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ほぼノーミス「天才ラット」誕生 東海大、30年かけ

2010年7月28日3時0分

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写真:電気ショックを避けようと、左前脚でレバーを押す「天才ラット」=渡辺哲・東海大学教授提供電気ショックを避けようと、左前脚でレバーを押す「天才ラット」=渡辺哲・東海大学教授提供

写真:周りの様子を探る天才ラット=東海大学周りの様子を探る天才ラット=東海大学

 賢いラットを実験で選び出し、95世代かけ合わせて、「天才ラット」を誕生させた。東海大学が30年がかりで育てた。普通のラットは学習能力の実験で360回中、多い時は8割以上失敗するが、「天才」はほぼノーミス。殺虫剤や農薬など化学物質が学習能力に与える影響などを調べる実験に役立ちそうだ。

 「天才」は、30秒ごとにレバーを押さないと軽い電気ショックを受ける実験で、学習能力の高かった個体同士を繰り返し、交配してつくった。「賢さ」が安定するまで約20年かかったという。

 天才ぶりはこの実験で実証済みだ。普通のラットは、毎日30分、レバーの押し方を教えても、360回のうち100〜300回は失敗する。一方、「天才」は360回中、失敗は平均で5回ほど。

 水の中を泳いでゴールを探す記憶力の実験などでも、一貫して好成績を出すという。

 「天才」を使えば、化学物質の影響が効率的に調べられると期待される。化学物質を与えて失敗が増えれば、学習能力に影響があったと判定できるからだ。普通のラットは1匹ごとに知能の差が大きく、数十〜数百匹で実験しないと影響が分からない。一方、「天才」は学習能力に悪影響があれば、失敗がはっきり増えるので、少ない数で影響が分かるという。

 子どももほぼ例外なく、「天才」なので、妊娠中の親に化学物質を与えて、生まれた子どもの能力を調べれば、胎児への影響も調べられるという。シックハウス症候群を起こすホルムアルデヒドを親が取り込むと、子どもは成長してから学習能力や平衡感覚が落ちることが分かったという。

 東海大の渡辺哲教授(公衆衛生学)は、研究機関やメーカーに共同研究を呼びかけている。(杉本崇)

     ◇

 ラット 野生のドブネズミから生まれた。成長すると、大きいものは体重500グラムを超える。大きく、生きたまま観察しやすいため、薬の実験などに使われる。体重が10分の1ほどのマウス(ハツカネズミ)は、遺伝子の研究など幅広い実験に使われる。

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