唸るも犬の感情表現
訓練士の私が言うのもなんですが、犬をしつけよう、マナーをちゃんとしよう、
というのは、とっても大事なことですが、
犬の行動すべてを支配できないし、しようとするべきじゃない
と思っています。たとえば、唸るという行為、人間にとって好ましいことでは
ないし、「怖い」と感じるので、やめてほしいというのが、大方の飼い主さんの
考えだと思います・・・が、
犬に「唸るな」ということは、「不満でも、不快でもそれを一切表に出すな」
ということだって、わかりますでしょうか?
自分がもし、不機嫌だったり、いらいらしたり、不愉快なことをされたとき、
それを一切表現することが許されない、としたら、それはとてもつらいこと
だと思います。歯をむかずに、のどの奥で低く、断続的に唸るのは、
放置していればおさまります。
「なに唸ってんの!?」と、とがめた途端に歯を剥きだしたり、
咬んできたりすることがあるので、犬を必要以上に刺激せず、知らん顔で、
ゆったりとした態度を示す、動作はゆっくり穏やかにで、ほとんどの唸りに
対処できると思います。
唸ることも犬の感情表現の一種です、なんでもかんでも、めくじら立てて
いると、いらいらして切れやすいワンコになってしまいます。
「そうか、不満なんだね」「不快なんだね」と心で思ってあげることと、
その場の空気を穏やかなものに保つこと、を心がけてみましょう。
ちなみに、攻撃する前の威嚇の唸りは、歯をむき出したり、鼻に強くしわを
寄せ、途切れない強い唸り声を出します。これは、それ以上その行為を
続けたり、相手が近付くと攻撃する、という明確な意思表示なので、
しようとしている行為を止めましょう。
頻繁に攻撃行動直前の唸りを繰り返すワンちゃんは、専門家に早目に
相談しましょう、暴力や威嚇で解決しようとすることは、飼い主さんにも、
ワンちゃんにも、いいことはひとつもありません。