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◆第92回全国高校野球選手権 ▽大阪大会5回戦 大商大高2―10箕面東=7回コールド=(27日・南港中央球場)公立の雄・箕面東(大阪)はプロ注目の主砲、穴田真規(3年)が高校通算31号となる左越え2ランなど3安打3打点と爆発。大商大高を7回コールドで破り、4強入りした08年以来、2年ぶりにベスト8に進んだ。大阪は8強が出そろったが、うち4校が公立校。これは南北に分かれて行われる記念大会を除けば、89年以来21年ぶりとなる。
“中村ノリ2世”こと箕面東のスラッガー穴田が見事なアーチをかけた。8―2の7回無死一塁。カーブをすくうと、高く舞い上がった打球は左翼席へ。「会心ではないが、うまくひろえました」と笑みを浮かべた。大阪・渋谷高時代に中村紀洋(楽天)を育てた長谷至康監督(56)も「あれが穴田本来の打撃」と納得の表情だ。
実は打席に入る前、エース左腕の浜田一輝(2年)から「コールドを決めてくれ」と言われていた。期待に応えた穴田は「浜田も楽になったと思う」とニヤリ。7回で試合を終え、エースの負担も軽減する一発だった。
親友との対決を夢見ている。“T―山田”こと履正社・山田哲人(3年)は「宝塚リトル」時代のチームメートで、現在も頻繁に連絡を取り合う間柄だ。山田が発熱をおして出場し、勝利した25日のPL学園戦の直後も電話で話した。「声が死んでました。でもいいライバルで刺激を受けています」と目を輝かせる。
この日行われた再抽選の前に穴田は「履正社とやりたい。残ってくると思うので」と話していた。結局、決勝まで勝ち上がらないと親友との対戦は実現しないが、雌雄を決するまで負けるわけにはいかない。
◇公立4校は21年ぶり 大阪大会の8強に交野、桜塚、桜宮、箕面東の4校が残ったが、南北分催で出場枠が増える記念大会を除くと、生野、市岡、四条畷、渋谷が準々決勝に進出した1989年以来21年ぶり。私学の強豪が分散された影響もあり、08年の記念大会では北大阪は大冠、桜宮、四条畷、箕面東の4校が、南大阪は羽曳野、三国丘、布施の3校がそれぞれベスト8に名を連ねた。
◆公立校躍進の背景…私立強豪校敬遠や特待生制限
大阪で公立校が躍進する背景には2つの理由が考えられる。まずは私立校の衰微傾向だ。
近年、府内のエリート中学生が、東北や四国などに野球留学する傾向が続いている。大阪・羽曳野市から東北(宮城)に進学したダルビッシュ有(日本ハム)や、大阪市出身で明徳義塾(高知)に進んだ森岡良介(ヤクルト)らがそう。186チーム(今大会)から勝ち抜かないと頂点に立てない大阪より、高校数の少ない地方の常連校の方が、甲子園切符の近道。府内の強豪校を敬遠する流れになっている。
もうひとつは、長引く不況の影響。昨年度から実施された高野連のガイドラインにより、特待生が原則1学年5人以下に限定された。本来なら強豪私学に授業料免除で入学できたはずが、泣く泣く公立校に行くケースも多い。今年度からは公立高校の授業料が無償化され、この傾向がさらに進む可能性が高い。
(2010年7月28日10時43分 スポーツ報知)