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著作権クウィック用語解説


 共同著作物

 「共同著作物」とは、「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」をいう(2112)。

 「共同著作物」といえるためには、次の2つの要件が満たされる必要がある。

@ 「二人以上の者が共同して創作した著作物」であること。

 
「共同著作物」も「著作物」(211)であるから、「共同著作者」と認められるためには、その者が「著作物を創作する者」すなわち「著作者」(212)でなければならない。したがって、著作物の作成に創作的に関与(寄与)したとは言えない者(例えば、単に創作のアイディアやヒント・助言を提供しただけの者、原稿の校正作業等補助的な役割を果たしたに過ぎない者など)は、共同著作者にはなり得ず、それ故に、原始的に
共有著作権(共同著作物の著作権)を取得することはない。

A 「その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」であること。

 
これとは反対に、見かけは一体的な著作物としての体裁を整えているが、それぞれの寄与分を分離して個別的に利用することができる著作物がある。例えば、歌詞と楽曲によって構成されている著作物(歌謡曲など)、写真の上に一篇の詩が書かれているものなどである。これらは「結合著作物」と呼ばれ、「共同著作物」とは区別される。

 共同著作物については、その著作物としての一体性や、共同著作者間の密接な結合関係のため、著作権法上、以下のような特別な取扱いが規定されている。一方、結合著作物には、そのような共同著作物に関する特則は適用されない

(a) 共同著作物の著作者人格権の行使(64

 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない(641項)。もっとも、共同著作物の各著作者は、信義に反してこの合意の成立を妨げることはできない(同条2項)。
 
共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができるが、この代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない(同条34項)。

(b) 共有著作権の行使(65

 共同著作物の著作権(共有著作権)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない(651項)。また、共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない(同条2項)。もっとも、以上の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、その同意を拒み、又はその合意の成立を妨げることはできない(同条3項)。
 
共有著作権の共有者は、そのうちからその共有著作権を代表して行使する者を定めることができるが、この代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない(同条4項)。

(c) 保護期間の終期に関する特則(512項かっこ書

 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まり、著作権は、原則として、「著作者の死後50年」を経過するまでの間存続するが、共同著作物にあっては、「最終に死亡した著作者の死後」がこの50年の起算の基準時とされる。

(d) 共同著作物の権利侵害(1171

 
共同著作物の各著作者又は各著作権者は、他の著作者又は他の著作権者の同意を得ないで、差止請求、又はその著作権の侵害に係る自己の持分に対する損害賠償の請求若しくは自己の持分に応じた不当利得の返還請求をすることができる(1171項)。