2009-12-28
なぜ人間は『争い』をするのか。
すべての『争い』には理由があります。民族が違うから、宗教が違うから、言語が違うから。それは根本的な理由ではありません。お互い交流を図り、理解を深めていくことで認め合うことができなくもないと思います。しかし、ただ一つ乗り越えられない壁があります。
利益、利権です。
過去を見渡してみると経済的に苦しい原因を一部の人に責任転嫁させ追い出そうとしたり、経済的に搾取されている人たちは分離独立を望み軋轢をうんでいます。いずれにしても利益や利権が絡めば問題解決は複雑になることは間違いありません。むしろこういった問題が民族、宗教、言語などの問題に発展していったともいえます。
現在起こっている紛争のほとんどは大国が自国の利益のためにとった植民地政策が原因です。自分勝手な理由で国境線を勝手に引き、宗教や言語を押しつけたあまり、現地に住む人々の間で歪みが生じてしまいました。
これが拡大縮小を繰り返しながら現状に至っています。インドネシアは東ティモールが独立したのも、スリランカでの仏教とヒンドゥー教の対立もすべて植民地解放後に残された利権の取り合いが主たる要因です。紛争の裏には常に利益、利権があります。
争いを起こしているのは利権を政治的に利用している人達
口先だけで平和や友愛を唱えたとしても絶対に解決には至らないことは誰もが知っていることです。資源にしろ領土にしろ無限にあるわけではありません。地球上の全ての資源は有限です。誰かが多く取れば誰かが少なくなる。そうなれば、お互いに不信感が募り紛争に発展するのは必然です。豊かな国の傲慢で独善的な『友愛』論理を冷ややかに見て、憎らしく思っている国も多いことだと思います。
敵を排除したところで根本的な問題が解決するわけではありません。真の敵は大抵は『内側』にあります。利権を調整するには『お互いが』排他的な心理にまで踏み込む必要があるのです。利権の主張で落としどころを探るのではなく、寛容の度合いでお互いの利害を調整しようとする行動こそが真の紛争解決にいたる手続きなのです。
自らに受け入れる『度量』が必要ですし、相手にも『度量』が必要です。
今後、国境を超えて様々な人が行き交うような時代が来ます。その時のための準備をしておくことは、未来の紛争を予防する手段です。真に平和を望むなら閉ざして内に閉じこもり相手への非難と憎悪を募らせるのではなく、全てを開いて外に出て行くことが重要です。彼はそのことを『友愛』と呼んでいるのでいるのだと思います。実現のプロセスは果てしなく険しい道のりと思いますが、人類の進む方向性としては誤りではないと思います。
参考文献
- 作者: 石津朋之
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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