経営改善を進める県立3病院(岡本台病院・がんセンター・とちぎリハビリテーションセンター)で09年度から3カ年計画で実施している「病院経営改革プラン」の09年度決算見込みでの進ちょく状況がまとまった。3病院すべて純損益は赤字、合計約36億円を県の一般会計から繰り入れる赤字体質は変わらないものの、プランの多くの項目で目標を達成し、民間病院関係者らによる評価委員会からは一定の評価を得た。一方、達成できなかった項目には医師不足の影もみられた。
支出では、09年度の人事院勧告に準じて行われた県職員の給与やボーナス引き下げの効果で、3病院すべてで職員給与は目標値を大幅に上回る削減額で達成。また、医薬品の在庫管理見直しや低価格医薬品の導入などで経費削減目標も3病院で達成した。
経営効率化を図る各指標で、目標達成したのは▽経常収支比率はがんセンター、リハセンター▽医業収支比率は3病院▽職員給与費比率は岡本台、リハセンター▽病床利用率は岡本台病院--だった。
経営目標が達成できなかった要因として▽岡本台病院は(県全体の)診療報酬の高い救急入院患者の減少▽がんセンターは常勤医退職で「頭頸(とうけい)科」診療を休止したこと▽リハセンターは整形外科医退職による入院患者減少--をそれぞれ挙げている。経営の悪化にも、医師不足が引き続き深刻な影響をもたらしていることがわかった。
また、公的病院が担うべき「政策医療」については、がんセンターでの中期~末期がん患者の受け入れ増加や、医療相談件数増加などの目標を達成した。一方、リハセンターでは医師退職により、義足などの装具調整件数は前年度よりも減少、増加目標が達成できなかった。
プランは総務省のガイドラインに基づき策定。07年度に開催された「県立病院あり方検討委員会」の提言内容をふまえて、病院ごとに策定され、11年度まで年度ごとに経営、政策医療、医療サービスの項目ごとに数値などで目標が設定されている。【泉谷由梨子】
毎日新聞 2010年7月27日 地方版