2009-06-28
鎖国のススメ クールジャパンになるために
自分と似たタイプの人間と群れて過ごしていると住んでいる世界が閉じていきます。外部からの情報を遮断して、群れのしきたりに従えば、安定感を得られます。これは依存心という心理的なスタビライザーが働いているからだと言われています。
自分と同じタイプの人から得られるものは、自分が知っていることと 大差のないことばかりです。しかし、同じリテラシーを持っている人達が傍にいるので、仲間内で文化を深めることはできます。鎖国状態では独自の文化が形成されるのはそういったメリットがあります。閉じた世界で満足できる人なら、自分と似たタイプの人間と群れている方が生産的だと思います。外部から見ていてもその独自性は興味を引くものがあるからです。
逆に、群れから離れて自分と違うタイプの人間と過ごすと、自分をとても不安定にさせますが自分の知っている世界=『見識の幅』が広まります。幅が広がれば、比較検討ができるようになります。優劣がつけられるようになると、状況に合わせて自分に優位なものを選択することができます。結果、群れを駆逐することも出来ますし、飼いならすこともできるのです。
江戸時代の日本社会は鎖国状態で発展してきました。独自の文化が形成され世界にもまれに見るサムライ文化が花開いています。しかし黒船に押されていわゆるグローバル化がせまってきました。それに対抗するために群れの外に出て、凄い勢いで知識を吸収し、立ち向かった歴史は周知の事実です。近代日本を発展させてきたのは、コミュニティの自律性が高く、権力に命令されなくても人々が自発的によく働く「勤勉システム」です。これは群れを維持するための論理がまだ私達のDNAに染み付いているからだといえなくもありません。
現在、どこからでも情報を知りえることができ、優劣をつけ、選択できるようになりました。ダイバーシティは心理的な不安を生み出します。その反動で、自分から殻に閉じこもる人達が増えてきています。自分から心理面で鎖国を築いているのです。
ここではぐくまれる新しい文化が外に向かって発信される例が2chであり、ニコニコ動画であり、はてな村であり、クールジャパンと評されるコンテンツです。個人(群れ)の持っている力を凝縮しルツボでグツグツと煮詰めたものは独自性を持ちます。これは間違いなく『クール』です。
グローバル化には均質化が伴います。
皆一律の同じような世界が築かれた場合、確かに便利では有りますが、無味乾燥になって『面白く』ありません。世界には沢山の独自コンテンツがなければつまらないです。中東がアメリカナイズされるなどありえません。今必要なのは、世界と比べることではありません。過去の日本と比べること、ローカライズに動くこと。独自性を出していくことだと思います。世界を仰天させるキラーコンテンツを出すには『引き篭もり』が有効に働くような気がしてなりません。
参考文献
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
- 作者: 海部美知
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
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