千葉法相「見届けることも責任」

　「きちんと見届けることも責任と考え、本日の死刑執行に立ち会ってまいりました」。千葉景子法相は２８日午前、就任後初めてとなる２人の死刑執行を発表した記者会見で、異例の事実を明かした。死刑制度に反対だった法相。「国民的な議論の契機にしたい」と努めて冷静に語る様子からは、覚悟して執行を命じたようにも見えた。

　グレーのスーツに水色のスカーフ姿で会見場に現れた千葉法相は、２人の確定した犯罪事実の概要を淡々と読み上げた後に、立ち会いの事実を落ち着いた口調で唐突に表明。さらに死刑について存廃を含めて議論する勉強会の設置や、刑場のメディアへの公開まで踏み込み、報道陣から驚きの声が上がった。

　就任前は死刑廃止の立場だったことから「在任中の執行はないのではないか」との観測が広がっていた。今月の参院選で落選して民間人となり、９月にも退任するとの見方が有力になる中で、「法相の職責である死刑執行についてどう考えているのか」との声も一部で上がっていた。会見で落選と死刑執行の関係を尋ねられると「まったくない。それ以前から検討していた」と否定した。

　法相の執行立ち会いは「おそらく初めてだろう」と語った千葉法相。感想を問われると「指揮命令をした者として確認するということ」「わたしの個別のコメントは差し控えさせていただきたい」と述べ、回答を避けた。（共同）

　［2010年7月28日13時1分］