2010年6月1日 20時37分 更新:6月1日 23時23分
近隣住民を刺殺したとして殺人罪に問われ、全国初の裁判員裁判(09年8月)で有罪判決を受けた無職、藤井勝吉(かつよし)被告(73)に対し、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は5月31日付で上告を棄却する決定を出した。懲役15年とした1、2審判決が確定する。裁判員が審理に参加した事件が最高裁で確定するのは初めて。
上告審で弁護側は「1審は被害者の落ち度を証明する証拠の判断を誤っており、憲法が保障した適正な訴訟手続きを経ていない」と主張。2審についても「裁判員が参加した1審を尊重すべきだ」とした最高裁の研究報告に沿う形で1審を維持したとして「3審制を採る我が国の裁判制度の根幹にかかわる」と訴えた。
これに対し小法廷は「(憲法違反や判例違反など)刑事訴訟法で規定された上告理由に該当しない」とだけ述べ、実質的判断は示さなかった。4人の裁判官全員一致の決定。
1、2審判決によると、藤井被告は09年5月、東京都足立区の路上で、近所に住む韓国籍の整体師、小島千枝(本名・文春子)さん(当時66歳)の胸や背中をサバイバルナイフで刺して殺害した。【伊藤一郎】