2009-10-19
目的、意味、価値を問う人が世の中をつまらなくする
損得ばかり考えていると本当につまらない。何を生み出すか分からないものに全力で取り組み思いがけない成果生むときこそが最高に面白いときだということを我々は知っています。最近は目的を具体的に持ちそれに向かって努力して成果を得るといったことが当然のように行われています。目的をもって行動し結果を得ることは要するに先が見えていることしかやらないということです。
最近の傾向として「泣く」ために映画を観たり、「儲ける」ために仕事をしたり、「モテる」ためにファッションに身を包んだりします。そうなると「報酬」やそれに類するものが分かりやすい形でなければ動かなくなりますし、目的以外の行動を無駄と決めつけてしまいます。全てが計算通り、計画通り・・・にだから面白くなくなってしまうのです。
期待したものがそれなりに得られたとしても、それほど面白くはないでしょう。何かが得られることを想定して行動しても、成果が期待を超えることはまずありません。良くて期待通りです。先が見えている段階で面白さは『想定内』です。本当に「面白いこと」は予想できないものですし、予想できないからこそ面白いという部分があります。本当に何かに没頭している人はその先にある「成果」を目的とはしていません。「成果」はあくまで結果です。
「何のためになるのか」も、そこから「何を得られるのか」もよく分からない。たぶん、そういうものの中にこそ「本当の面白さ」はある。何かのためではなく、やりたいからやる。本当に面白いことに出会うためにはそうするしかありません。最近はそういった考え方を『リスク』ととるようになっています。
『想定外』よりも『想定内』が求められる世の中です。社会全体を想定内に納めてしまっては、灰色の『つまらない』社会になるのは当然です。『想定外』を許容して、より面白く生きるための努力を厭わない社会を社会全体で担保する。そんな社会こそ活気に溢れた『面白い』社会ではないでしょうか。
本当に『面白いこと』は「何のためにやる」のではなく「やりたいからやる」から生まれます。既存の評価はできない、分かりやすい価値に置き換えることもできない。そういったチャレンジをサポートする余裕を今忘れているのかもしれません。
面白くないからやらないのではなく、やらない(やらせない)から面白くないのです。
意味がないからやらないのではなく、やらない(やらせない)から意味がないのです。
価値がないからやらないのではなく、やらない(やらせない)から価値がないのです。
未来は誰にもわかりません。成功するか失敗するかなど誰にもわからないはずです。だとするなら『想定外』なるほうに賭けてみる方が『面白い』のではないでしょうか。
参考文献
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11/21
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