[読者投稿]平壌人民文化宮殿で開かれた豪華宴会
【デイリーNK 2010年6月22日】
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デイリーNK編集局宛に一通のEメールが届きました。海外居住の読者だとの簡単な自分紹介とともに、数枚の写真が添付されていました。デイリーNKが確認した結果、この写真は今年始めに平壌人民宮殿で開かれた宴会の場面です。この読者が投稿した文と写真を読者に紹介します。
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▲今年の初めに人民文化宮殿で開かれた宴会。海外の来賓をもてなす為に開かれ、労働党書記のキム・ギナムらが主催したと伝えられている。デイリーNK |
北朝鮮は金正日の誕生日(2.16)、金日成誕生日(4.15)、政権樹立記念日(9.9)等の主要記念日には外国人らを招待し、大規模な宴会を行っている事が確認された。
宴会が開かれる主な場所は平壌市の平壌体育館のそばに位置した人民文化宮殿で『七色のマス辛子蒸し』や『マツタケと蟹の炒め物』など、一般住民には手も出ない食事が並べられた。
宴会のテーブルに上がる飲み物は全て特別製造されており、北朝鮮ではミネラルウォーターは通常ペットボトルで販売されているが、宴会用はガラス瓶で製造された物が使われる。主にリョンソンビール工場で特別製造されたビールや、同じく特別製造されたムンボン焼酎が振舞われる。北朝鮮のホテルや外貨食堂では『大同江ビール』や『松鶴焼酎』を最高級としているが、この様な宴会で振舞われる酒はさらに高級な物だと言う。
外国人を対象に開かれた宴会は、キム・ギナム労働党秘書と最近死亡したキム・チュンリン書記が主祭したと伝えられている。宴会当時、25~40個のテーブルが用意されテーブル当たり8人程の定員だった。
▲招待客に配られた招待状。来賓客の席が事前に決められている。(C)デイリーNK |
▲献立表。珍しい名前の珍味が並べられている。(C)デイリーNK |
▲宴会場のテーブルの写真。2~30種類のコース料理が提供された。(C)デイリーNK |
▲一般の北朝鮮の高級ホテルや外貨レストランではお目にかかれない特別製造された飲み物。(C)デイリーNK |
▲特別製造されたムンボン焼酎。販売すらされていない酒。(C)デイリーNK |
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<海外居住の読者が寄せた投稿文内容>
韓国のハン・サンリョル牧師という方が12日、平壌入りしたというニュースをインターネットを通じて知った。
その方に対して私は何の情報を持っていない。単に記事を通じて進歩的な人物だという事を知っただけだ。
実際に『進歩的』という情報は私にとって何の意味もない。
なぜなら私は祖国から遠く離れており、韓国の『保守』運動、『進歩』運動ともに直接的に参加したことがないからだ。
ただし平壌を数十回に渡って訪問し様々な経験をした私の立場から、ハン牧師の平壌訪問報道は深く考え込まざるを得なかった。ハン牧師を歓迎し開かれる『宴会』の席で彼の心境がどの様な物なのかが気になったからだ。
北朝鮮に対して私は『同じ民族』という期待感を持っていた。今は貧しいが皆が助け合い、平壌市内のあちこちで見かけるスローガンの『世界に羨ましい物はない』を実現させ、皆が互いに平和に暮らしている様に思われた。
しかし、このような私の考えに疑問を投げかけたきっかけが、我々を歓迎する為に開かれた『宴会』のメニューを見た瞬間だった。何たるアイロニーだ。
ハン牧師の北朝鮮滞在中に当局が必ず宴会が開くだろう。宴会のメニューを目にしたハン牧師の心境はどの様な物なのであろうか。
宴会は『人民文化宮殿』で開かれる。名前すらも珍しい様々なご馳走が並べられるだろう。
この豪華な料理をハン牧師が北の熱烈な歓迎の証として感激しのどを詰らせるのか、それとも彼らの偉大なる父金日成が成し得なかった『白米と牛肉のスープ』を待ち望む餓えた人民を思い起し涙を流すのであろうか、これが私が気になる部分だ。
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