2010-02-19
公務員を減らすことが出来ない理由
公的機関は安全や福祉などの公共サービスに対して責任を負っています。責任を果たすためには社会から徴収した税金をつかって、これを賄なわなければなりません。言い換えれば社個々の『労働力』が税金という形を通して差し出されていることになります。これはある意味、国が『労働力』を仲介しているとも言えます。
この仲介コストが現在膨大になってきており、公務員は目の敵にされているのです。
現在、公務員が運営しているのは、トップが決めたことを細部の調整という仕事を通して各段階の公務員が少しずつブレイクダウンしながら現状に合うように『仕事』をする中央集権官僚システムです。一世代前まで官僚システムは公的サービスの質と量が社会の成長スピードに支えられ、うまく機能しました。
しかし、現在抱える案件が増えそれを調整という形で上に行ったり、下に行ったりと仕事といえない仕事が溢れています。これを賄うために膨大な労務コストが使われているのです。ある意味、『大企業病』といえるかも知れません。
もちろん、処方箋はあちこちで論じられている通り、官僚ピラミッドが平坦にして配分コストは下げることです。このピラミッド構造をフラットに持っていくことが今後目指すべき道なのだと思います。しかし、フラットにすればするほど、ツケは『どこか』に回されることになります。
民間なら派遣労働者ということなのでしょうが、公務においては『誰が』このコストを引き受けるのでしょうか。
引き受けるのは『あなた』です。
人は誰しも『労働力』という資産を保有しています。何らかの形で『労働力』という資産を社会に還元しない(させない)ことは社会にとってマイナスでしかありません。誰しもが豊かになれないのは社会に必要とされる『労働力の価値』を流通させるシステムが上手く機能していないからに他なりません。
社会を支えるのは社会全体のコストであるので、逆に社会に対して社会を構成する一人一人が労働資本を差しだして埋め合わせなければならないのはある意味当たり前なのではないでしょうか。自らの意志をもって『労働資産』をそのまま直に投入すれば減衰ゼロで労働力を投下することも出来ます。
本気で公務員を削りたいなら、各自治体が専業の公務員など雇わずに人材派遣業のようなことをして、公的な仕事を集めてきて、その受益者になるであろう個人個人に負担させる仕組みにすればいいのです。
問題は『誰が』社会資本を作るのかなのです。
社会資本を作る責任を公務員や官僚や政治家に押しつけて、配分だけはきちんと頂こうという民意が現在の負債を背負うことになった理由です。そして、責任を権限と勘違いした彼らが『誰か』が負担した『労働力』を恣意的な部分に再配分してきたツケがいま噴出しているのです。口ばかり動かしていても誰も豊かにはなれません。差し出すべきものは差し出さなければなければならないのです。
☆公務員を減らすことが出来ない理由
『誰か』になんとかしてもらおうとする気持ちに全員が打ち勝つことは出来ないから
参考文献
コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)
- 作者: 広井良典
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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