【カイロ=貫洞欣寛】2004年から07年にかけて米国防総省が管理していたイラク開発基金のほとんどにあたる87億ドル(約7656億円)の使途が分からなくなっていることが、米国の会計検査報告で27日、分かった。報告は「管理がずさんだった」としており、復興の遅れに苦しんできたイラク国民の反発を招くのは必至だ。
米国の「イラク復興特別監察官室」(SIGIR)の報告によると、国防総省が04年から07年までの間に管理していたイラク開発基金91億ドルのうち、87億ドルの管理がずさんで、使途が分からなくなっているという。報告は流用など不正の有無には触れていないが「ずさんな管理は基金の不適切な使用につながりかねない」としている。
イラク開発基金は、イラクの石油輸出収入や旧フセイン政権の在外資産などを積み立てたもので、03年に国連安全保障理事会の決議に基づいて米英暫定占領当局(CPA)が設立した。
当初はCPAが管理し、04年6月のイラク暫定政府の発足から07年末まではイラク財務省が米国防総省に対し、管理を委ねていた。
イラクでは資金不足などを理由に民生面の復興が遅れ、水や電気も満足に手に入れられない状態が続く。イラク国民議会のサイード議員はAP通信に「イラク政府は法的措置をとるべきだ」と述べた。