【フジャイラ(アラブ首長国連邦東部)=貫洞欣寛】アラブ首長国連邦(UAE)東部フジャイラ港に入港した商船三井の大型タンカー、エム・スターについて、同港のムラード港湾局総支配人が29日記者会見し、「タンカーは何かと衝突した可能性がある」との見方を示した。
現地メディアなどは、タンカーが地震や高波によって損傷を受けたと伝えているが、ムラード氏は報道内容を否定。衝突したとする根拠として、船体のへこみ具合や形状を挙げた。何とぶつかったかは特定できておらず、「他船や機雷、潜水艦、すべての可能性が否定できない。UAE海軍など専門当局が調べている」と述べた。
現時点で、他船からエム・スターと衝突したという報告は届いていないという。エム・スターの船長は、港湾局に対し「他船が接近してきたかどうかは分からない」と述べたという。
ムラード氏によると、この海域では1996年に浮遊機雷と小型船の接触事故があり、乗組員が死亡している。また、2007年には日本の大型タンカー「最上川」と米軍原子力潜水艦の衝突事故が起きている。
ホルムズ海峡周辺はタンカーのほか、潜水艦などの航行も多いが、米海軍第5艦隊(バーレーン)の広報担当者はロイター通信に対し、タンカーが損傷を受けた当時、米軍などの艦船は周辺を航行していなかったとしている。