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枝野政調会長/記者会見要旨
2004年1月14日(水)
16:20~16:40 (於:民主党本部-5階ホール)
編集・発行/民主党政策調査会

INDEX
■『次の内閣』閣議報告(民主党予算案)
■民主党2004年度定期大会について
■自衛隊幕僚長の報道管制について
■石破防衛庁長官の「米国以外とも武器共同開発」発言について
■現行憲法下で多国籍軍での武力行使は認められることになるのか?
■小沢代表代行が言われているような解釈は今の民主党では難しいのか?
■[マニフェスト] 次のマニフェストをまとめるのはいつ頃になるのか?
■[マニフェスト] 参院選で政権がとれるわけではないが、次のマニフェストは政権 公約という形になるのか?
■[マニフェスト] 参院選で提示するものは、次の衆院選を前提とした数値目標等を 盛り込むのか?
■[民主党予算案] 国債発行について
■[民主党予算案] 政府の規制改革の不十分な点について
■3年前の参院選の一票の格差が合憲であるとの最高裁判決について
■年金問題について、自民党が民主党と協議をしていきたいとの話があるが




○2004年1月14日「次の内閣」閣議報告


 本日の閣議では、民主党の作る2004年度予算のフリーディスカッションを行っ た。藤井ネクスト財務大臣と、五十嵐ネクスト経済財政担当大臣から方向性を提起し てもらい、『次の内閣』で議論した。これを受けて各部門で議論してもらい、来週は 数値の入ったたたき台を示してもらうことを確認した。

 主な議論としては、そろそろ「無責任な国債発行が限界に近づいている」という認 識をしっかりと示していく必要があるということ。

景気に対しては財政も一つの大きな手法であるが、それ以上に大切なことは広い意味 での規制改革だ。「民間の活力を十分に引き出すような施策」が重要である。経済効 果の薄い所にいくら金額を投入しても効果はない。逆に国民負担減という形で、民間 の分野に金額を投入することで経済効果が生じたりする。むしろ使い方が重要だ。使 い方の所で民間が自由に活力を発揮できる。官製経済から脱却することが大切だとい うこと。

 その上で、民間の活力を十分に引き出す意味から「セーフティーネットの部分を充 実させなければならない」という3点について、大きな方向性が確認できたと思って いる。

 政府から必ずしも十分なデータが公表されていない中でシュミレーションしていく ことは難しいが、民主党が組んでいる予算案によって、どのような効果が生じるのか ということを、できるだけわかりやすく伝えていく必要がある。これから1週間かけ て、財務及び経済財政部門で整理をしてもらいたいと考えているが、同時に、原口ネ クスト規制改革担当大臣からメモが提出されているので、予算と規制改革の提起を セットで打ち出していこうと考えている。 本日の閣議では以上のような議論がなされた。




○民主党2004年度定期大会について


 昨日(1月13日)党大会が開かれたが、代表から政策に関わるいくつかの問題提 起がなされた。

 憲法については、政策調査会長の下に憲法調査会が置かれているため、仙谷憲法調 査会長の下で、議論を進めていく方向を確認した。現時点で、『次の内閣』が主体的 にということではなく、仙谷憲法調査会長と進め方についてある程度の意思疎通をし ておく程度で良いかと考えている。

 いわゆる別組織論については、外務・防衛部門の方で議論を進めていきたいと考え ている。

 農業関係についても、農林水産部門で議論できるよう政調役員の所で準備を進めて いきたいと考えている。

 来週から多くの議員が上京してくる。いずれも重要な案件であるため、多くの議員 が参加できる場面で進めていかなければならない。代表から提起がなされた案件につ いては迅速に対応したいが、来週以降となるだろう。ただし、議論はできるだけス ピーディーに進めたい。今日も政調役員会を『次の内閣』閣議に先立って開催した が、特に代表から提起された案件について、マニフェストのフォローアップ、そして 充実させることなどについては、3月中には各部門での議論を整理し、新たな提起を できる部分があれば、閣議で議論していただくというスケジュールでスタートさせ、 濃密な議論を各部門にお願いしたい。具体的にいつまでにどういう提起を‥‥という ことについては、政調役員会、マニフェストフォローアップ委員会で議論し、今月末 ぐらいまでに、各部門に期限付きで指示できればと考えている。




○自衛隊幕僚長の報道管制について


 イラクへの自衛隊派遣に関して、制服組(陸・海・空幕僚長)らの会見が減らされ るという話を聞いている。これが事実であるとすれば、見過ごし得ない問題ではない か。自衛隊派遣そのものの枠組みであるとか、今の状況で派遣することが適当かどう かについても、民主党と政府・与党との間で意見は違っている。意見は違っている が、それぞれの主張をメディア等を通じて国民にお聞きいただき、最終的には一票で 国民の皆さんに決めていただくというのが民主主義のルールだ。民主党の主張が仮に 届いていなくても、最終的には国民の皆さんの判断であるが、国民の皆さんが判断す るための事実がきちっと客観的に伝わっていくことが民主主義の根本的なルールだ。 一番現場の状況について認識している自衛隊の制服組の会見の機会をこういう状況の 中で減らされる、あるいはマスコミの現地取材について取材自粛のようなことが申し 入れられるということは、民主主義の前提となる事実を客観的に伝えることに歯止め をかけようという動きだ。

 個々の政策について、民主党の主張と必ずしも違う結論になってしまった場合は、 私たちの力不足であり、私たちが努力しなければならないことだ。しかし、事実を しっかりと伝えるという部分が、脅かされることについては、例外的に民主主義以外 の手法で政権を倒しても良いのではないかというのが、立憲主義を作り、民主主義を 作ってきた歴史だ。小泉政権はそういうことを危惧するような段階に入りつつある。

 もちろん今の段階では、私たちの発言が封じられているわけではないので、民主主 義のプロセスの中で訴えていきたいと思っている。ただ、報道関係の皆さんは、こう した報道管制、報道規制につながることには、徹底して戦っていただくことが報道人 としての責務だと思っている。そのことに期待している。




○石破防衛庁長官の「米国以外とも武器共同開発」発言について


 一つは「武器輸出三原則」だが、これは日本の国是とも言えるような原則として やってきた。米国との関係ということであれば、例外として位置づけることもできる が、なし崩し的に広げていくことは、議論の仕方が違うのではないか。

 もう一つは、小泉内閣自身が、日米同盟を特殊な位置づけをしてイラクの問題等を 主張されている。小泉政権は米国に追従し過ぎだと思っているが、民主党も日米同盟 が日本の安全保障の機軸同盟であることには同感だ。米国との間のMDの開発をはじ めとする武器輸出三原則に関する例外措置については一定の理解もできるが、それ以 外の所に広げるといった場合は、日本の安全保障の基本原則についての考え方を変え ることになる。賛成はしないが、日米同盟機軸から、別の機軸に変えるという提起と セットならば一つの考え方だと思う。それ抜きで、どう広げるかが無原則になってい る。外交なき安全保障論という今の政権の姿を明確に示している。

 民主党も長期的には東アジアにおける集団安全保障体制の構築ということを将来の ビジョンとしては持っている。党大会での代表の提起にも含まれていたが、将来を見 据えた時には、東アジアにおける共同安全保障体制の下で武器輸出三原則について違 う考え方をとらなければならないという余地はある。しかし、外交、安全保障に対す る基本的な枠組みの議論が先だ。




○現行憲法下で多国籍軍での武力行使は認められることになるのか?


 これから部門で議論していくことになる。憲法との関係を言えば、議事録は確認し ていないが、党大会での代表の提起も、多国籍軍で現行憲法上許されるということで はない。国連の指揮下、あるいは国際機関の指揮下に入ってということであれば、国 権の発動たる戦争ではないということになるが、過去に存在したような多国籍軍で武 力行使をするのであれば、各国の主権の発動が共同行動しているという形であるか ら、この武力行使は現行憲法では許されない。これについては他の解釈はできないの ではないか。私は集団的自衛権は憲法上許されるという立場だが、これについては無 理だと思っている。




○小沢代表代行が言われているような解釈は今の民主党では難しいのか?


 小沢代表代行の趣旨は詳しくわからないが、国連の指揮下ということになるのでは ないか。多国籍軍の定義が人によって違う。過去にあった多国籍軍は各国の主権の発 動だ。ただし、将来的には国連の決議に基づいて国連から委託された軍が指揮をと り、その下に入るということであれば、国権の発動たる戦争ではなくなると思う。ど のような国連決議がなされるか、どのような多国籍軍の組み方をするのかによって変 わってくる。国連軍に近い多国籍軍であれば合憲だと思うが、過去にあったような多 国籍軍では、憲法解釈的に無理だと思う。




○[マニフェスト] 次のマニフェストをまとめるのはいつ頃になるのか?


 3月末までにお願いできればと考えているが、固めてはいない。衆議院総選挙の反 省点と、参議院選挙までのタイムスケジュールを考えると、できればゴールデン ウィーク明けに一通りのものができて、そこから選挙までの間に修正が加わるような 線にできればと考えている。そのためには、各部門からの提起については3月末まで に集約し、4月末までに取捨選択を含めた整理をしていきたいという、整理をする側 からの一方的な思いだ。現場の実際の作業の進行を含めて、スケジュール自体をこれ から1週間ないし10日程かけて整理していきたい。




○[マニフェスト] 参院選で政権がとれるわけではないが、次のマニフェストは政権 公約という形になるのか?


 最終的な議論がなされているわけではないが、私自身の認識では、民主党の政治的 な参議院選挙の目標としては、参議院選挙に勝った上で、小泉内閣を退陣に追い込 み、解散総選挙に持ち込むというのが大目標だ。参院選挙後にある解散総選挙を含め た一体の政権公約という打ち出し方をすることになるのではないかと認識している。




○[マニフェスト] 参院選で提示するものは、次の衆院選を前提とした数値目標等を 盛り込むのか?


 総選挙の場合には、投票日が明確で、私たちの内閣が作れる日が明確であったた め、11月9日の選挙で、2003年中に政権を発足させ、この国会の予算案も民主 党が提起するというタイムスケジュールを具体的に決めた。しかし、参議院の場合 は、そこまで具体的にいつ政権をとってということが言えない。「政権取得後○年以 内」という表現にならざるを得ないと感じている。その点は、衆議院選挙における公 約とは違ってくるのではないかと思う。




○[民主党予算案] 国債発行について


 国債発行については、「政府予算案より1ミリでも良いから小さくして、財政健全 化に向けた最初の一歩を踏み出し、目に見える形にしたい」というのが、五十嵐ネク スト経済財政担当大臣から提起された。そのこと自体に異論はないが、経済にマイナ スの影響を与えないという十分な説明が必要だという意見も出された。今後、具体的 な数値の議論を進めていく。




○[民主党予算案] 政府の規制改革の不十分な点について


 政府が行っている、目に見える規制らしい規制以外の所に、経済を活性化する上で 重要な規制改革があると考えている。例えば、今日提起された中には、特別養護老人 ホームを建設するというニーズは民間に沢山あるが、補助金を出すにあたって、役所 の様々な基準が一種の規制となっていて、特養を作りたいという需要、特養があれば 入りたいという需要があるにも関わらず、そうした活力が活かされない結果になって いる。これは法律事項でも何でもない。こういう規制が経済をダメにしているという 指摘がなされた。

 また、藤井ネクスト財務大臣からは、最大の規制は課税であるとの提起がなされ た。重い税金ほどの規制はない。規制緩和の中で実は一番大きいのは減税であると。 もちろん単年度で短期的に大幅な減税をすることは財政状況から許されないが、どん どん税を重くしていく、国民負担を重くしていくような方向は、規制緩和という観点 から間違っているという指摘もなされた。




○3年前の参院選の一票の格差が合憲であるとの最高裁判決について


 合憲との判断は最高裁で決めたことなので、三権分立の立場から立法府がものを言 うべきではないが、最高裁が合憲と決めたからこの一票の格差で許されるということ にはならない。参議院は衆議院とは違うと言っても、事実上同じような権能が与えら れている以上、合憲の範囲内でも、政策論として一票の格差を縮めるべく努力をすべ きだと考えている。




○年金問題について、自民党が民主党と協議をしていきたいとの話があるが


 正式な提起は全く受けていない。色々なアドバルーンが上がっているだけかと思 う。30年、50年にわたる抜本的な改革を超党派でやりたいということは、菅代表 も総選挙の前に申し上げてきた。そういう話であれば私たちからお願いしたいと思 う。しかし、現実に抜本改革に値しない改悪案を取りまとめておいて、それを前提に して協議したいと言われても、前提を欠くのではないか。まずは、改悪案を撤回して いただき、その上で抜本的な改革についての方向性を整理していただいた上で協議を するのであれば、私たちの案に必ずしも固執するものではないので、協議の場につく のはやぶさかではない。ただし、今回まとまっているといわれている改悪案を撤回す ることが当然の前提だ。


以上