ハロー、ハロー。
唐突だが私の名前は鈴木翔大。けして、『しょうだい』では無く『しょうた』だ。
どこにでもいるというわけではないけど日本人の高校生だった。
名前の由来は大きく羽ばたくという意味らしい。その名の通り大きく羽ばたいた。
よく分からないところに。
「おぎゃぁぎゃ(本当にどこ? ここ)」
そう、高校生だった。だったは過去形なのだ。
今いる場所も不明だ。というか私は死んだんじゃじゃなかったっけ?
・・・・・・ああ、転生か、これが転生ってやつか。記憶を持って転生したのか
・・・・・・ありえない~~~、
しかし、現実は認めよう。考えようによっては私は天才じゃないか。勉強なんてしなくても高校までなら出来る、たぶん。
おっと、すっかり現実逃避で忘れてたけど目の前の親と思われる人たちが深刻な顔をして話し始めた。
「かわいい子ですね」
「ああ」
「けど、この子にも私たちの苦しみを、血継限界を持つ物の苦しみを背負わせることになるんですね」
「・・・・・・そうだな」
・・・・・・は? 血継限界? どっかで聞いたことがある気がするけど、はて? なんだっけ?
──二歳の時、彼は初めてとは思えないほどの安定感を醸しながら歩き出した。
──三歳の時、彼は当然だと言わんばかりに読み書きをマスターした。
そして、七歳
「はぁ」
旧名鈴木翔大こと、雪白氷華はため息をついていた。
転生をして五年、なぜ転生をしたのかは以前と分からない、しかしひとつ分かったことがある。ここは前世とは違う世界だということと、ここはNARUTOの世界だということだ。
ありえない。
しかし、現実は認めよう。
この五年で分かったことはこの世界がNARUTOの世界だということ、私は火の国の小さな村に住んでることだ、
「はぁ」
そしてもう一つ、私は血継限界だということだ。
前世ではSS物を見ると死んだら物語の世界にいけたらいいなと思ったこともあった。しかし、実際に来てみるとそこまでいい物じゃない。特に科学文明があまり発達してないのがつらい。
「はぁ」
時は氷華五歳の誕生日に遡る。
「話とは何ですか? 母さん」
氷華は家で母に聞いた。家には氷華と母しかいない。父は四歳のときに事故で無くなった。
「ええ、よく聞いて下さい。とても大事な話です」
床に伏せた母は真剣な顔で話し始めた。
元々体の強くなかった母は私を産んだときから体調を崩している。
・・・・・・おそらくそう長生きは出来ない。
「分かりました」
「まずはじめに、貴方は血継限界です」
「・・・・・・・・・・・・は?」
まてまてまて、血継限界? 忍びの一族でもない私が? ありえない。・・・・・・いやそういえば生まれてすぐにそんなことを言ってたようなすっかり忘れてたけど
「落ち着いて聞いたくださいね。なぜ貴方が血継限界なのかというと――」
母の話はの内容はこうだ。
母方の祖父と祖母は水の国出身だそうだ。
水の国では内乱が多発した政情不安定な土地柄ゆえ血継限界の血族はその力を恐れられ迫害されそうだ。
そのため血継限界の祖父と祖母は水の国から逃げ出した。
さらに驚いたのは祖父と祖母は違う血継限界だということだ。
さらに父方の祖父も元忍びで血継限界だったそうだ。
これは聞いたときは追い忍はなにやってんだと思ったが父方の祖父は死んだことになっていて実際死に掛けたいたところを父方の祖母が助けて結婚にいたったとか昔自分の血筋を話したとき聞いたそうだ。
ちなみに父は才能がなかったらしい。
つまり、私には最低でも三つの血継限界の血が流れというとていることになる。
なぜ、最低でもかという母の祖母の先祖は迫害されるが故、昔は水の国を転々としていたから確立は低いが他にも混ざっていてもおかしくないそうだ。
まったくありえない。そもそも複数の血継限界が混ざるとどうなるんだ?
・・・・・・あ、そういえば確か漫画で五影会議中にサスケが襲撃したとき水影が二つの血継限界を持ってたはずだ、つまり、才能があれば複数可能かもしれないということか。
しかし、血継限界の能力が分かっているのは母方の祖母だけだ。祖父のは子供のときに一度聞いただけで忘れてしまったらしく、父方の祖父は誰にも告げずに死んだらしい。
母は母方の祖母と同じ血継限界だそうだ。
唐突だが、私は雪白氷華、男だ。名前は大変女らしい。しかしこれは仕方が無い。名前は親に決める権利があり、親が子に与える贈り物だ。そこに口を挟む権利は子には無い。
だが、私は名前どころか容姿まで少年というよりも少女だ、黒髪黒目だけあって幼女版、日本人美少女みたいだ。母親似? 確かに母親似だろう。しかし、母は女、私は男なのにここまで似るというよりも少女のようなのはおかしい。
しかし母の血継限界を聞いて納得した。母方の祖母の血継限界は原作でも出てきた。そう、波の国に出てきた白と同じなのだ。氷遁を操る血継限界なのだろう、たぶん。原作で細かい設定は無かったし(あっても忘れたけど)。つまり、そういう血筋なのだろう、遺伝なのだろう。私はそう思うことにした。諦めるために。
その話を聞いてから約半年後、私も血継限界に目覚めた。
・・・・・・母と同じ血継限界だった。
それからというもの、万が一のとき身を守るため基本的な忍術と少し風遁、水遁、血継限界の氷遁の特訓を隠れながらしている。
母は「もしもの時、逃げれればいいからそんなに真面目にしなくてもいいよ」というが元日本国民の自分からしてみるとこの世界は危ないと思う。真面目に修行をしている。
そもそも、私が修行してるのは忍術が殆どだ。
母は祖母祖父から教わった忍術を教えてくれるし、祖父祖母が水の国から逃げる時に待ちだした。巻物、忍具はあるから苦労はしていない。しかし、問題は体術だ。
母は床に伏せているため、体術は教えられない。
ま、忍になる気は無いから良いんだけどね。
今日は、村の子供たちと遊んでいる。
忍術の修行は夜からだ。
「ねえ、氷華おねえちゃん。今日は何して遊ぶの?」
子供のうちの一人が聞いてくる。
そうだね。何して遊ぼうか? しかし間違っている。間違っているぞ!
「うん、何して遊ぼうか? あと、誰がおねえちゃんだ」
ここは小さな村だけあって村人全員が家族のように暮らしている。
私の仕事は子供たちの遊び相手をすることだ。
「じゃあ、鬼ごっこね」
「いいけど、森のほうはだめだよ」
「は~い。じゃ、氷華お姉ちゃん鬼ね」
「いいよ。それと、覚悟するがいい。誰がお姉ちゃんだ」
最近思う。私はこどもっぽくなった気がすると、あれだろうか。体が子供だから精神も影響を受けてるのだろうか?
ま、別にいいけどね。
こうして病気の母の手伝い、子供たちと遊ぶ、母の手伝い、子供と遊ぶ、修行、の繰り返しで日々が過ぎて行った。
こんな日々がいつまでも続くと思っていた。
しかし、八歳のとき母が死んだ。
このとき気がついた。私は頭の中でだけじゃなくて本当にこの人のことを母親だと思っていたんだと、NARUTOの世界はもう私にとって物語ではなくて現実なのだと、頭の中だけでなく心底理解した。