【コラム】サムスンとアップルに納品してみたら…(下)

 韓国経済は世代交代に失敗している。老兵の奮戦が目につくだけで、破竹の勢いで成長する世界的な新興有望企業は、韓国を代表する企業のリストにはない。米経済誌「フォーチュン」に出てくる世界の企業500社にも、韓国からはいつも同じ企業の名前しか出てこない。また、登場する企業の数も同じだ。全盛期を過ぎた米国でも、設立からわずか10年ほどのグーグル、アマゾンといった新たな顔が登場しており、新興経済大国の中国では、毎年7-8社の新しい企業が同誌に顔を出している。未来のアップルやグーグルを夢見る韓国のベンチャー企業家らは、この生態系がしっかりと機能しない責任は大企業にある、と口をそろえる。技術を盗み、人材を奪い、分期ごとに納品単価を引き下げるため、まともな成長などできないというのだ。グーグルは最近、あるモバイル広告企業を買収した。この企業は設立からわずか3年半、社員150人で、売上高もわずか5000万ドル(約43億円)ほどだが、グーグルはこの企業を買い取るのに7億5000万ドル(約650億円)を支払った。また、アップルも同じような規模のクアトロ社を2億5000万ドル(約217億円)で買収した。これらは韓国の大企業にとっては夢にも考えつかないことだ。

 政府は大企業の腕をねじ曲げ、口だけの投資約束を取り付けているが、これははっきりいって無意味だ。企業は大統領が投資せよと命じたから投資するようなものではない。収益を上げるチャンスがあれば、大統領が投資するなといっても投資するのが企業の習性だ。収益が上がりそうもないのに大統領が投資するよう命ずれば、それらしい数字を提示してうそでごまかす。いつの時代、どのような場合でも、企業の計算方法は変わらない。これが市場と企業の論理だ。

 しかし、問題の本質はここにあるのではない。韓国社会と政府、大企業が中小企業の技術とアイデアに正当な代価を支払う風土をつくり上げなければならない。これさえできれば、今の大企業の数倍、数十倍の価値を生み出すことができるはずだ。

ニューヨーク=朴宗世(パク・チョンセ)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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