早乙女愛さん急死…「愛と誠」共演の西城秀樹ショック

　映画「愛と誠」などで知られる元女優の早乙女愛さんが２０日午前３時５１分（現地時間）、多臓器不全のため米シアトルのワシントン大学病院で亡くなっていたことが２６日、分かった。５１歳だった。葬儀は２３日に近親者のみで済ませた。今月１１日に体調を崩して入院し、わずか９日後の急死。映画「女猫」でのヌードが話題になったが、２０００年に芸能界から引退し、米国でひっそりと暮らしていた。

　純愛マンガを映画化した青春映画「愛と誠」で清純派として注目を集め、後に日活ロマンポルノに出演してファンを驚かせた早乙女さんが、遠くアメリカの地でひっそりと、早過ぎる死を迎えていた。

　この日、元所属事務所からマスコミ各社に送られたファクスによると、早乙女さんは今月１１日に体のだるさや疲労感などを訴え、体調不良のために入院。治療を続けていたが、容体が急変。そのまま回復することなく亡くなった。葬儀は、すでに現地で近親者のみで執り行われており、遺灰が日本に戻ってくるかどうかは今後、話し合われる予定だという。

　同事務所の代表取締役で、早乙女さんの引退後は友人として交流があったという万代博実氏は「親族の方から電話で連絡をいただいて知りました。あまりに急なので、驚きました」と戸惑いを隠せない様子だった。早乙女さんが最後に帰国した４年前から顔を合わせることはなかったが、電話では度々話していたという。「今月の初めにも、写真を送ってくれました。その時の表情も元気そのもので、『なぜ？』という気持ちでいっぱいです」と話した。

　早乙女さんは、７４年に映画「愛と誠」のオーディションで、主人公を演じた西城秀樹の相手役に４万人の中から選ばれてデビューした。その後、“松竹の秘蔵っ子”として同作の続編や映画「青春の構図」などに出演。若い男性を中心に、圧倒的な人気を集めた。８３年、清純派女優からの脱皮を図り、俳優の故・山城新伍さんがメガホンを執った日活ロマンポルノ「女猫」に出演。大胆なヌードが大きな反響を呼んだ。その後は映画、テレビで脇役として出演。００年の映画「新・仁義なき戦い。」を最後に芸能界を引退していた。

　プライベートでは、８５年に７歳年上の日本人の青年実業家と結婚。９７年に結婚１３年目にして待望の長男が誕生した。０２年には、夫の仕事の関係で米シアトル近郊に居を構えて生活していた。夫とは０８年に離婚したが、その後も関係は良好で、親子３人でたびたび会っていたという。

　西城秀樹「１９７４年、彼女のデビュー作となった『愛と誠』の、早乙女愛役のオーディションの時、初対面の彼女を見て、劇画からそのまま抜け出してきたような存在感に驚いたのを、今でも鮮明に覚えています。清純さと強さを兼ね備えた数少ない女優さんでした。もう何年もお会いしておりませんでしたが、残念でなりません」

　◆愛と誠　梶原一騎さん原作の劇画で「週刊少年マガジン」に１９７３年から７６年まで連載。ヒロイン・早乙女愛と不良少年・太賀誠の純愛、そして死を描き、人気を博した。７４年にテレビ版も作られ、こちらは夏夕介さん（今年１月に胃がんで死去。享年５９歳）が誠、池上季実子が愛を演じた。

　◆早乙女　愛（さおとめ・あい）本名・瀬戸口さとみ。１９５８年１２月２９日、鹿児島県生まれ。７人兄弟の長女。７４年、高校在学中に映画「愛と誠」のヒロインに選ばれ、役名で芸能界デビュー。８３年、日活ロマンポルノ「女猫」に出演、ヌードを披露。８５年、結婚したが２００８年離婚。９７年に長男を出産。００年の映画「新・仁義なき戦い。」を最後に芸能界を引退。０２年から米シアトルに移住していた。