2009-05-14
退屈と戦う『仕事』
ご存知任天堂は本社は京都市にあります。1889年9月23日創立。1985年に発売した『スーパーマリオブラザーズ』は全世界で大ヒットし、同社はゲームソフト市場で不動の地位を獲得することになりました。今や家庭用ゲーム機業界では日本、世界問わず最大級の企業です。本書で描かれている任天堂の歴代の主要人物の方々の言葉は必見です。
任天堂は売上高営業利益率がコンスタントに20%以上を維持しています。1兆円企業でありながら従業員数が5,000人程度と、従業員1人あたりの売上高が5000万を超す企業は他に類を見ません。製品の100%が娯楽品である任天堂は、『面白くなければ存在価値そのものがなくなってしまう』という観点で常に物事を見ています。山内氏は語っています。「よそと同じが一番アカン」。そこから見えてくるのは「自分で考えなさい」ということです。
現在、日本や先進国において貧困が大きく取り上げれられていますが、本当に食べられない人は僅かだと思います。食べられる人が仕事以外の時間、何をするか。
『遊ぶ』のです。
遊び過ぎると、いつかは『遊べない』状態がきます。待っているのは『退屈』です。『退屈』は、人生で一番の敵なのです。任天堂はこれを問い続けます。答えを出す度に『退屈』なことが増えてきます。『退屈』しないために戦い続ける任天堂はそれ自身がライバルです。
岩田氏はゲーム機の役割を再定義しました。それは答えを出すための一種の方法だと思います。そしてこの考え方は近未来の我々の仕事でもあると思います。
世の中、必要性や必需性が大きく評価されます。それは『足りない』世界の話です。世界は見渡してみると『足りない』世界は沢山あります。そういった仕事も必要です。しかし、私達は『足りてる』世界の方にいます。そして『足りてる』世界に供給するものは何かを考えれば答えは自ずと見えています。
『暇つぶしを提供しつづける』任天堂の考え方は大いに参考になります。今後、日本が沈むか再び昇るかを決めるのかも知れないぐらい参考になります。必要なのは、市場分析でも、生産技術でも、労働管理でもありません。どれだけ『遊び』を想像できるかです。任天堂の仕事は「仕事」ではありません。『遊び』です。これを否定することは人間の欲求を否定することになります。
「辛いことを我慢していくのが仕事」そういった言葉は『足りてない』世界で通じる言語です。そういった人は『足りてない』世界に出かけていかなければなりません。『足りてる』世界で働くつもりなら『想像しながら遊ぶのが仕事』が合言葉です。
参考文献
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2006/12/02
- メディア: Video Game
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