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◆第92回全国高校野球選手権 ▽和歌山大会決勝 向陽3―6智弁和歌山(27日・県営紀三井寺球場)智弁和歌山(和歌山)が、同校最多6連覇で春夏連続出場を決め、センバツVの興南(沖縄)への“リベンジ切符”をつかんだ。3点リードの8回1死満塁のピンチを3番手・上野山奨真(2年)が切り抜け、旧制の海草中時代以来、63年ぶりの出場を狙った向陽を退けた。甲子園通算最多の59勝を誇る高嶋仁監督(64)は、区切りの60勝目と興南撃破を目指す。
最後の打者を左飛に打ち取ると、背番号16の上野山は両拳を高く突き上げた。歓喜の輪の中で涙が止まらない。「いつも怒られてきたので…」。うれしさと悔しさが入り交じりながら、ナインとV6の味をかみしめた。
4点リードの8回無死二塁。3番手で登板した2年生右腕は、押し出しを含む3連続四球を与えた。なおも1死満塁。ベンチに高嶋監督の鬼の形相が見えた。「怒っているんだろうな、と思ったけど、(登板前に)『お前が締めろ』と言われていたので強気でいった」。遊直で併殺に仕留め、最大のピンチを脱した。
絶対的なエース不在で今大会は7投手が登板。最も投球回数が多かったのが上野山だった。「球運と、なにくその気持ちが(遊撃手の)正面を突かせたんでしょう」と、指揮官は勝負を託した右腕をたたえた。
18日に甲子園出場を決めた興南が発奮材料だった。3回戦(対笠田)は9回2死まで2点ビハインドという中でサヨナラ勝ち。大会打率4割2分1厘のプロ注目の西川遥輝(3年)は「興南と当たるまで負けられなかった」と苦闘を振り返った。
関西、帝京、大垣日大、日大三。今春、全国優勝校の前に散った強豪が、次々に地方大会で敗れた。「俺らもやばいで」と危機感を高め合った。センバツではバント失敗で好機をつぶした反省から、週に1度だったバント練習を2日に1度に増やした。この日も3犠打。持ち前の豪打だけではない、ソツのない攻撃で18度目の夏切符をもぎ取った。
「ウチが負けたら、興南どうなるんかなと思っていた。リベンジできるんはウチだけ」と、ようやく笑みを浮かべた名将。自身の甲子園60勝よりも、春の王者に挑むチャンスを待ちわびていた。夏の優勝2度の名門が、打倒・興南の一番手に名乗りを上げた。
◆智弁和歌山(和歌山市)1978年創立の私立校。生徒数817人(うち女子305人)。野球部は79年創部。部員数31人。甲子園は春8度、夏は18度出場。春は94年、夏は97、2000年と全国制覇した。主なOBは武内晋一(ヤクルト)、中谷仁(楽天)、岡田俊哉(中日)ら。
(2010年7月28日11時24分 スポーツ報知)