普天間訴訟 飛行禁止は認めず
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普天間訴訟 飛行禁止は認めず

7月29日 15時43分

沖縄のアメリカ軍普天間基地の周辺の住民が、ヘリコプターなどによる騒音の被害を訴えた裁判で、2審の福岡高等裁判所那覇支部は、1審より多い3億6900万円の賠償を国に命じました。夜間や早朝の飛行の禁止については認めませんでした。

この裁判は、沖縄県宜野湾市の普天間基地周辺の住民およそ400人が、ヘリコプターの騒音などで被害を受けているとして、国に、夜間から早朝にかけての飛行禁止や損害賠償などを求めたものです。1審は、原告全員への賠償を命じたものの、飛行禁止は認めず、住民と国が控訴していました。29日の判決で、福岡高等裁判所那覇支部の河邉義典裁判長は「住民は騒音によって睡眠や会話、それにテレビの視聴が妨げられるなど精神的な苦痛を受けており、そうした被害は我慢の限度を超えている。さらにヘリコプター特有の低周波音によって被害が悪化している」と述べて、国に賠償を命じました。賠償額について、河邉裁判長は「基地の騒音をめぐる慰謝料の水準が認定されたおよそ20年前とは状況が変わっている」として、総額で1審の2.5倍に当たる3億6900万円を認めました。一方、飛行禁止については「日本がアメリカ軍の活動を制限できる法律が無い」という理由で、1審と同様に認めませんでした。アメリカ軍や自衛隊の基地の騒音被害をめぐっては、各地で裁判が起こされ、損害賠償だけを認める司法判断が続いています。