林葉直子さん復帰戦で「感じてみたい」

　将棋の元人気女流棋士、林葉直子さん（４２）が２８日、１５年ぶりの復帰戦に臨む。都内で行われる日本女子プロ将棋協会（ＬＰＳＡ）の公認棋戦「日レスインビテーション杯」初戦前日の２７日、日刊スポーツのインタビューに「指してみて、どんな気持ちになるか、感じてみたい」と話した。不倫スキャンダルなどの騒動も「もう時間がたった」とすべて受け入れた様子。食べたものを吐いてしまう「逆流性食道炎」で体重が減るなど体調は十分ではないが、１５年を経ても忘れられなかった将棋を、まずは楽しむつもりだ。

　９５年８月２４日の日本将棋連盟退会から１５年。８０年のデビューから引退まで１５年間の現役生活と同じ年月を経て、「林葉直子」が将棋界に戻ってきた。復帰戦の相手はＬＰＳＡ中倉彰子女流初段（３３）。林葉さんは、濃い赤の口紅を塗った唇で、復帰戦への思いをゆっくり話し始めた。

　林葉さん　実は、どうでもいいんです。うふふ。サッカーＷ杯を見て「私も勝ちたいな」と思うけど…。１５年間やってなければ（実力は）完ぺきに落ちます。練習相手もいないし、ネット将棋も、パソコンが壊れちゃったし…。でも、まず１局指してみて、自分がどう感じるのか、楽しみたい。羽生くん（善治名人）みたいに手が震えるかもね。今後、プロに復帰するかは分からない。やってみて感じてみたい。

　９５年の引退後、９８年に将棋界の重鎮との不倫スキャンダルが浮上した。天才棋士としてだけでなく、女性としての生き方も注目された。

　林葉さん　不倫のことは、時間もたったんで、私ももう大人になりました。運命的な出来事だったと受け止めています。名人に勝ったんじゃなくて、名人を泣かせた女になっちゃった。勝ちたかったなぁ。

　ここ数年は、胃腸にさまざまな病気を抱え、春からは食べたものを戻してしまう「逆流性食道炎」にも悩む。体調は十分ではない。

　林葉さん　体重も４キロくらいやせちゃった。顔からやせちゃって、おなかのお肉は落ちないのは困る。いろいろ大変よ（笑い）。好物のカレーも甘口でも食べられなくなっちゃった。

　０６年の自己破産告白会見で、「４０代の実業家」と交際しているとしていた。今も交際中なのか。

　林葉さん　実業家？　ああ（笑い）。その人は「ぜったい結婚しない派」で、２～３年前に別れました。でも、「恋愛はもうこりごり」という感じではない。毎年言ってるんだけど、今年こそ結婚したい。最近、お見合いのお話も頂いています。対局で負けたら、お見合いしちゃおっかな。

　冗談交じりでひょうひょうと話し続けた林葉さんだが、ふと「（会場の）エアコン温度、寒いかな」。ときおり、勝負師の顔がのぞいた。【清水優】

　［2010年7月28日9時35分　紙面から］