疑惑の猫姫 質問 頭巾地図 |
週刊「新潮」平成17年1月27日発売 English 英語版 |
イラクで「売春宿を経営」と批判された「人間の盾」日本人女性 |
高遠菜穂子さんら5人の人質事件に、香田証生さん殺害事件。 昨年、日本人はイラクを無頼に何度、大騒動を引き起こしたことか。 さらに暮には「人間の盾」の女性が「売春宿を経営」と批判されていた・・・・。 カーデルネットはイラク共産党のウェブサイトである。 同党は、フセイン独裁政権にもイラク戦争にも反対してきた。今後は米国の 影響力を排除していくべきだと主張している。 ともあれ、このネットに、 「グリーンゾーンでの売春宿と売春婦、そのひとりユキコ・ムラギシ」という批判記事が 掲載されたのは昨年12月12日。 筆者はサミール・オベードというイラク人作家で、彼もフセイン政権に 反対の立場だった。記事の要旨を紹介すると、 「ユキコ・ムラギシという日本人女性は会戦前、仲間と一緒に人間の盾として イラクにやってきた。 彼女は終戦後もイラクに残った。 その理由は、バグダッドの米軍保護地域であるグリーンゾーンで米平やイラク人 政治家相手の売春宿を経営し、金持ちになったからである。 グリーンゾーンの宮殿に住んでいるイスラムのリーダーたちよ、 売春宿で遊んでいる米兵などがいる限り、あなた方の祈りは無意味である」 この記事連載から2日後、ヨルダンの週刊誌、アッサビールは、この件とは別の イラク駐留米軍による酒池肉林の「狂宴」ぶりを特集しえいた。 場所はやはりグリーンゾーン、それも元大統領宮殿で、情報提供者は補修や 清掃で出入りしているイラク人だという。 グリーンゾーンはどうやら、「ピンクゾーン」と化しているらしい。 批判の的とされたユキコ・ムラギシとは滋賀県出身のダンサー、 村岸由季子さん(33)のことである。 10年前にダンサーとしてイラクを訪れ親近感を抱き、人間の盾になったという。 「イラク人の反感」 本人はこう釈明する。 「昨年4月から9月まで私がグリーンゾーンでマッサージ店を経営していたのは 確かです。 それがいかがわしいという噂を立てられていたことも承知しています。 でも、断じて性的なサービスはしていません。 それをすれば風紀を乱すということで米軍に追放されます」 開店の動機は、 「戦争終結後、米兵と話す機会が沢山あったのですが、彼らは自分たちの 殺戮行為がトラウマになっている。 それを払拭したいがために必死になって正当化しようと興奮して話す。 接していると米兵も戦争の犠牲者だと思えた。 癒してあげたい、と思い付いたのが、多少、心得があったマッサージだった という訳です。 旧知の中国人男性が、経営するレストランの2階を提供してくれた上、 マッサージの勉強をした女友達を4名紹介してくれた。 料金は60分30ドルで、 「金持ちになったなんてとんでもない。 治安が悪化して昨年11月に帰国し、目下、実家近くの工場で アルバイトの日々を送っています」 それにしても、なぜ、こんな誤解が生まれたのか。 イラク事情に詳しいNPO「PEACEvON」の相澤恭行代表が語る。 「人間の盾としてイラクへ来て、米軍に反対していた筈の人が、一転、 米兵相手に商売していた。イラク人の反感を買うのも無理はない」 これもお騒がせの一幕。 |