江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の肉筆画で所在不明になっていた「鍾馗(しょうき)図」と「三福神の相撲図」を栃木市出身の旧家が所有していたことが分かり、同市が27日発表した。2点の存在は1975年ごろに確認されたのが最後。専門家によると、現存する歌麿の肉筆画は40点ほどしかない。所有者から寄託を受けた市は年内にも一般公開したいとしている。
「鍾馗図」は縦81センチ、横27.5センチで、中国の魔よけの神である鍾馗の立ち姿。「三福神の相撲図」は縦82.3センチ、横39センチで、布袋(ほてい)と大黒が相撲を取り、恵比寿(えびす)が行司をする様子が描かれている。鑑定した大和文華館(奈良市)の浅野秀剛館長によると、2点とも歌麿が美人画で全盛期を迎える直前の1791~93(寛政3~5)年ごろの作とみられる。歌麿は豪商の招きで栃木市に滞在し、作品を描いたという説がある。浅野館長は「歌麿が栃木に滞在した可能性が非常に高くなった」としている。【中村藍】
毎日新聞 2010年7月27日 21時19分(最終更新 7月27日 21時25分)