千葉景子法相が二十八日、死刑執行を発表したことを受け、野党から正当性を疑問視する声が相次いだ。野党は参院選後、千葉氏が落選しながら留任したことを批判してきた。その最中に、法相として最も重い権限を行使したからだ。
民主党の枝野幸男幹事長は、千葉氏が死刑執行に署名したのは参院議員の任期満了(二十五日)前の二十四日だったことを記者団に明らかにし「粛々と法に基づいて執行した。特段、コメントする種類のものではない」と述べた。
ただ、与党でも国民新党の亀井静香代表は「(千葉氏が)死刑をすべきではないという信念を変えるのであれば、考え方が変わったと国民に説明しないと(いけない)」と批判した。
一方、野党では自民党の大島理森幹事長が、千葉氏が参院選前まで死刑を執行してこなかった点を挙げ「法相としての正当性が問われているのに、違和感を覚える。選挙で落ちて執行したことに驚きを禁じ得ない」と疑問を呈した。川崎二郎国対委員長も「国民にレッドカードを受けた人がやるべきことじゃない」と切り捨てた。
公明党の山口那津男代表は「(参院)議員の時に執行しなかったにもかかわらず、民意が得られなかった段階で執行したのは理解しがたい。菅首相の任命責任も問われる」と、三十日召集の臨時国会で追及する考えを示した。
社民党の福島瑞穂党首は死刑廃止議員連盟で千葉氏と行動を共にしてきたことから「極めて残念だ。自民党時代の政治と何も変わっていない」と嘆いた。
自民党はもともと臨時国会で、野党が過半数を占める参院に千葉氏の問責決議案を提出する可能性をちらつかせていた。今回の死刑執行で主戦論が強まることも考えられる。
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