城ノ龍が新十両昇進も境川親方「複雑な気持ち」

　野球賭博への関与が発覚しながら、軽微だとして名古屋場所に出場したモンゴル出身の城ノ龍が、秋場所の番付編成会議で新十両昇進を決めた。愛知県扶桑町の境川部屋で２８日午後に行われた記者会見は、師匠である境川親方（元小結・両国）の謝罪という異例の形で始まった。

　結果的に野球賭博関与で謹慎力士が出たことが、城ノ龍の昇進を後押しした。弟子の野球賭博関与で謹慎処分を受けた境川親方は「本来なら喜ぶべきことだが、複雑な気持ちでいっぱいです」と謝罪文を読み上げ、城ノ龍とともに深々と頭を下げた。

　城ノ龍は「今でも反省しています」と一度も笑顔をみせなかった。問題が発覚した際「そんな金があるなら、モンゴルに仕送りしろ」と、師匠にしかられたという。

　土俵には集中してきた。昨年、夏場所中には網膜剥離の手術を受けるなど壁を乗り越えてきた。「もう辞めようと思ったけど、親方とおかみさんが、自分の子どものようにしてくれて…」と涙を浮かべる場面も。「いろんな人のおかげでここまで来られた」と、感謝の気持ちを述べた。