な感じがあるもんね。けどさそれは、一般家庭だけど優所正しい一般家庭ではないだろ」
「そうか?」



その後、少し話すと氷華は言い出した。
「じゃ、用事あるからかえるね」
「用事なんかあるのか?」
「うん。ハナビに少し稽古つけてもらうの」
「稽古?」
「そっ、前にも言ったでしょ体術はやって無かったって、そこでハナビが断ったんだけどうしても助けてもらったお礼がしたいって言うから頼んだんだ」
「そうか。しても、二回も起こるとはな」
「そうだね」
 そう、ハナビの誘拐未遂は二回目なのだ。正確には日向宗家の子誘拐未遂は私が木の葉に来る前に原作道理ヒナタも誘拐されそうになったそうだ。そして原作道理に解決した。
「じゃ、また明日」
「ああ、またな」
 そういって私は日向宗家の屋敷に向かって歩き出した。





 私は日向宗家に帰ると忍術の修行のあとにハナビに稽古をつけてもらった。
 しかし、今私はハナビに看護されていた。理由は簡単だ、稽古の後軽い組み手をしたのだがやられてしまったただそれだけだ。元々体術特化系で日向宗家の跡取り候補、付け焼刃体術の私では意図も簡単にやられてしまった。
「・・・・・すいません」
 隣ではハナビがしおらしく謝罪している。
「いや、気にしなくていいから」
 そう、私が弱かっただけ、いいんだもん。私の本領は忍術だから体術であっさり負けても悔しくも無いんだよ。こんちくしょう、
 ・・・・・・あれ考えてたら涙が出そうだ。



 こうして私のアカデミーの初日は終わった。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第七話 ハナビ、アカデミー入学
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:67f0b1de
Date: 2009/11/29 14:33

 アカデミーに通い始めて約半年がすぎアカデミーの最終学年になった私の一日は殆ど決まっていた。
 朝はハナビ、ヒナタの稽古の見学、術の修行。
 昼はアカデミー、テツや原作キャラとの会話など。
夜は術の修行、ハナビによる稽古、組み手。
 しかし、こんな決まった一日は唐突に崩れ去った。
「はじめましてこのたび転入することになりました日向ハナビです。よろしくお願いします」
 教卓の前でハナビが恭しく頭を下げた。
 なぜこんなことになったのか私は理由を知っている。なぜならヒアシ殿に二日前に聞かされたからだ。





 二日前、私はヒアシ殿に呼ばれヒアシ殿の部屋にいた。
「お呼びでしょうかヒアシ殿」
「うむ、いきなり呼び出してすまないな」
「いえいえ」
 少ししたらヒアシ殿は徐に話し始めた。
「頼みがある」
「頼みですか? いいですよ。私は日向宗家にお世話になってる身ですし」
「すまない。頼みというのはハナビのことなのだが」
「ハナビですか?」
「そうだ。ハナビが今度アカデミーに通うことになった」
 ・・・
 ・・
 ・
「・・・・・・はい? ヒアシ殿私の記憶が正しければ日向宗家の人は基本的にアカデミーを卒業しなくても忍びの資格は手に入ると思ったんですけど」
「そうだ」
「だったらなぜ?」
「事の発端昨日のことだ」





 さらに一日前、ハナビとヒアシはヒアシの部屋で話していた。
「父上折り入って頼みがあります」
「なんだ」
「私をアカデミーに通わせてくれませんか?」
「・・・・・・アカデミーに? その必要はない」
「なぜです?」
「アカデミーに通うよりも家で修行をしたほうがためになるからだ。第一宗家はアカデミーを卒業せずとも忍びになれる」
「果たしてそうでしょうか父上」
「なに?」
「確かにアカデミーに通っても学ぶことは少ないでしょう、しかし、下忍になったときのスリーマンセルからは学ぶものがあると思います。これはスリーマンセルを経験しなければすぐには学べません」
「う、む」
「もちろんアカデミーに通っても修行はきちんとします。父上お願いします」





「――で、許可したと」
「う、む」
 ヒアシ殿は少々歯切れが悪く答えた。
「確かに言っていることは言い訳っぽいですけど理にかなってます。その上アカデミーに通ってからもきちんと修行をするといわれてはむげには断れず、断る理由も殆ど無かったかと」
 他にも普段あまり頼みごとをしない娘の頼みをむげに断りたくは無かったという親心もあるんだろうけど、
「そうだ」
「つまり、私に頼みたいのは有事の際の対処ですか?」
「うむ」
「はぁ、確かに宗家の子がそろってアカデミーに通うのは何か起こるかもしれませんね」
「そうだ。誘拐は二度も失敗したとはいえ――」
 私はヒアシ殿の言葉の続きを言った。
「逆に雲隠れの里の誘拐支持派は二度の失敗で立場を無くし、汚名返上のためにやけになる可能性もごくわずかとはいえないとはいえませんしね」
「そうだ、な」
 歯切れが悪くなったのは弟の死を思い出しているからかもしれない。
 余談ではあるがハナビを誘拐しようとしたのも雲隠れの忍びだった。
「分かりました。その話謹んでお受けします」





「はぁ」
 今私はテツと共に屋上で昼食を食べている。ハナビはヒナタと共にクラスの女子に囲われていた。
「それにしてもハナビが転入してくるとはな」
「そうだね。転入するときヒアシ殿に言った理由は筋が通ってるけど何でいまさら通いたいと思ったんだろ」
「・・・・・・」
 テツが私を怪訝そうな目で見てくる。
「なに?」
「本当に心当たりは無いのか」
 そういわれ少し考えてみると一つの考えが浮かんだ。
「・・・・・・なるほど宗家に住むものからアカデミーに通うものが二人も出来たから興味が出たのか」
「・・・・・・・・かわいそうに」
 テツはそういうと遠い目をしながらいった。
「誰が?」
「・・・・・もうこの話はやめにしよう」
「大変気になるんだけど」
「それにしてもサスケはどうなるのかね」
「やけにサスケを気にかけるね。さてはホモ?」
 若干引き気味に聞くと怒鳴り声が返ってきた。
「んなわけあるかー! メインキャラだから気にかけてるだけだ」
「あらそう」
「は~この話は置いておいてサスケの成績はかなり変わるな」
「そうだね。ハナビはほぼ確実にお前を抜いて体術は一位になるだろうしね」
「そうだな。重りをはずしても勝てる気がしない」
「・・・・・重り?」
「ああ、言ってなかったな原作でリーがしてたのと同じ重りだよ。俺のほうがかなり軽いけど」
「何でそんな持ってるの?」
「ん? ああ、俺の体術は殆ど我流なんだけどたまにガイさんに稽古つけてもらうんだよ」
「ガイって原作の」
「そう」
 それを聞いた氷華はテツから離れた。
「・・・・・・おい。何で離れる?」
「だって伝染するんでしょあの濃さとか眉とか、女顔は少し気にしてるけどあの濃さと眉よりは一兆倍以上まし」
「伝染なんするか~! 大体伝染するってどんな伝染病だよ!」
「ゲジマユ伝染病?」
「ねーよ!」
「ま、冗談はここら辺にしておいて」
「冗談だったのかよ」
「当然でしょ。50%は冗談だよ」
「残りの50%は!?」
「だって、チャクラや忍術があるんだからそんな感じの伝染もありえなくないかなって、カカシだって少年時代はまともだったのに今じゃ師匠の師匠の影響受けてるじゃん」
「・・・・・・もうそれ以上言わないで心配になってきた。お願い」
「OK。けどこのままだと今期NO.1ルーキーはハナビだね。このまま敗北を知ってナルトの成長速度に嫉妬しないようになってくれると吉だね」
「そうだな。
 ・・・・・・そういえばうちはが滅びるまで日向とうちははどっちが木の葉最強か競ってただろ」
「そうだね」
「どっちが強いと思う?」
「日向」
 私はきっぱりと答えた。
「それは、身内びいきとかじゃなくて」
「当然うちはがみんな万華鏡写輪眼だったり、複数の永遠の万華鏡写輪眼だと別だけど」
「その心は」
「白眼は遠くを見る、透視以外にも幻術や瞳術による洗脳を見破る力に長けているんだよ。つまり幻術などが効かないと仮定していい」
「そうだな。原作でも水影の部下が白眼で前水影の洗脳を見破ってたとか言ってたな」
「・・・・・・そういえば聞いてなかったけど原作どこまで見た?
 ちなみに私はキラービーVS鬼鮫が終わりそうなところ」
「俺は五影会議にサスケが襲撃しに来たところ」
「ふ~ん、っと閑話休題。つまり、日向に幻術は効かないと考えてさらに月読も効かないと考える。天照は前もって知っとけば警戒が出来るから八卦掌大回天をやれば一時的には防げるだろうし、やったらすぐにそこを離れる。そうすると気をつけるのは須佐能乎だけ。けどあれはリスクが高い。しかも、万華鏡写輪眼は永遠の万華鏡じゃないと視力が下がっていくし、
 この仮説が正しいと日向は万華鏡写輪眼の対抗策が生まれながらあるね。ガイみたいに足を見て戦うのは月読には有効だけどその戦い方だと天照は絶対によけられない。普通に戦っても日向は体術メイン、写輪眼の意味は普通の忍びに比べると半減はする」
「・・・・・・なるほどな、その仮説は筋が通ってる本当になるとイタチ対策になるな」
「けど、須佐能乎がね~、
 ・・・・・・ってこんな先の絶望的な暗い話はやめない」
「賛成。
 そういえばハナビとネジどっちが強いと思う?」
「互角」
「ネジのほうが才能はあるだろ」
「そうだね。確かに自力で奥義にたどりつくのはすごいけどね。簡単に言えば、意固地に殆ど一人で修行するのと指導を受けて修行するのは速度が違う。まして、日向流は長い歴史で完成してるし」
「なるほどね」





 今、私はハナビと一緒に日向宗家に向かって歩いている。
「ハナビアカデミーはどうだった? 楽しかった?」
「はい! 楽しかったです! あんなに同い年の人と話したのは初めてでしたし」
 そう、ハナビは年相応に言った。普段は大人びているが日向宗家のプレッシャーとか宗家の責任みたいなのからなってるのだろう、年相応なのはいいことだ。
 それにしても、この転入は原作にどんな影響を与えることやら、



 こうしてハナビのアカデミー初日は終わった。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第八話 第十三班
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:67f0b1de
Date: 2009/12/05 22:27



 私こと雪白氷華はすばらしく機嫌がいい。理由は昨日影分身をマスターしたからだ。もっとも徹夜で少し眠いがそんなこと気にならないくらい機嫌がいい。だってこれで原作の修行法が出来るのだから。
 予断ではあるが血継限界の血が複数流れている影響かは分からないがチャクラが異様に多い。潜在的には九尾のチャクラを使わないナルトと同等かそれ以上だと思う、つまり確かカカシの三倍以上、もっとも詳しくはカカシに会ったことが無いから分からないのだが、ナルトも九尾のチャクラが加えればすぐに抜かれだろうこれは断言できる。まったく人柱力はチャクラに関してはうらやましい、完成された人柱力になれば幻術が効かないのもだが、
 チャクラは今現在の状況でもヒアシ殿曰く上忍並みにあるらしい。ヒアシ殿も驚いていた。このチャクラ量ならあまり問題なく影分身の修行が出来るだろう。ああ、これで考えていた忍術の完成が早くなる。今は三体の影分身に修行をさせている。
「ふふふ」
 本当に笑みがこぼれてしまう、




 怖い、今俺の頭の中はその一言に埋め尽くされている。事の発端は俺こと黒金テツはアカデミーに向かう途中だった。
 何があったのだろう。
氷華、ハナビという俺以外のイレギュラーが二人もアカデミーに入学してきたが特に問題なくアカデミーの日々はすぎていった。
若干サスケが二人を見る視線が気になるが、理由の知らないハナビはなれると無視している。
 氷華は氷華で理由は俺同様なんとなく分かるはずなのに基本的に無視してごくたまにはるか高みから見る目でサスケを見る。明らかにわざと苛立たせてる。
 そして気がついた。氷華は間違いなくサスケを大蛇丸の所に行かせる気だ。反対はしない、俺もそっちのほうがいい。大蛇丸退治イベントはサスケに逆に取り込まれる、イタチと対決時にサスケから大蛇丸が脱出そしてイタチにやられる。
 ・・・・・・どう考えてもサスケが大蛇丸のところに行かなければ始まらない。俺もサスケを大蛇丸のところに送るのは賛成だ。むしろサスケが行かないとしわ寄せがイレギュラーである俺にも回ってきそうだし。長く接したから結構心が痛むが、
話はずれたが卒業試験も終わり今日はスリーマンセルを発表する日だ。本来なら意気揚々とアカデミーに向かっているところだろう、
しかし俺のテンションは低い、理由は隣を歩いている氷華だ。アカデミーへ登校中にたまたま会ったのだが初めは機嫌が良かった。それはすごく良かった。なのに何の前触れも無くいきなり黒い笑みで笑い出した。「ふふふ」って、
分からない。なぜいきなり黒い笑みで笑い出したのか、そして、なぜ隣にいるハナビとヒナタが平然としているのか、耐えられない。この笑い声が支配した空気から開放されるために意を決して氷華に話しかけた。幸い話のねたはあった、とはいってもハナビたちが居るから全部話したりはしないが、
「そういえばさ、下忍になったらあれを覚えたいって言ってたじゃんどうするの?」
 意味を訳すとこうだ。『影分身をナルトから教えてもらうとかいってたけど具体的にはいつにするんだ?』
「影分身なら昨日覚えたよ」
 ・・・・・・はい? 黒い笑みを消してくれたのはうれしいけど意味が分からん。
「どうやって?」
「それはね――」
 氷華の話はこうだ。
昨日卒業の祝いで装備一式を貰ったらしい。「次の下忍認定試験落ちたらとか考えないのかね~」と言ったら「私が落ちると思う? 実力云々の前に答えを知ってるんだよ」と答えてきた。確かにそうだある意味落ちることなどありえない、鈴取りでなくてもある程度は似ているだろう、要求されるのがチームワークとかの点で、
話を戻すと他に何かほしいものは無いか的な話になってなら影分身を教えてもらえると嬉しいです見たいな事を言ったらあっけなく巻物をくれたらしい。そして、昨日のうちに会得したため機嫌がよく、黒い笑みを浮かべていたのはこれで修行がやりやすくなると思ったら自然と笑みがこぼれていたらしい。本人は黒い笑みのつもりは一切無かったらしいが、
 そんな話をしていたらアカデミーについた。そのとき視線を感じ振り向くとこっちを睨んでいるハナビがいた。なんとなく言いたい事はわかった。
 ハナビは氷華のことが好きだ。しかしサクラ、イノのように積極的に出るわけでもなく、ヒナタのようにもじもじしているでもなく普通にしている。そのため氷華は一切気づいてない。良くしてくれても助けられた恩をまだ忘れないなんて、なんていい子なんだと思っている。以前本人に聞いたから間違いない。だから気づいているのは高い確率でヒナタと俺だけだ。きっと話したかったのだろう。だからって睨むのははやめてもらいたい。氷華が転入してきてから理不尽な視線を感じる。先のハナビの嫉妬? の視線、俺が良く二人と一緒に居るのが原因なのか二人に睨んでも無視されたときサスケから感じる視線。
 アカデミーを卒業できて嬉しかったのはこれらからの開放だ。



 私こと日向ハナビは黒金テツに嫉妬している。理由は隣に居る雪白氷華だ。
 私と氷華さんの出会いは劇的だった。それは私が十歳のとき他里の忍びに誘拐された。正確には未遂だが、氷華さんは里の外に連れ出された私をたまたま見かけて助けようとしてくれた。私がはじめて見た氷華さんは氷の鏡の中を光速で動きまわっていた。最終的には氷華さんが上空に放った忍術に気がついた木ノ葉の忍びが助けてくれたそうだが氷華さんが居なかったら救助が間に合わなかったかもしれないそうだ。私もそう思う。
 こんなことがあれば氷華さんを好きになるのも仕方が無いと思う。
だから氷華さんが日向宗家に住むと聞いたときはうれしかった。
氷華さんがアカデミーに通い始めると自分も一緒に通いたかったが父上に反対されることは分かっていたので理由を考え信憑性を高めるために氷華さんがアカデミーに通って約半年たってから父上に話を持ち出した。これなら理由に違和感を感じても二人も家からアカデミーに通うようになったから何かしら思うようになったのだろうと思ってくれるかもしれないと思ったからだ。その策のおかげかは分からないが私もアカデミーに通うことが出来るようになった。
一緒に居られる時間が増えたのはうれしかったが、そこに黒金テツが居た。
二人は私が知らない何かをお互い知っているらしい。これは仕方が無いと思う二人は男同士だし男同士でないと分からない話もあるだろう。しかし嫉妬はする。
そう今みたいに何かを隠した会話を目の前でされれば、



 三人が三人とも考えていることはまったく違うとはいえ真剣に考えているとき残されたヒナタは昨日試験に落ちたナルトを心配していた。





「(なぁ~、どうなると思う)」
「(ん? 何が)」
 アカデミーの教室でナルトは二、三回試験に落ちてるのにどうしてネジとかリーと知り合いじゃないんだろ? と前世では所詮漫画と思い気にしていなかったこともその世界に来ればその矛盾が気になってしまうそんなことを考えながら班の発表に来る先生を待っているとテツが話しかけてきた。
「(班だよ。班)」
「(あ~、班ね)」
「(どうなるか分かるか?)」
「(いくつか予想はつくけどこればっかりはどうしようもないね)」
「(予想? どんな)」
「(予想1、原作通り+私、お前、ハナビ組み)」
「(元々居たのにイレギュラー組を加えると)」
「(そう。予想2がイレギュラーが加わったから成績も変動したからね。そのためナルトの班が変わる。サスケ代わりに私とか、サクラの代わりにハナビとか。けど、これは原作から大きく変わるから可能性は一番低い。てか殆ど無い)」
「(まあ、だろうな)」
「(最後が原作に出てきた班をそのままに後のメンバーで普通に決める。これが一番可能性が高いかな?)」
「(なるほどね)」
「(ま、私とハナビは一緒の可能性が高いけど)」
「(なぜ?)」
「(ハナビは時期当主候補。このまま行けば確実だろうね。そんなハナビと誰を組ませるかみんな悩む。当主の機嫌を損ねてこれ以上、上層部との仲を不仲にするわけには行かない)」
「(そうだろうね)」
「(どうする? 誰と組ませる? そうだ。普段から同じ屋敷に住んでいる氷華なら機嫌を損ねることも無いだろう、って教師たちは結論になる。もしかしたら当主が組ませろ、って言ってくるかもしれないし)」
「(なるほど)」
 ・・・
 ・・
 ・
 少ししてイルカ先生が教室に入ってきてスリーマンセルの班の発表が始まった。
「――次第七班、春野サクラ・・・・・・うずまきナルト! それと・・・・・・うちはサスケ」
 名前が呼ばれるたびに「ヤッター」や「しゃーんなろー!!」という叫びが聞こえた。
「(原作通りだな)」
「(そうだね。やっぱしここは変わんないね)」
「次第八班、犬塚キバ、日向ヒナタ、油女シノ、
 ・・・
 ・・
 ・
次第十班、山中イノ、奈良シカマル、秋道チョウジ、
・・・
・・
 ・
次第十三班、日向ハナビ、雪白氷華、黒金テツ」
「(細かいのは分からないけど、お前の予想1が当たったな)」
「(そうだね。これは理想的な展開だよ)」
 二人で結果に満足していると教室から声が上がった。
「先生ー、これ班の力のバランスが均等になってません。ハナビは一番だし氷華二番だしテツも四番じゃないですか」
 余談ではあるがサスケは三番だ。
「ええーい。これはもう決定したことだ。文句言わない!」
 それはそうだろう。いまさら変わらない。しかし確かにバランスが悪い私の班が圧倒的だ。イレギュラーが集まったのはこの世界の修正力や強制力も働いたのだろうか?
「じゃ、みんな午後から上忍の先生たちを紹介するから。それまで解散」





 午後私たちは担当上忍と共に屋上に居た。
「あー、じゃ自己紹介と行こうね。私は夏花ハナ、好き嫌いは特に意識したことが無いかな? 趣味は無いね。将来の夢は結婚して子供生んで孫に囲まれながら寿命で死にたいな」
 黒髪に黒眼で着物を忍装束の上に羽織った額宛を太股につけたどちら方いえば美しい分類に入る女性だった。
  余談ではあるがハナビはヒナタと同じく首に、テツは普通に額に、私は左の二の腕につけている。
「じゃあ、次そこの男の子」
「あ~、俺は黒金テツ、好き嫌いは特に無い。趣味はしいて言えば昼寝と修行。将来の夢はある程度稼いで結構いい老後を過ごすことにしておく」
 昼寝と修行は割りと対極なんじゃないか?
「ふ~ん。次女の子」
「私は日向ハナビです。好き嫌いは特にありません。将来は日向の名に恥じぬ者になることです」
「しっかりしてるね。最後、そこの美少女の男の子」
「びっ、
・・・・・・私は雪白氷華、性別は男です。好きなものは強いてあげれば和菓子。嫌いなものは名前を言うのも恐ろしい虫。趣味は読書。将来の夢は強くなること、それと、私はけして美少女ではありません」
「その顔で肩まで髪伸ばしてる子に言われても説得力が薄いけどね」
「うるさいです」
「じゃ、自己紹介も終わったことだし明日任務でサバイバル演習やるから。詳しくはこのプリント見てね」
 そういってハナ先生はプリントを配った。そのとき私とハナビを探るような目で見てきた気がした。
「下忍任官試験ね~」
「そう脱落率66%以上の、ね」
「分かりました」
「以外に驚かないね」
「毎年三十人近く下忍になってたら木ノ葉の忍びはもっと多く居ます」
「正論ね」
「じゃ、明日」





 アカデミーからの帰り道、私は一つの可能性に気づきたとえその可能性がかなり低いものだとしても多少なりあると思い笑っていた。
「また笑って、どうしたんだ?」
「気づかない?」
「まったく」
「たまには自分で考えてみなよ。まだ推測だし可能性自体低いけど、もしかしたらいろいろと都合よく働いてるかもね」
「意味分からん」
「だから考えてみろって」
「ん~~~~」
 そういうとテツは唸りながら考え始めた。
「そうだハナビ」
「なんですか」
「明日の試験さ。たぶんチームワークを見るのになると思うんだよね」
「私もそう思います。アカデミーを卒業してまだ日がたっていないのに個人の能力を今更見ても仕方がありません。中には私たちみたいに本気を出して居なかったものもいるかもしれませんが」
 ハナビは、私はもちろんテツも実力を隠してることを知っている。前に私とテツのあまり怪我をさせない程度に加減した。組み手を見たからだ。正確に言えば隠していると言うよりは出していないだけだが、テツはまだしも、ハナビや私は隠しているのがハナビが柔拳、私が忍術と本気を出したら軽くアカデミーレベルならお互い殺せる。テツは骨折や複雑骨折にとどまるかもしれないが、
「だからさ、明日はどんな内容でも三人で協力しようね」
「そうですね」
「そうだな」



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第九話 下忍任官試験
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:a8463b88
Date: 2009/12/29 23:20

 「此処に二つの鈴があります。これを私から制限時間内までに奪い取る事が課題です。ちなみに、鈴は二つしかないからね、一人は落第して貰うよ」
 顔合わせした次の日、渡されたプリントに記された場所に来るとハナ先生はそんなことを言った。
「・・・・・・まじ?」
「なるほど」
 テツ、ハナビは思うところがあるらしく言葉を口にしたが私は内心ほくそ笑んでいた。そして気がついたまた探るようにこちらを見ていることに、
(これは、これは私の気がついた可能性が正解の確立があがったね)
「内容は理解しました。始めましょう。ハナ先生」
「そうね。じゃ、はじめ!」
 そう言うとハナ先生は瞬身の術で消えた。
「さて、どう思う?」
「十中八九、二つしか鈴が無いのはその中でも協力できるかを見てますね」
「俺もそう思う」
「じゃ、昨日決めた通り。協力する方向で」
「はい」
「分かった」
「じゃ、まずハナビは白眼で索敵、見つけたら私が忍術で攻撃、よけると思うからそこをハナビとテツで攻撃、二人を離れたりしたらまた私が忍術でいい?」
 私は下忍の中では体術は割と出来る分類になるだろう。しかし、この二人と比べると弱い。足手まといになるほどではないが二人から少しはなれたところで忍術による攻撃が理想だ。
「問題ありません」
「こっちもだ」
「じゃ、始めよ」



「さてさて、あの子達はどう出るかな?」
 ハナは特に隠れもせず少し離れた場所に立っていた。
(結構やるだろうな。それに、もしかしたら――)
 考え事をしているとふと視界に水の龍が入ってきた。
「――なっ、水遁・水龍弾の術!? 下忍の使う忍術じゃないでしょうが!」
 叫びながらハナは横に跳んだ。しかし跳んだ先にはテツがいた。
「くらえっ!」
「甘い!」
テツはハナに回し蹴りを放ったがハナは蹴りを受け流し、受け流した足を掴んで投げようとしたが、
「甘いです」
そこにハナビが出てきて柔拳の一撃を加えようとした。
「日向の柔拳を食らうなんて却下よ」
 そう言うと掴んでいた足を離し二人から離れた。
「風遁・風の刃」
 氷華が跳び出しながら忍術を使った。
「本当にさっきから下忍の使う忍術じゃないわよ!!」
 紙一重で交わしながらハナは絶叫した。はっきり言ってさっきからハナはいっぱいいっぱいだ。
「終わりです。柔拳法・八卦六十四掌」
「しまっ――」
「八卦二掌、四掌、八掌、十六掌、三十二掌、八卦六十四掌!」
 ハナビの八卦六十四掌が決まりハナは倒れた。



「―――ん~~~」
 ようやくハナが目を覚ましたのを確認して言った。
「起きましたか? ハナ先生」
「ん~・・・・・・はっ」
「鈴は確かに受け取りました」
 そういって私はハナ先生に鈴を見せた。
「まさかすぐに協力してくるとはね」
「けど、これが正解だろ?」
「ええ、それとテツ、先生には敬語」
「うい~す」
「先生無理だと思います」
 テツが敬語? 無理だね。
「私もです」
 私の言葉にハナビも賛成した。
「・・・・・・そうみたいね」
「でもこれで合格ですよね」
 私はにっこり笑っていった。
「そうね。チームワークも出来てたし三人全員が下忍には十分すぎる実力があるしね」
「「「ありがとうございます」」」
「じゃ、任務が決まったら連絡するから今日は解散」
「はい」
 しかし、私は返事をしながら口だけを「後でここに来てください」と動かした。





「で、何でここに居るんだ?」
「何が」
 解散した後ハナビには用事があると言い演習場に戻ってきた。
「ここに戻ってきた理由だよ」
「・・・・・」
「なんだよ」
「・・・・・・本当に気づいてないの?」
「何が?」
「はぁ、もう少しすれば分かるよ」
 説明するのが面倒なので適当にはぐらかすとテツが不満そうに見てきたが無視した。



 しばらくしてハナ先生がやってきた。
「や、言われた通り来たわよ」
「は? ハナ先生? 何で?」
「気づかない?」
「ああ」
「ハナ先生は?」
「そうね。君たち二人が転生した人間だってことには気づいたわよ」
「なっ!?」
「正解です」
 ハナ先生の答えに満足し頷くと横からテツの怒鳴り声が聞こえてきた。
「どういうことだよ!」
「ハナ先生も転生した人間、転生者ってこと」
「そういうことよ」
 少しの間テツは混乱していたが納得したら質問してきた。
「何で分かったんだ?」
「あ、それは私も聞きたいな」
 ハナ先生もそれに同意した。
「まずはじめに始めてハナ先生と会ったとき私とハナビを探るような目で見てたんですよ。それで少々疑問に思ったんですけどそのときは日向宗家のこと木ノ葉の里の外から来た血継限界だからかと思っていたんですけど鈴取りのときも同じ目で見てきたんでこれは転生してきたものなら何らかの反応があるかもしれないと思ってみていた視線だと思ったんですよ」
「なるほどね。こっちのサインには気づいてくれたと」
「はい、助かりましたよ。こっちからは探せませんし」
「そうね。こっちも気づいたのが日向宗家の子の年齢がおかしいし、その宗家に住み始めた里外の血継限界、これは気づくわよ。けど、まさかこっちの子だと思わなかったけどね」
「そうですね。けどわたしたち転生者が居る時点でいろいろと狂っているんで細かいことはそこまで気にしないほうがいいですよ。それにしてもこっちが気づくように誘導する手儀はがいいですね」
「そう?」
「はい。こっちのテツなんか会ったら行き成り『原作どこまで読んだ』って言われましたよ」
「・・・・・・それは・・・ひどいわね」
「はい・・・・・・ひどいですよね」
 そう言い合うと二人でテツのほうを見た。
「・・・・・・悪かったな」
 ・・・
 ・・
 ・
 すこし、情報交換などをした後私は言った。
 ハナ先生は原作は第一部と少しだけ読んだそうだ。
「そうだ。先生に頼みがあるんですよ」
「なに?」
「波の国の任務受けたいんですけど」
 私がそういうと二人がそう言うとすごい勢いで突っ込んできた。
「「あほかーーーーー!!」
「なんで?」
「死にに行くようなものだろ!(でしょ!)」
「まあまあ、理由があります」
「なに」
「白の戦闘を見たいんです」
「は?」
「それだけ?」
「はい。細かな理由としては氷遁で魔鏡氷晶の鏡は二十数枚作れるようになったんですけど片手印が殆ど出来ないんですよ」
 忍術じゃなくて水を凍らせて少し動かすぐらいならできるんですがね。と付け加えて言った。
「・・・・・・理由は分かったけどだめよ。危険すぎるわ」
「その点ならご安心を先生が協力してくれれば危険は格段に下がります」
「協力?」
「はい。まず、原作でカカシ班が波の国に行く理由は確かナルトが文句言ったからですよね」
「俺の覚えてる限りそんな感じだったな」
「私の覚えてる限りもそんな感じね」
「そこで、任務を言い渡されるときに『なら、私の班も一緒に受けるというのはどうでしょう? うちの班も長期任務を受けたかったところですし、向こうのほうには子供たちの研修のようなものを加える代わりに二班をつけると言えばどうでしょう? 利害は一致しますし』てきなことを言えば受けられると思うんですよ。元々カカシ班だけで出来た任務ですし多少来る戦力は増えるでしょうけど」
「無理に決まってるだろ・・・・・・」
「いいかもしれないわね」
 ハナ先生はうなずいた。
「はい!?」
 それを聞いたテツが絶叫を上げた。
「何考えてんだ二人とも!」
「いいえ、考えればいい機会よ」
「なにが!」
「木の葉崩し」
「!」
「正解」
「・・・・・・どういうことだ」
「ハナ先生は上忍の殺気を受けとくべきと考えてるんだよ」
「そう、はっきり言って安全な任務を受けていくことは出来るけど木ノ葉崩しでは殺気を受ける可能性が高いそこで恐怖して動けないなんてなるわけにはいかないなら生存率が高くなおかつレベルの高い上忍の殺気を受けれる任務につけるならついておくべきよ」
「そうそう、特にテツはね」
「俺か?」
「そう、ハナビや私は訓練でヒアシ殿の殺気を受けてるよ。もっとも本気で殺そうとする殺気よりは恐怖は薄いんだろうけど、
 それに私は木ノ葉に来るまでに殺気受けたことあるし」
「殺気を受けたことが無いのは俺だけってことか」
「再不斬クラスの本気の殺気を受けたことは無いよ。あるのは先生ぐらいじゃない?」
 私とテツの視線がハナ先生に向く。
「・・・・・・私も二回か三回よ」
「少ないの? 多いの?」
「知らん」
「普通じゃない? 再不斬クラスよ」
「なるほど」
「じゃ、私のアイデアは採用ってことでいいですか?」
「ええ、確実ではないけどね」



 こうして下人任官試験の日は終わった。





――あとがき――

すいません。どうやら私は心底戦闘シーンが苦手なようです。
しかも短いし、



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第十話 波の国へ
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:a8463b88
Date: 2009/12/29 23:22



ハナ先生の許可も出て題して「波の国についてって白の戦闘と上忍の殺気を体験してみよう作戦」が始まったが一つ問題があった。それはいつナルトたちがいつ任務を受けるかが分からないという点だったがそこはテツが覚えていたので問題は解決された。「はじめた役に立ったんじゃない?」と言ったら「うるさい!」と言い少し泣いていたが、
そして今はその猫探しの任務を受けたと聞いて終わりそうな時間にやってきたのだがちょうどいいタイミングでナルトが騒いでるところだったのでハナ先生にアイコンタクトで合図を送った。

「火影様、行為のはどうでしょ。私の班とカカシの班が合同でCランクの任務を受けるというのは依頼人には子供たちの訓練をかねる代わりに一班分の料金で二班を貸し出すという条件で」

 この提案はあっさり通り波の国に行くのが決定した。






 少し待つと橋職人が現れた。
 ・・・・・・・・・名前は忘れました。
「なんだぁ? 超ガキばっかじゃねーかよ」
 ガキでもここに居る半数はやり方によってはそこいらの中忍に勝てますよ。
「・・・・・・特にそこの弱そうな女の子と一番ちっこい小僧。お前達それ本当に忍者かぁ!?」
「桜、気にしなくて良いよ」
「お前だ。お前!」
 ・・・・・・私? 今この人弱そうって言った上、女の子って言ってきたよ。木ノ葉に来て言われたから鬱憤が溜まってたんだよね。すこし脅かすか。
 私は瞬身の術で老人の横に行くと言った。
「!?」
「そこの小さい子はともかく私は子供の中では三番には入る強さなのでご心配なく。あと、私は男です。間違えることが今後ないようにお願いします」
「俺も強いってばよ!」
「まつ、私たちの部下は優秀なんで大丈夫ですよ~」
 最後にハナ先生がそう締めくくった。





 いろいろあったが原作どおりいま波の国に向かっている私たちハナ先生が率いる班はカカシ上忍の班の後ろに居る。そしていま前のカカシ上忍の班を四人が四人ともあきれた目で見ていた。
「(やっぱり気づいてない?)」
「(気づいてない)」
「(気づいてませんね)」
「(気づいてないでしょうね)」
 先ほど原作であった水溜りを通ったのだが本当にカカシ上忍の班はカカシ上忍以外気づいてないカカシ上忍は先ほど指摘しないようにと言う目で見てきたので誰も教えないがその後でさりげなく私たちを前にするようにしたのは私たちが襲ってきたら即排除すると思ったのと部下が実戦でどう反応するかが知りたかったのだろう、そんなことよりもNARUTOの世界に来たからこそ思う、お前ら忍者か? と、普通なら護衛任務なんだから周囲を警戒するだろう、そこで不自然な水溜りがあったら疑問に思うだろう、いや、こいつらは水溜りにも気づいてない。
「「「「「はぁ~」」」」」
 偶然か必然か五人のため息が重なった。





 少しすると気配が動いた。その瞬間私たち十三班は即座にタズナさん(挨拶をしたため名前が判明)を守るように移動した。
 後はまあ、原作どおりのやり取りがあった。ここでは九尾の力の規定外さを改めて知った。少しの切り傷等は即回復、この様子なら毒も効かないだろう、効くとしても軽減される。本当に規定外。
「(規定外だな)」
 どうやらテツも同じ事を考えていたらしい、
「(同感)」
 しかし、この忍者に襲われたことでやっともう一つのことを言うことができる。
「カカシ上忍、ハナ先生、それとテツ、ハナビ話があります」
 私は歩きながらナルト達に不振に思われないように呼んだ。そうすると全員さりげなくこちらに来た。
「なに」
「今回の敵は霧隠れの忍びを雇ってます。次来るのは上忍クラスだと思います」
「そうだろうね」
「そうすると目隠しで霧隠れの術を使う可能性が高いと思います。そうすると真っ先に狙われのは白眼を持つハナビです。そこを逆手に取ろうと思うのですが」
「どうやって」
「それは――――」



 そのときテツとハナは美味いと思っていた。さりげなく自分が知っていても教えられない情報からおかしくないようにその情報を使い作戦を立てるのだから。





 今、目の前に鬼人が居る。そう再不斬だ。しかし原作には居なかった三名の部下が居るこの中に白は居ない。
「(やばいな)」
「(そうね)」
「(残りの部下が二人上忍クラスだと厄介)」
 あの三人は原作に居なかった分、再不斬よりもある意味たちが悪い。もしも全員が上忍クラスだと一人がハナ先生に、もう一人が私たちに、最後の一人がナルト達に割り当てられる。私たちは相手の実力にもよるが勝てる可能性が無いわけでは無いがナルト達はナルトの九尾の力がないと無理だろう。たとえサスケのうちはの血が目覚めたとしても、
 そうすると、ナルト達を殺してから私たち、最後にハナ先生という連鎖が容易に想像できる。
「(祈るしかないね。全員が上忍クラスじゃないのを)」
(二人でもきついけど)
「(同感)」
「霧隠れの術」
 周囲を深い霧が多い視界がかなり制限された。
(すごいな。私だと無駄なチャクラを込めないときついレベルを意図も簡単に)
 氷華は下忍を超える実力も持っているが他の下忍にはない癖が出来てしまっている。それは幼い頃から強力な忍術を覚えていたが隠れて修行していたため目立たないように本来よりも力を下げて使うという癖だ。
木ノ葉に来てからその癖を修繕しているがすでに普通ならチャクラの量からも上忍と同じ威力を放てる忍術もあるのだが修繕しているといっても完全ではないのでやはりそれほどの忍術を使い威力を高めると無駄なチャクラを消費してしまう。
(やっぱり、不利だね。血継限界を持って生まれてきた幸運の分の不幸かな)
 原作通り再不斬は姿を消し(他の三名も姿を消した)何か言っているが十三班のメンバーは一切気にしなかった。
 氷華とテツは展開を知っていたし、ハナビは日向宗家として敵の言語に惑わされるような育てられ方をされていなかったからだ。
 少しすると原作通り再不斬がナルト達のところに現れ残りの三名のうち一名がハナビ、残りの二名がハナ先生に襲い掛かった。
(掛かった!)
 ハナビを襲おうとしていた忍びが攻撃するよりも早くポンッという音とともに出た白い煙から出てきたハナ先生が敵の首筋をクナイで切りつけた。
 残りの二人もハナ先生に攻撃したがその場に残ったのは白い煙と数枚の起爆札だ。
『!?』
 二人が爆風から飛び出してくるとテツと物陰から飛び出してきたハナビが追撃を加え二人を吹き飛ばした。
 水場まで吹き飛ばされた二人に氷華が印を結びながら接近し水場に到達すると術を発動した。
「水遁・水牙弾の術」
 先の事を考えあまり通常よりも多くのチャクラを込めなかったため通常よりは威力が下がっていたがそれでも効果はあった。水しぶきから出てきた二人は片方は戦闘が厳しいまでの傷を追いもう一人も少なからず負傷していた。
「やったな、作戦通りだ」
「そうだね」
 そうこれは作戦だった。





 時間は遡り氷華がカカシに作戦を伝えていたとき、
「それは、ハナビを隠します」
「隠す? そんなことしたらすぐに――なるほどそういうこと」
 カカシは疑問を問おうとしたが途中で自力で答えに行き着いた。
「はい。ハナビを隠し他のもの、この場合はカカシ上忍かハナ先生がハナビに変化します。私の意見ではハナ先生が変化したほうがいいかと、コピー忍者のはたけカカシは有名ですから狙われるでしょうから」
「なるほど」
「さらに敵は二人~四人程度でしょう。二人なら一人がカカシ上忍、もう一人がハナビで、三人なら残りの一人がハナ先生、四人ならハナ先生かカカシ上忍につく可能性が高いと思います。さらにハナ先生に向かってきた敵はハナ先生に変化させた私の影分身にやられぎはに起爆札を使わせます」
「へ~、影分身が使えるの?」
「はい。さらにこの作戦だとたとえ敵が霧隠れの術を使ってこなかったとしてもリスクが殆どありません」
「なるほどね」
「さらに、起爆札を食らわせた場合はハナビとテツに追撃をさせ最後に私が術を放てば多少はダメージを与えられるかと」
「うん、そうね。どうするカカシ」
「いいんじゃない」
「では、この作戦で」





(まったく、多少はとか言ってたけど多少どころじゃないでしょこれ。十三班の三人だけで一人を行動不能にさらにもう一人にも手傷を負わせちゃってるし、ハナはそんな育て方をしたんだろうかね。全員下忍では最高クラス、もしかしたら中忍クラスだな。使ってる術は上忍クラスだし、
 いや、元から多少は出来てたんだろうね。けどこれうちのサスケには毒だな)
 再不斬と対峙しながら今のもう一つの戦闘を見ながら言った。
 再不斬を見てみると再不斬も驚愕しているようだ。
「や~、再不斬君。部下がやられちゃったみたいだね~」
「はっ、俺一人いりゃあ後は足止めしてればそれで十分だ」
 その言葉は事実で足止めは成功している。
 氷華の攻撃を受け戦闘が厳しくなった敵はもうすでに引いていたがもう一人のほうはハナの足止めをしており、十三班の面子はタズナをつれ戦闘領域から離れては居ないものも完全に護衛に徹している。正しい判断だろう、敵がもう居ないとは言えない。少なくとも傷を負い引いた敵は一人居るのだ。完全に引いてなく機会を窺っている可能性もかなり低いもののなくはない。
(は~、それにくらべてうちの班は)
 カカシはちらっと自分の部下を盗み見た。すると今十三班が見せた戦闘に驚愕していてタズナの護衛も忘れていた。
「は~」
「お疲れのようだな」
 どうやらため息が漏れてしまったようだ。
もうすでに写輪眼は出ている。
「はじめようか」
 言うが早いか遅いか再不斬とカカシは同時に走り出した。





「(おい、どうするんだ)」
「(・・・・・・テツ私は軍の参謀でも新世界の神でも世界屈指の探偵でもないんだよ。ここでの対処は原作通りぐらいしか考えてないよ)」
「(まじかよ)」
「(悪いね。考えが甘かった)」
 今、カカシが原作通りに再不斬に捕まっている。
氷華の予定だとここは原作通り終わるはずだったのだが、
「(再不斬さっさと動いてナルト達を挑発しろ)」
 そう再不斬が動かないのだ。おそらくは氷華たち十三班を多少警戒してのことだろう。
「(テツ)」
「(なんだ?)」
「(お前がけしかけて)」
「(は?)」
「(だから、お前がナルト達をやる気にさせて)」
「(無理無理、お前のほうが得意だろ、挑発とか)」
「(・・・・・・言いたいことがあるけど、今は置いて置いて、じゃあ合わせてね)」
 氷華は少し前に歩きながらおもむろに言った。
「・・・・・・は~、仕方がない。行ってくるは後よろしく」
「行くってどこに行くんだ」
「ん? カカシ上忍を助けに、ナルト達がすぐ動くと思ってたけど動かないし」
『っ』
「あ~、じゃあ、俺もやるか後よろしくハナビ」
「「俺がやる(てばよ!!)!!」」
 ふっ、と私は笑った。どうやら言外に込めた「腰抜け」「お前たちじゃ無理」などの意味を理解してくれてその上で切れたくれたようだ。
 ここまで扱いやすいとは、そう思っているとテツが「恐ろしい」と呟いていた。何が?





 さて、どうしますかね。
 さりげなくハナ先生とテツに目配せをしたが二人とも首を横に振った。
 先の再不斬の戦闘はけしかけたこともあり始まり方に多少の狂いはあったが概ね原作通りだ。
 ・・・・・・そう、原作通りに今、白が目の前に居る。
 選択肢は二つ、原作通りに見逃すか戦うか、戦う・・・・・・無理だな、カカシ上忍は使い物にならない。今のナルト達は論外、ハナ先生と戦っていた忍びは白が出てくると引いた。あたりに居る可能性が高い。
 ハナ先生が先程の忍びで私とテツ、ハナビで白・・・・・これならいける。けど、もう一人敵が来るとキツイ敵の実力によっては無理だ。敵はまだ居たとしてもここにはいないとは思うが、気になるのは一番初めに逃げた敵だ。そいつが近くに居ればまだ良いが下忍にやられるのと速攻で一人殺れるのも計算外だったろう。そうすると援軍を呼びに行った可能性もなくはない。
 私はハナ先生のこの場はほおっておくという視線にうなずき白を見送った。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第十一話 波の国
Name: 月闇 冥◆4fbb1a0e ID:e52b5199
Date: 2010/07/29 20:10

「再不斬は生きている!」
 ようやくカカシ上忍が気がついたこれで次の意見を進言できる。
カカシ上忍の話が終わると私は言った。
「カカシ上忍、話があります」
「なに?」
「この任務は橋が完成するまでの護衛ですので再不斬だけが問題ではありません」
「そうだね」
「そこで、カカシ上忍が動けるようになるまでは私たちが護衛をしてそちらの班は訓練をしカカシ上忍は体を休める。そしてカカシ上忍が動けるようになったら私たちはガトウの様子を探りに行きます。こちらには白眼を持つハナビがいますしそちらの班よりは適任だと思います」
「そうだね。
 ・・・・・・ハナはどう思う?」
「私は賛成よ」
「じゃ、反対する理由は特にないしそういうことで」
「はい」
「それにしてもよく考えてるね。うちのはあんななのに」
「いえ、流石にあの三人は一人は何も考えてなくて、もう一人は周りが見えてない、最後に一人は色ボケですから」
「ははは、そうなんだよね」
「では、失礼しました」
 そう言い氷華はカカシの元から去った。





「で、カカシ上忍が納得したので私たちの行動方針は、
一、カカシ上忍が動けるようになるまでの護衛。
二、カカシ上忍が動けるようになったらガトウの調査になりました」
「・・・・・・」
「ん? どうかしたのハナビ」
「いえ、この班の隊長がハナ先生ではなくて氷華さんに見えてきただけです」
「うう、ひどい」
 ハナがあからさまに泣き崩れた。
「で護衛だけど――あ」
 氷華は話そうとしている最中に倒れた。
「おいおい! 大丈夫か!」
「問題ないよ・・・・・・置いてきた影分身が解けただけ」
「・・・・・・護衛任務中に自分の戦闘力を下げるなよ」
「ごもっとも、けどこれでまだ未完成だけど二つの新術ができたよ」
「は?」
「どんなのです」
「未完成が火遁を防ぐ風遁、もう一つ一応完成したのが土遁も貫く水遁」
「どんだけだよ」
「でたらめね」
「でたらめですね」
「まあ、影分身が無きゃきつかったけどね」
「なあ、今度影分身を教えてくれ」
「あっ、私もお願いします」
「ん、いいよ」
 余談だがハナビは氷華が影分身修行をしているのを知っている。ついでにヒアシも、
「けどハナビ、影分身修行は体術の修行はきついよ」
 これがハナビが影分身修行をしていない理由だ。体術だと一発貰えば消えてしまう。
「いえ、知識などを溜め込みますし、基礎の型の訓練もできますので」
「なるほど」
 それは思いつかなかったな~、そっか基礎か、
「じゃ、明日から護衛だけど基本的には二人で護衛で一時半ごとに一人交代ね」
「分かりました」
「はい」
「うぃっす」
「じゃ、今日は護衛はないから各自自由で」
「じゃあ、私は疲れたんで先に休みますね」
「分かったわ」






「で、どんな術作ったんだ」
 夜になるとハナとテツがやってきた。原作知識などの話をするのだろう。
「前世の知識をふんだんに使った術だよ」
「は?」
「なるほどね」
 テツは分からないようだがハナ先生は分かったようだ。
「は~、風遁の方は真空を作るの、そうすると火は酸素がないと燃えないから消える。天照とかだと問題なさそうだけど」
「なるほど」
「水遁は水を圧縮しまくるだけ」
「は?」
「さて、テツは分からないみたいだけどハナ先生は?」
「・・・・・・分からないはね」
「は~、簡単に言えば圧縮したのは無理やりチャクラで押さえ込みます。球体なんで螺旋丸みたいだけど、で無理あり抑えてるところの一部を緩めるとそこから勢いよく水が飛び出すわけよ、そうするとあれ、確かウォーターカッター? 高速か音速で水を出して鉄を切るやつあれになるって分け、威力はあるけど少し申し分ない威力が出るまで圧縮するのに時間がかかるんだよね」
「それって螺旋丸の属性追加か?」
「違う、螺旋してないし、圧縮しただけだし」
「なるほどね」
「それにしてもよく思いついたな。前世の原作知識以外をそんな風に使おうなんて考えても見なかった」
「「え?」」
「え? ってなに?」
「バカだったんだやっぱ」
「かわいそうに」
「なっ、だったらハナ先生はなんか作ったのかよ!」
「作ったわよ」
 そういうとハナ先生は着物の袖から手の甲の上に甲を覆うような刃物を出した。
「それがただの暗器の一種では?」
「これはチャクラ刀なの」
「で」
「ここで千鳥をするのよ。けどカカシみたいに速度は上がるようにしないで形質変化とチャクラ刀も使って手そのものが雷の刀みたいにするのよ」
「なるほど、写輪眼がないと使えないならそこを削って他の部分を付加させると」
「そういうこと、まっこれは前世の知識だけど原作知識の応用だけどね」
「・・・・・・じゃあ、原作知識を応用もしてなくて他の知識も使った術を作ってないのは俺だけと」
「そうだね」
「そうね」
「まじか」
「まあ、良いんじゃない? 基礎が大事だしね」
「ああ、そういえば聞きたいことがあったんだよ」
「なに?」
「お前さ白の片手印を使いたいって行ってたじゃん」
「うん」
「印は見切れるのか」
 ああ、その問題か、
「大丈夫私の前世どこにでもいるというわけではない高校生だったから」
「「は?」」
「瞬間記憶能力、サヴァン症候群なのかな」
「なんだ、さばん・・・・・・」
「サヴァン症候群、知的障害や自閉性障害のある者のうちごく特定の分野に限って常人には及びもつかない能力を発揮する者の症状だって」
「・・・・・・それが」
「ああ、私は確証ないんだけどね。似た感じだね。サヴァン症候群は航空写真を少し見ただけで細部にわたるまで描き起すことができる。映像記憶。 楽譜は全く読めないが、1度聞いただけの曲を、最後まで間違えずにピアノで弾くことができる。 書籍や電話帳、円周率などを暗唱できる。内容の理解を伴わないまま暗唱できる例もある。並外れた暗算をすることができるとか」
「「へ~」」
「私は単純に一瞬見たものを普通に覚えられるだけ。だから覚えなきゃ普通に忘れる。サヴァン症候群についても症状を意識したことはないから違うだろうしね」
「つまりそれで印を見て覚えると」
「そう」
「じゃあ、今日はみんな明日に備えて寝るってことで」



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第十二話 波の国での戦い1 前哨戦
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:e52b5199
Date: 2010/01/29 18:34



 カカシが治り私たちはガトウについて調べに出ている最中だ。ナルト達の修行は原作よりも効率が良かったハナ先生が医療忍術を使えたからだ。カカシには敵が来た時のためにチャクラを大量に消費するわけには行かないといって治してないが、まあこのまま戦闘せずに済めばよかったんだが世の中そう甘くはない。今は初めの襲撃でハナ先生と戦った上忍と思われる人物と中忍と思われる人物二人と対峙している。
「どうします? ハナ先生」
「・・・・・・おそらく再不斬は向こうに行ってるわね。戦力的にはカカシ班よりもこっちのほうが高いから応援を出すわ。氷華行って」
「はい」
 返事をすると私はもと来た道を戻った。しかし一人が追ってきた。
(てかこういうのは止めてよ)



「一人追いましたね」
「好都合よ。あの実力なら氷華には絶対に勝てない」
 ハナはこの場で自分とハナビ、テツで三人を相手するのと、氷華に一人押し付けて残りの二人を三人で相手するのではどちらが四人全員が生き残れるか考え後者を選んだ。流石に上忍を思われる人物が追ったら止めたが、
「じゃあ、二人ともそっちの奴をお願いね」
「「はい」」
 二人が返事をすると誰というでもなくその場に居た皆全員が同時に動き出した。





「しつこいな」
 追いかけてくる敵を背後に感じながら思考した。
(スピードはこっちのほうが上けど体術じゃ勝てないだろうな、このまま逃げ切ると向こうに負担がかかる、か)
 方針を決めると後ろを振り返り印を組んだ。
「風遁・風の刃!」
 私は風の刃を放ったがギリギリで避けられた。
「!?」
 敵は攻撃を避けると一気に近寄ってきて殴りかかってきた。
 私はすぐに後ろに跳び牽制にために術を放った。
「風遁・烈風掌!」
 相手は離れるとそのまま私は距離をとった。どうやら相手は距離を詰めたいようだ。
(・・・・・・出し惜しみする時間がもったいないね)
 私はポーチから水筒を三つ取り出すと蓋を全て開け中に投げた。
「水遁・水龍弾の術!」
 三つの水筒から出ていた水が一つの龍の形にまとまり相手に向かって飛んで行った。私はさらに印を組んだ。
 敵は片腕がかすったが避けることに成功した。
「!?」
「氷遁・水氷化」
 しかし途中で動きが止まってしまった。理由は単純だ。氷華が使った二つ目の術で当たったを氷遁の基本、ただ水を凍らせる術を使って腕を拘束したのだ。
 術名はないのだが勝手につけた。雰囲気で、
「風遁・風の刃」
 そのまま氷華は敵の首を風の刃で落とした。
 こうして一言も話すことなく名もない霧隠れの抜け忍は絶命した。
「たいしたことなかったね。術が得意だったのかな? だったら少しは分かるね。私の水遁の方が上だったから接近戦を挑んだってとこかな?」
 そのまま死体には目をくれずにまた走りだした。





「土遁・裂土転掌!」
 テツが手を地面に当てる亀裂が走った。
「!?」
 敵は上に飛んで避けたが――
「甘いです!」
 しかしそこにはハナビが居た。ハナビは敵の腰に柔拳を叩き込んだ。
「がっ!」
 敵は苦しみながらも距離をとった。
「甘い! 土遁・土流槍!」
 土から無数の槍が出てきて行く手を阻んだ。
「八卦空掌!」
「がっ!?」
 ハナビがチャクラを敵に叩きつけると気を失った。
「・・・・・・気を失いましたね」
「・・・・・・じゃあ縛っとくか」
「そうですね。殺すかはハナ先生に聞きましょう」
「それにしてもたいしたことなかったな」
「体術が苦手だったのでは? それに速攻で攻めましたし」
 二人は気を失った敵を拘束した。
「二人は大丈夫かね?」
「大丈夫でしょう、氷華さんは強いです。ハナ先生もたぶん強いです」
「まあそうだな」
 テツは氷華には勝てる気がしてなかった。ハナビと共闘すれば勝てるだろうが、
(嫌、遠距離になれば部が悪いか、そもそもハナビが氷華と俺のどっちと共闘するかを選ぶと氷華を選ぶわな。あ~、俺もなんか忍術考えよっかな)





 ハナはハナビとテツと少し離れた場所で戦っていた。
「やるわね!」
「お前もな、しかし部下は死ぬぞ」
「私の部下はそこらの中忍よりも強いわよ!」
 ハナはクナイを投げながら言った。
「そうか」
 敵はクナイを避けながら接近するとハナを蹴り飛ばした。
「くっ」
 ハナは飛ばされ木にぶつかった。ハナは起き上がると煙玉で煙幕を張った。
「無駄だ」
 敵はあたりを警戒しながらその場にとどまった。
 煙が晴れると両の手が雷の剣と化したハナが居た。
「雷切刀千鳥」
 ハナは術名を言うと敵に切りかかった。敵も威力の高い術だと気づいたのだろう距離をとりクナイを投げた。がそれは全て切られてしまった。
「やるな」
「5、4、3」
 ハナが行き成りカウントをし始めた。敵は不振に思ったが起爆札が付いているわけでもないので気にしなかった。
「2、1、0」
 カウントが終わると敵は体制を崩した。
「!?」
「さようなら」
 言うとハナは敵を切り裂いた。
「な・・・・・・なぜ?」
 敵の疑問にハナはわざわざ答え始めた。
「私はね。木ノ葉のくのいちの中じゃ体術は最高クラスだけど木ノ葉全体で見ると上のほうってだけなのよ。忍術も平均より上なだけ、幻術もそう。医療忍術もそう、使えるほうだけどトップクラスって分けじゃない。つまり才能がない器用貧乏なのよ。でね。決定的な一撃が欲しかったの。で、作った二つの術の内の一つがこの術、けど私じゃ当てられない可能性があった。
 そこで私は元々薬学の学生だったの、だから毒薬の開発を始めたの、この世界じゃ見つからないのもあったり向こうではなかったのもあったりして、いろいろできたわ。もっとも綱手姫にはとことん解毒薬を作られるだろし、私は毒とその解毒薬を作れても自分で作ってない毒の解毒薬を作る才能はあまりないけど」
 元々が才能じゃなくて知識を応用してるだけだしね。と付け足してから続きを話し始めた。
「けど武器に塗ったり今みたいに煙と一緒に撒けて解毒のしにくい粉末状の毒も作れた。ちなみに今使ったのは痺れ薬最も効果は薄いし少ししたら普通に動けるようになるんだけどね。味方がいると味方も効果受けるし」
「他の、世界?」
「気にしなくていいわよ。もう死ぬんだもの」
 言うとハナはクビを切り落とした。
「まあ、私には毒は殆ど効かないからできることなんだけどね」
 毒と解毒薬をいくつも摂取したことで出来た体質だ。木ノ葉にある毒と同じ効果の毒は殆ど効かないし他の毒も他の人よりは軽くなる。
 ハナは才能がないといったが才能はある。実際ハナは螺旋丸も雷切も使える。使わないのは雷切は写輪眼がないから、螺旋丸はいちいち作っていたらチャクラがなくなるから、これは雷切も当てはまるが、そこで肉体活性を減らしその分形質変化を加えて刀状でいちいち作らずその状態を保てるようにしたのだ。
「あ~、三人は大丈夫かな?」
 ハナは教え子の下に向かった。






[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第十三話 波の国での戦い2 VS白
Name: 月闇 冥◆4db5ff0c ID:e52b5199
Date: 2010/07/29 20:10


 お久しぶりです。
 今回、最後のほうがぐだぐだでご都合があります。








「さてと、どうするか」
 氷華は道中邪魔があったものの目的通り白の戦闘を観察することに成功した。そして次に思ったのは実際に戦闘してみたいということだ。
(実際に戦闘したら・・・・・・原作が全力なら勝てる。けどたぶん違うだろう。けど戦闘した方が氷遁を会得できるだろうし、
 しかし下手したら死ぬ。
 ・・・・・・・・・・いや、戦うべきだろう。ここで白との命がけの戦闘で強くなれるならやっておくべきだ。ここで逃れたとしても今後はもっとやばい奴が敵になる。しかも氷遁は教えられる人がいない、なら少しでもコツありなんなりつかめれる可能性があるな試すべきだろう)
 氷華はそう考えると白とサスケ、ナルトの戦闘を見て介入の機会をうかがった。
(タイミングは九尾が出る直前か直後でいいだろう)





 少し立つとナルトが九尾のチャクラを出したので介入を開始することにした。
「落ち着け」
 介入する際に氷華は落ち着かせるためにナルトを殴り飛ばした。
「なにするんだってばよ!」
 その甲斐あってか多少は落ち着いたようだ。
 ・・・・・・まだ九尾のチャクラが出ているが。
「落ち着け、サスケはまだ生きてます」
「!? け、けどこんなに刺さってて」
「急所は外れています。だから切れてる暇があったらサスケ連れてここから離れてください。巻き込んでしまうかもしれません」
「け、けど」
「サスケを死なせたいんですか?」
「!? 分かったてばよ」
 言うとナルトは戦闘領域から出て行った。おそらくサクラ達の近くにいるのだろう。
「わざわざ待ってもらってすいませんね」
「いえ、彼らを攻撃したらそのすきにやられてしまいそうでしたから」
「そうですか、でははじめましょうか」
「・・・・・・退いてはくれませんか」
「無理です」
「そうですか、なら仕方がありません。しかし戦うのならこの領域に入ったのは失敗でしたね」
「いえ、問題ありませんよ。氷遁・反転魔鏡氷晶」
 言うと私は印を組んで術を使った。
 その瞬間白の魔鏡氷晶に別の氷が張り始めた。
「これは!?」
 言うと白はあわてて氷の鏡からでてきた。
「ちっ、やっぱし出ますか」
 私の使った術は一応のために対白用に開発した術だ。まあ開発といっても簡単にできたが、効果は魔鏡氷晶を同じ氷遁で作った氷で多いその氷で反射を妨害するだけ、まあ氷遁だからこそできるのだが、つまり反射移動ができない以上閉じ込められればそのまま消せたんだが、まあそれだと決死の覚悟で戦闘を挑んだ意味がなくなってしまうが、
「・・・・・・あなたも、氷遁が使えるんですか」
「そう、案外私たちは親戚かもしれないね」
「そうですね」
「では――氷遁・氷槍翔」
 私は橋の下が水なので水の消費のことは考えずに攻撃を仕掛けた。
 ・・・・・・まあ、橋は多少壊れるが気にしてはいけない。
 氷の槍が白に向かって放たれるが白はそれを苦もなく避けると自らも術を氷華に向かって放った。
「氷遁・氷針翔」
「氷遁・氷壁」
 白は無数の氷の針を飛ばしたが氷華は氷の壁を出し防いだ。
「やるね(やりますね)」
 同時に言うと白が千本を持って氷華に向かっていった。
「氷遁・氷翔槍、氷遁・氷突槍」
 氷華は氷の槍を放ったが避けられ次に氷の槍を足元から突き出したがそれも避けられた。
「ちっ」
 氷華は舌打ちをするとクナイを構えた。
 キンッ、二人の武器がぶつかり合う。
「秘術・千殺水翔」
「くそっ」
 氷華は上から来る攻撃を避けたが数本食らってしまった。
(くそっ、速度ではこっちが上、けど純粋な技量じゃ向こうが上か、まあ分かってたことなんですけど、しかも食らったのは右腕、動かせるけどいつも通りの速度で印を結ぶのは不可能か、ここで片手印の差が出るとはね。
 ・・・・・・やばいね)
「水遁・水牙弾、水遁・水龍弾」
 氷華はじり貧になる前に火力で攻めた。
「・・・・・・やった、ことはないだろうな」
「氷遁・氷針雨」
「ちっ」
 水しぶきが上がりふさがっていた視界から白が出てくると術を使ってきた。
 氷の針が雨のように氷華に降り注いだ。
 氷華は瞬身の術で避けた。が――
「甘いです」
「がっ!?」
 白が目の前に現れ氷華を蹴り飛ばした。
「あなたは私よりも才能があるでしょう。現に今もすでにチャクラ量や速度ではあなたのほうが上だ。しかし経験が足りない」
「・・・・・・まあ分かってはいたんですけどね」
(そう、わかってはいた。今私が白に勝つのは厳しい)
よくて五分五分なのだ。実際はもっとしただろう。しかし――
(私は命をかけても強くなる機会に強くならなければならない。そのためにはやはり白はいい相手、それにはっきりって難易度は今後の敵と比べれば低い)
 そう、先にも述べたが今後のことを考えると白は弱い方だろう。今後は大蛇丸や暁が敵、つまり戦う可能性があるのだから。
「まあ、死ぬわけにはいかないんですよ。氷遁・氷突槍!」
「甘い」
 白はそれを避けると術を放った。
「氷遁・氷翔槍」
 その攻撃は氷華の左肩を貫いた。
「ッ!? あ、あ、ぐあああ!?」
「終わりです」
 白は氷華に歩み寄り始めた。
 それは氷華にとっては死神が歩みのようだろう。
(あ、まずいな。死ぬ)
 氷華がそう思った時氷華の視界が水色に染まった。
「ああああああ!?」
 視界が戻るとそこには氷遁・魔鏡氷晶と氷遁・反転魔鏡氷晶から伸びた氷、さらには下の水から伸びた水に貫かれている白がいた。
(なにが、起き、た・・・・・・)
 そこまで考え氷華は意識を失った。



[14163] NARUTO SS ~雪白氷華忍法伝~ 第十四話 血継限界、中忍試験へ
Name: 月闇 冥◆02a50ed9 ID:e52b5199
Date: 2010/07/29 20:15


 駄文です。徐々に主人公がチート風になってきました。


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 ハナは自宅で資料と自らの知識を照らし合わせて考えていた。
 考えている内容は氷華の血継限界についてだ。
 余談だが今年の担当上忍の中で一番担当上忍として誰が一番適任かと聞かれれば今年の担当上忍全員がハナと答えるだろう。理由は簡単だ。ハナは自分は才能が無いというが才能はある。事実ハナと同じクラスの体術、忍術、その他もろもろをすべて会得できるものがいるかといえばほとんどの者が無理というだろう。つまり多方面へ才能があるがそこまですごい才能ではないということだ。例を挙げれば雷切刀千鳥、これはチャクラ刀を使っているからといって性質変化と形状変化をしている。形状変化もチャクラ刀だけでは出来ない変化をしているだいたい手首から先を雷の刀が覆うのだから。これは出来る者がいないわけではないが少ないだろう、しかし原作のサスケを思い出してほしい。彼は千鳥を千本や槍などの形に変えていた。つまりサスケなどと比べると才能は無い。あるのは凡人よりはまし程度の才能しかない。事実体術でも忍術でも一流のものに聞いたら一流と答える者がほとんどだろうが超一流と一流の中でも上のほうに聞いたらほとんど一流だが一流とは違うと答えるだろう。少なくとも一流だが超一流にはなれないと言うだろう。
 閑話休題。つまりハナは自分が超一流にはなれないから多方面を鍛えたのだ。つまり今後成長していく下忍にその成長する方向を示すには多方面に優れているハナほど適任はいないだろう。
さらにもう一つ理由がある。それは知識量だ。ハナの実力は先に述べたとおりだが総合すればかなりのものだ。しかしハナは満足しなかった。当然だろう。前世を安全な日本で過ごしていた者にとってこの世界は危険すぎる。だから努力し実力を求めたのだがそれも超一流になれるものでなかった。だから次に求めたのは知識、滝の忍術を知っていれば多少なり対策が立てられる。多方面に優れているハナならさらだ。そして当然反則といってもいい血継限界の情報は些細なもの、噂まで求めた。
(やっぱり、氷華の血継限界は変質したものの可能性が高い)
 違う血継限界を持つ者同士で出来た子供も少ないながらいないことはない。ただほとんどがどちらかの血継限界のみで二つ使える者は希少だ。そして二つを持つ者よりも珍しい、というよりもほとんどいないのが二つの血継限界が合わさり他の血継限界になるものだ。
(氷華はこれでしょうね。たぶんもとの一族は氷雪一族と水操一族ね。氷雪一族は分家と本家で血継限界が違うっていう噂が本当だとはね。それに水操一族。合わさり方にもよるけど最高の組み合わせね)
 ここで氷雪一族と水操一族の説明をしよう。
 まず水操一族。水操一族とは水の国にいる元少数一族である。その血継限界は自らのチャクラを水に混ぜて自在に操るというものだ。これは水の国ではかなりのアドバンテージを生みだす。しかし何分人数の少ないそれこそ一族と言えないほど少ない一族なのだ。
 氷雪一族、氷雪一族は通常普通の氷遁の一族だ。だが本家のみは違う。本家には段階があり、初めの状態では分家よりも状態が悪い。しかし次の段階になると分家をあらゆる分野で超えるどころかただ単に水を凍らせるだけならほとんど印を組む必要すらない。またもう一つ上の段階もあるのだがこれはハナも知らないことだしまたの機会に、ちなみに白が一応分家にあたる。
また余談だがどちらの一族もすでにばらばらになり一族としては数人が固まってるぐらいでほとんど一族として機能していない。
(まあ正確なところは氷華が修行するしかないか)





(ふ~)
 氷華は修行を終え一息ついた。
 結局白が貫かれたのを見た後私は意識を失ったがあの後は白がかばうときすでにぼろぼろだったのを抜けば変わらなかったらしい。テツは首切り包丁を持ってきたが、
(まあ正しい? 判断でしょう。霧の忍刀七人衆の刀だ価値は高い。原作で持ち帰らなかったのが不思議でしたし、まあそれよりも私の血継限界だ。かなり使える。確かテツが見たとき我愛羅の水と氷、冷気版だと言ってたけど、その通りだよね)
 我愛羅が操るのは砂、対して氷華が操るのは水と氷、さらに冷気、その操作速度はおそらく水、冷気は砂を上回る。しかし氷は下回る。まあ簡単に考えて砂の塊と水の塊、冷たい空気なら水の塊と冷たい空気のほうが早いだろう。ただ氷は水の固体だ当然遅い。
しかも我愛羅のように自動防御もない。水にしたって砂よりも素の防御力は低い、冷気なんてほぼ皆無だ。氷は多少ましだろうが我愛羅は地中の堅い鉱石を集めて盾を作ったはずだからそれには確実に劣る。もちろん水で白を貫いたことがあることから分かるように速度を上げれば普通に人体を貫けるし、防御時の強度もチャクラ量であげられるのだが、
余談だが白が氷の鏡に入ったことから分かるように自分で作りだしたあるいは操っている氷や冷気による寒さは感じない。正確には害にならない。
 ちなみに氷雪一族本家は第二段階になると戦闘中は瞳が水色になるため氷華も白との戦闘後は戦闘中は瞳が水色になっている。
(やっぱり問題は中忍試験の大蛇丸だよな。まあ次に皆で集まった時にハナ先生とテツと対策考えるか、普通の試験は私もハナビもテツも問題ないし)





「で、どうする」
「いや、こういうの考えるのはお前の仕事じゃない?」
 今は修行が終わりテツと相談している。ハナ先生は中忍試験の申し込みでいない。
 余談だが今の私とテツ、ハナビの実力を大体説明しておこう。大体は私>ハナビ=テツだ。まあ私は接近戦になればきついのだが、まあ接近でも速さは一番上なんですけど、そればっか鍛えましたしね~、
「じゃあ、ならべく川の近くの道を最速でゴールを目指す」
「その心は」
「まず大蛇丸は私たちを狙うとしても確実にサスケを先に狙う」
「まあうちはだしな」
「だからサスケを相手してる間に到達する。川の近くは保険で追いつかれたりして遭遇したら私の影分身が足止めするからその際水がある場所のほうが有利」
「なるほど、で第一は答え知ってるしな」
「うん、けど一応カンニングした方がいいじゃない?」
「なんで」
「いや、三次試験で中忍になるかどうか迷ったらカンニングが出来ていたら中忍とかってありそうだし」
「中忍になりたいのか?」
「だって中忍になっておけばサスケ奪還に行かなくて済みそうじゃん」
「ああ・・・・・・けどシカマルの代わりに隊長になるかもしれなけどな」
「・・・・・・ああ、その可能性もあるか」
「まあなるようになるだろう」
「そだね」





「(・・・・・・で、どう見る?)」
 今は私たちは我愛羅達とサスケ達の出会いの場面をのぞき見ている。
「(カンクロは問題ない。テマリは風遁のレベルにもよるけどたぶん問題ない。我愛羅はきついけど無理ではない。ただ一尾は絶対に無理)」
「(俺は我愛羅は言うまでもなく、テマリはいけると思うけどカンクロはきついかな。てかなんでカンクロ大丈夫なんだ? 傀儡は厄介じゃないか?)」
「(ああ、傀儡は私の場合傀儡の周りに水分を集めて凍らせて関節を凍らせたりしてある程度無効化できるからね)」
「(ああ、なるほど)」
「(まあその前に)」
「(ああ、その前に)」
「「人の後ろに立たないでくれるかな?(立つな)」」
 二人の背後にはさっきまで見ていた我愛羅が立っていた。
「・・・お前たち名は?」
「常識がないですね。名が知りたいなら自分から名乗るものですよ」
「・・・砂漠の我愛羅」
「雪白氷華、よろしくね」
「・・・黒金テツ」
 名前を聞くと我愛羅は去って行った。
「眼つけられたな」
「そうだね」
 その後はサスケがこっちを見ていたが気にせず帰った。





 その後招集がかかり集合し、中忍試験のことが正式に知らされた。


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