都内男性最高齢１１１歳、３０年前に死んでいた？

　今年７月２２日に１１１歳を迎え、都内男性最高齢とされていた東京都足立区千住の無職・加藤宗現さんの自宅で、加藤さんとみられるミイラ化した遺体が見つかったことが２９日、捜査関係者への取材で分かった。家族の話では、約３０年前に「即身成仏したい」と話して以来、自室に閉じこもったままだったという。室内には１９７８年の新聞が置いてあり、同署はそのころに死亡した可能性が高いとみている。司法解剖では死因や死亡推定時期は不明だった。

　千住署捜査関係者によると、加藤さん宅は２階建てと平屋の２棟。遺体は２階建ての１階部分の８畳の和室にあった。ベッドの上に横たわり、首から下に毛布を掛けた状態で見つかった。身長１５３センチ、頭部は白骨化しており、長袖の肌着、ももひき、下着を身につけていた。

　部屋にはエアコンの室内機、簡易トイレ、タンスがあり、本や書類が高く積まれていた。２か所ある雨戸は閉められていた。将棋盤の上には１９７８年１１月５日の新聞と同年１１月の足立区の広報誌が置かれていた。

　司法解剖では外傷はなく、死因や死亡推定時期は不明。同署は７８年以降の新聞がないことから、そのころに死亡した可能性が高いと見ている。

　区によると、今年１月、加藤さんを担当する民生委員から「本人と会えない」と区に相談があり、区職員が面会を求めたが、家族は拒否。区職員は６月に「生存を確認するために訪れたが『父は元気で他人との接触は拒んでいる』と拒否された」と同署に相談した。

　２６日にも千住署員と区職員ら数人が訪れ、長女らから事情を聞いたが「会いたくないと言っている」と面会を再び拒否。区側が最高齢を祝う記念品を贈ろうとしても「何もいらないので帰ってくれ」と拒絶したという。

　同署は保護責任者遺棄致死の疑いもあると見て２８日、自宅を調べ、遺体を発見した。孫は同日に同署を訪れ「３月２５日に長女の夫以外の３人で祖父の部屋をのぞいたら、頭がい骨が見えた。祖父はとても怖い人で部屋を開けられなかった。食事や水を一切取らず閉じこもった」と話したという。

　家族は「祖父に『即身成仏したい』と言われ、約３０年間別々の部屋で暮らし、部屋に入らなかった」と話しているという。

　加藤さんは「都の男性最高齢」とされていたが、長年姿を見た人はなく、近所では“千住の七不思議”とうわさになっていた。１８９９年７月２２日生まれ。生前は貸し金業を営んでいた。長女（８１）とその夫（８３）、５３歳と４９歳の孫と同居していた。教師だった妻は２００４年８月に１０１歳で亡くなっている。

　加藤さん名義の銀行口座には、今年６月までに、妻の遺族共済年金計約９５０万円が振り込まれており、６回にわたって約２７０万円が引き出されていた。年金の申請時、加藤さんは死亡していたとみられ、同署は、年金詐取の可能性もあるとみて調べている。区によると、９０年以降、奨励金や表彰の名目で現金や商品券を支給。計約１３万６０００円分に上る可能性があるという。

（2010年7月30日06時02分スポーツ報知）

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