毅然(きぜん)とした態度を貫いた。都内の赤坂サカスで行われた公開会見には、炎天下でも約500人のファンが集まった。進行役から大毅Vs坂田戦以外に関する質問はNGという規制が敷かれるなか、報道陣から金平会長へ史郎氏の入場可否の問いが、いの一番に飛んだ。
「どなたということではなくて、いろんな問題が各興行にある。しっかりとした会場管理に取り組みたい」
この一戦へ、なみなみならぬ決意があった。金平会長は27日、日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)が認めない人物は、試合会場の管轄エリアに入れないという誓約書をJBCへ提出。反社会的勢力を念頭に置いた発言だが、史郎氏への思惑も見え隠れする。
3月のWBC世界フライ級王座統一戦で、長男・興毅(23)=亀田=が、ポンサクレック・ウォンジョンカム(32)に判定負けし王座から陥落した試合後、史郎氏は試合役員を恫喝(どうかつ)。JBCからライセンス取り消し処分に加え、リングサイドと控室への立ち入りを禁止された。
しかし、25日に大阪で行われた興毅と大毅のノンタイトル戦で、史郎氏は2人の控室へ入室。再び物議を醸した。史郎氏は一般人のため入場券を購入して客席に入ることができるが、JBCと主催者(プロモーター)と会場の3者で合意が得られれば、特定の人物の入場を拒否できる。JBCの安河内剛事務局長(49)によると、この3者のなかでもっとも権限があるのは主催者だといい、金平会長が史郎氏の“排除”を希望すれば、その意向は反映されやすい。同事務局長も、「世界戦なので徹底して管理する」と話した。
「スポーツマンシップにあふれた、さわやかな試合にしたい」。5月に米ラスベガスに飛び、31万5000ドル(約3000万円)の大金をはたいて落札した興行権を無駄にはしない。かつて協栄ジムに所属した大毅と、まな弟子・坂田との元同門対決。リング外のゴタゴタを早期に解決し、ベルトを亀田家から奪還する。(江坂勇始)