日経新聞25日朝刊に、驚きの記事。
新日本監査法人が会計士ら400名の早期希望退職を実施するとの内容。
ご存知の通り、国内最大規模の監査法人である新日本の2009年6月期の業績は16億円の赤字。
赤字に転落したものの、売上高(業務収入)が悪化したのかというと、むしろ逆で、売上高は右肩上がり。私の知りうる範囲で、新日本の売上高は以下のように推移しています。
■新日本の売上高(業務収入)の推移
2000年6月期 200億円
2001年6月期 539億円 ←太田昭和とセンチュリーの合併
-------------------------------
2006年6月期 494億円
2007年6月期 658億円(33%増)
2008年6月期 988億円(50%増) ←旧みすず解散
2009年6月期 1,043億円(6%増)
これだけ短期間に売上高を伸ばしておきながら、赤字に転落するというのは、言わずもがなですが、売上高の伸び以上に人員が増加したため。
新日本の2010年3月31日現在の人員は以下のとおり。
■新日本の構成人員 (2010年3月31日現在)
公認会計士 2,746名
公認会計士試験合格者等 2,081名
その他 1,629名
合 計 6,456名
業務収入1,043億円を6456人が稼いでいるわけですから、従業員1人あたり売上高は1,617万円となります。前記の新日本の付属明細書を見ると、経費1,061億円のうち、報酬・給与・賞与が659億円で、経費の62.1%が従業員の直接的な給与等になっていると言えます。ということは、現状の監査報酬と従業員数を維持した上で黒字化を目指そうとすると、単純計算して、従業員1人あたり売上高1,617万円の62.1%である1,004万円を平均年収としなければならないということになります。「社員」だけでも695人いて、マネージャー(管理職)以上となると相当な数がいる中で、これは現実的な数字ではないと思います。
よって、昨年9月に6月期決算が公表された段階で、リストラは避けられないと思っていましたが、遂にその時が来たか、という感じがします。
400人もの早期退職希望者の応募があるのか、他の法人の追随するのか、今年の公認会計士試験合格者の募集枠はどうなるのか、今後の公認会計士試験制度の改正にどういう影響を与えるのか・・・といった今後の業界への影響がとても気になります。
ちなみに、「公認会計士制度に関する懇談会」の報告書は今週公表される予定だそうです。
それにしても、大阪事務所を関西で最も賃料が高い物件の一つであろう阪急の新築高層ビルに移転する直前のこのリストラ、タイミングが最悪ですねぇ。今更移転を白紙にはできんでしょうし。。
【関連記事】
2010/5/26 新日本 会計士100人企業に出向 経営現場で修行
新日本監査法人が会計士ら400名の早期希望退職を実施するとの内容。
監査法人で国内最大手の新日本監査法人は、所属する公認会計士と会計士試験合格者を対象に400人の早期希望退職を実施する方針を固めた。2008年秋のリーマン・ショック以降、外資系企業の相次ぐ日本撤退などで収入が落ち込んでいる。大手監査法人が数百人規模の希望退職者を募るのは珍しい。
9月末にかけて募集する。対象は金融部など一部の部署や若手を除く会計士と会計士試験合格者約4800人。応募者には面談を経て原則10月末までに退職してもらう。基本給の6〜10カ月分にあたる割増退職金を支払うほか、再就職支援も実施するという。
関係者によると早期退職募集に先立ち、パートナーと呼ばれるベテラン会計士や企業の監査を直接手がけない事務職員の早期退職も実施した。
監査法人は金融危機後の景気低迷で収益が低迷した。会計士試験合格者の採用を絞り込んだため「就職浪人」が増える一因となっていた。監査法人の経営悪化は金融庁が進めている公認会計士試験制度の見直し作業にも影響を与えそうだ。
[出所]日本経済新聞2010/7/25朝刊
ご存知の通り、国内最大規模の監査法人である新日本の2009年6月期の業績は16億円の赤字。
赤字に転落したものの、売上高(業務収入)が悪化したのかというと、むしろ逆で、売上高は右肩上がり。私の知りうる範囲で、新日本の売上高は以下のように推移しています。
■新日本の売上高(業務収入)の推移
2000年6月期 200億円
2001年6月期 539億円 ←太田昭和とセンチュリーの合併
-------------------------------
2006年6月期 494億円
2007年6月期 658億円(33%増)
2008年6月期 988億円(50%増) ←旧みすず解散
2009年6月期 1,043億円(6%増)
これだけ短期間に売上高を伸ばしておきながら、赤字に転落するというのは、言わずもがなですが、売上高の伸び以上に人員が増加したため。
新日本の2010年3月31日現在の人員は以下のとおり。
■新日本の構成人員 (2010年3月31日現在)
公認会計士 2,746名
公認会計士試験合格者等 2,081名
その他 1,629名
合 計 6,456名
業務収入1,043億円を6456人が稼いでいるわけですから、従業員1人あたり売上高は1,617万円となります。前記の新日本の付属明細書を見ると、経費1,061億円のうち、報酬・給与・賞与が659億円で、経費の62.1%が従業員の直接的な給与等になっていると言えます。ということは、現状の監査報酬と従業員数を維持した上で黒字化を目指そうとすると、単純計算して、従業員1人あたり売上高1,617万円の62.1%である1,004万円を平均年収としなければならないということになります。「社員」だけでも695人いて、マネージャー(管理職)以上となると相当な数がいる中で、これは現実的な数字ではないと思います。
よって、昨年9月に6月期決算が公表された段階で、リストラは避けられないと思っていましたが、遂にその時が来たか、という感じがします。
400人もの早期退職希望者の応募があるのか、他の法人の追随するのか、今年の公認会計士試験合格者の募集枠はどうなるのか、今後の公認会計士試験制度の改正にどういう影響を与えるのか・・・といった今後の業界への影響がとても気になります。
ちなみに、「公認会計士制度に関する懇談会」の報告書は今週公表される予定だそうです。
それにしても、大阪事務所を関西で最も賃料が高い物件の一つであろう阪急の新築高層ビルに移転する直前のこのリストラ、タイミングが最悪ですねぇ。今更移転を白紙にはできんでしょうし。。
【関連記事】
2010/5/26 新日本 会計士100人企業に出向 経営現場で修行
就職活動で監査法人をいくつか回っています。どこの法人も厳しいです。単純に需給バランスが崩れているので仕方ないとも思うんですが、受験生としてはKY・・金融庁に対する不信感が募るばかりです。このままだと普通のリスク回避者なら、会計士試験は真っ先に切る投資案になりそうです