2010-04-17
閉じた社会で育まれるガラパゴスの魅力を活かすために
自分と似たタイプの人間と群れて過ごしていると住んでいる世界が閉じていきます。外部からの情報を遮断して、群れのしきたりに従い同種のリテラシーを持っている人達とともに長く生活をするとその文化を独自に深化させていきます。この独自性は外部から見た場合、奇妙奇天烈に映り意味不明なものになるのになる一方で、それはそれで面白さを持ち、興味深いものにもなります。
交流しない専門家(マニア)の思考過程は面白い。
逆に、群れから離れて違うタイプの人間と交流をすると新鮮な刺激を受け、自分の知っている世界=『見識の幅』が広まり、比較検討ができるようになります。視点が増えて視野が広がると自分を客観視することが出来るばかりか、様々な基準を持ち出して状況に合わせて優位なものを選択することができます。しかし、視点や視野が広がれば広がるほど一般化されるので面白さは失われていきます。
以前は日本社会は鎖国状態で発展してきました。独自の文化が形成され世界にもまれに見る文化が花開いています。その後、黒船に押されグローバル化が進み、凄まじい勢いで外来文化や知識を吸収して立ち向かった歴史はご存知の通りです。その短期間でのグローバル化に耐えられたのは独自性が育んだ自律性が高い勤勉な資質に他なりません。反対に、足の引っ張り合いになり仲違いになり文化を深化させられなかったアジア、アフリカの国々は軒並み植民地化されています。
現在においては情報通信網の発達により、どこからでも情報を知りえることができ、優劣をつけ選択できるようになりました。視点が解放されてグローバルな環境が広がってきています。この広がりを受け入れられる人は群れの外へ、そして受け入れられない人は群れの中へと別れ始めています。実際ネットの使い方を見てみてもオープンしていく人とクローズしていく人との2極化が進んでいます。
閉じこもるという選択肢もある。
独自コンテンツがなければ面白さが無くなります。皆一律の同じような世界が築かれた場合、確かに便利では有りますが、無味乾燥になって『面白く』ありません。個人(群れ)の持っている力を凝縮しルツボでグツグツと煮詰めたものは独自性を持ちます。これは間違いなく奇妙奇天烈であり『クール』です。そんな世界を仰天させるキラーコンテンツを出すには、引き籠もって自分の頭で考えることも重要なのだと思います。
しかし、独自性を持たせるにはそれなりの力量が必要になります。その独自性を支えるのは自分の立ち位置の確認と絶え間ない自助努力だけです。ただただ留まることを目的として足を引っ張ることだけに拘泥し、周りを見る目と勤勉性を自ら放棄すれば待っているのは無味乾燥なグローバルプランテーションしかありません。
普遍性の共有よりも独自性の乱立と淘汰こそが世界を魅力的するのだと思います。
参考文献
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
- 作者: 海部美知
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
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参考記事
世界に通用するサービスを作りたいなら日本で流行らないと : ロケスタ社長日記