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メキシコ連邦検察当局は25日、北部ドゥランゴ州の刑務所長らが収監中の受刑者たちに武器と車を与えて一時解放した結果、18人の市民が殺されたと発表した。今年2月以降、同様の事件による犠牲者は計35人に上る。殺害の動機は、対立する麻薬密売組織への復讐(ふくしゅう)。殺人を終えた受刑者たちは監房に戻り、通常通りに服役している。
刑務所長が受刑者たちを塀の外へ逃がし、殺人をアシスト―。B級映画のシナリオでもなかなかお目にかかれないような事件がメキシコで発生していた。
北部ドゥランゴ州ゴメスパラシオ近くにある刑務所のマルガリータ・ロハス所長や看守ら4人は今月18日未明、複数の囚人を監房から出し、自動小銃などの武器を与えて刑務所の専用車両を用意した。5台のSUV車に分乗した受刑者たちは一路、隣のコアウイラ州トレオンの郊外へ出発。そして、酒に酔った市民らが誕生パーティーを催して盛り上がっているところを襲撃。銃を200発以上乱射し、女性を含む18人を無差別に射殺した。
明確な人数は分かっていないが、20人前後はいたものとみられる囚人たちは事件後、そのまま逃げるでもなくUターンし、それぞれの監房に戻った。所長や看守ら4人は自宅に監禁されて捜査を受けているが、告訴はされていない。
麻薬組織が暗躍するトレオン近郊では、今年2月1日と5月15日にも同様の殺人事件が発生して計17人が殺されている。連邦検察当局は、2件の現場で発見された弾丸が18日の事件で使われたライフルのものと一致しているため、いずれも問題の刑務所の受刑者らが関与したものとみている。
受刑者を一時的に解放した理由について、現地メディアは、刑務所長や看守たち自身が麻薬組織とかかわっていたと報道。動機は対立する麻薬組織への復讐とみられるが、無関係な市民も巻き込まれており、3つの事件での犠牲者は合計35人にも及ぶ。
近年のメキシコの刑務所社会は腐敗が進み、麻薬取引などの犯罪の温床となっている。ブレイク内務相は「今回の事件も、犯罪者たちへのモーニングコールになるだけかもしれない。二度と起きてはならない事件なのだが…」と話している。
(2010年7月27日06時03分 スポーツ報知)
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