【ナイロビ=古谷祐伸】南アフリカのヨハネスブルク近郊で、住民が無許可で飼っていた、体重140キロのベンガルトラが逃げだす騒動があった。逃走から2日後の28日夜、森に逃げたトラは、自分の名前を呼ぶ飼い主の声に反応して姿を見せ、無事に首輪をつけられた。
南アの地元紙によると、ヨハネスブルクの東70キロにある町スプリングスで、夫婦が飼っていた。南アで別の飼い主から生後3カ月のときに購入した。現在は生後17カ月のオス。名前はパンジョ。
26日、飼い主がピックアップトラックの荷台のオリにパンジョを入れ、獣医師へ予防接種に行く途中にいなくなった。野生動物保護の当局が、麻酔銃でしとめようとヘリや照明器を使って探していた。
28日夕、消えた場所から北へ約60キロの町ベレナで、松林に逃げ込むパンジョが目撃され、夜になって捜索犬が居場所を特定した。飼い主の男性(51)が呼び始めて10分後、パンジョは森から出てきて、飼い主のほっぺをなめたという。飼い主は「好物の肉を二切れあげた。捜索に感謝している」。
周辺住民は2日あまり、いつ襲われるかと恐怖におびえた。だが飼い主は「飼いならされている。見かけたら棒を向けてノーと言いきかせるか、鶏肉をあげて」と穏やかな対応を勧めていた。