「ユーリ・プロジェクト」その2
「ユーリ・プロジェクト」その2です!!
ジュリアの意識が、深い眠りの海から浮上する。
「……んんっ」
目が覚めたと言っても、完全な覚醒にはまだ至っていなかった。
頭がまるで鉛のように重く感じるし、視界もぼんやりと霞がかっている。
それになんだか息苦しい。体にもまだ力が入らなかった。
(ここは、どこ)
ジュリアがまず考えたのは、自分のいる場所がどこかということだった。
持てる全ての感覚を研ぎ澄ませて、彼女は状況の確認を始めた。
彼女は、自分が仰向けに寝かされた状態で、何かの器のようなものに入れられているのだと気付く。
白い、浴槽のようなもののようだ。しかし、それは浴槽と言うには、あまりに機械的だ。カプセルと言ったほうが正しいのかもしれない。
肌にひんやりとした空気が触れるのを感じる。
頭や腕と言った、普段から露出することの多い場所だけでなく、腹や乳房、下腹部等の、布で覆い隠すべき部分にも直接、空気が触っている。
彼女は下着さえ身につけていない状態だった。
僅かに息苦しさを感じるのは、鼻と口を覆うようにマスクが装着されているからだった。
気圧を調整された麻酔用マスクは、彼女が首を激しく振ったとしても、しっかりと吸いついて離れない。
腕に力を入れ、持ち上げようとしても、何かに阻まれて、動かすことが出来なかった。
足も同じ状態だ。手首、足首そして腹部に、丸い輪っかのようなものがはめられていて、ジュリアの動きを拘束しているのだ。
彼女が思い切り暴れて見せても、全く外れる様子はない。
彼女の体は昆虫標本のように、軽く股を広げた状態で張り付けられているのだった。
頭は固定されていないようで、僅かにだが、首を起こすことが出来た。
首を起こした状態で、ジュリアは視線を下の方へと向けていった。
見えたのは、腕や腹など、体の各所に張り付いた白い吸盤のようなもの。吸盤からは黒いコードが伸びているのが見えた。
ジュリアの目に映ったものの中で、特に異質だったのは、彼女の豊満な乳房に吸いついた、細長い透明な筒のようなもの。
筒からも、吸盤と同じように、黒いなチューブが伸びていた。
目まいがする。
なぜこのような状態で自分は寝かされているのだろう。何が行われようとしているのだろう。
恐怖が今さらのようにやってくる。
(誘拐されたんだ)
自分が冷たい表情をした少女達に襲われたことを、ここに至ってようやく彼女は思い出したのだ。
「対象の覚醒を確認」
唐突にやってきた誰かの声で、ジュリアの思索は終了を迎えた。
「測定を開始します。測定科目は……」
淡々とした女の声が、カプセルの外から聞こえてくる。ジュリアの存在を全く無視しているかのようだった。
(教育?測定?)
意味が分からなかった。だが、
「データを読みあげます。対象者名、ジュリア=カーソン、女性、年齢、18歳」
女性が頭上で告げる内容は、間違いなくジュリアを指し示すものだった。
「ここはどこなの?あなたは誰?」
ジュリアは近くにいると思われる女性に向けて問いかけた。その声は十分に女性の耳に届いた筈だった。
「意識レベル、安定。測定を開始します」
「答えてよ!」
女はジュリアを完全に無視していた。ここがもし病院だったのなら、ジュリアの声を黙殺するなど、あり得ない筈だ。
「測定」という単語からジュリアは、自分が病院にいるのかもしれないと想像したのだが、ここは違う。自分の全く知らない、日常からかけ離れたどこか遠いところなのだ。
機械が静かに唸り声をあげた。その音と共に、カプセルの蓋が覆いかぶさってきた。
「何するのっ!出して!」
何とかここから抜け出さなければと、めちゃくちゃに体を動かすが、拘束は頑として溶けない。それでもあきらめきれなかった。
抵抗も空しく、蓋が完全に閉じてしまった。
外が見える透明なガラスがはめられているおかげで、彼女は外からの光を奪われるようなことは無かったが、不安と恐怖を拭う要素には数えることができない。
(一体何が始まるの?)
曇天のような分厚い不安が、彼女の心を捕えて離さない。
外界から隔絶されたとある島に創設された、秘密結社「シャドルー」中枢本部。
最先端軍事力の結晶と称される施設の中に、洗脳教育室はある。
麻薬売買、軍事兵器密入、暗殺等、数々の悪事に手を染めるシャドルーであるが、その構成員も多種にわたる。
野望に魅了され、自ら志願することで構成員となった者。
弱みを握られたために、無理やり構成員として働かされる者。
補助を受ける代わりに構成員として尽くす者。
能力を見込まれて、スカウトされた人間も存在する。
そして、シャドルーの持つ技術力の行使によって、洗脳を施された者もいるのだ。
第1号から第5号まで設けられた洗脳教育室は、誘拐した人間に精神操作、肉体改造を施し、シャドルーの構成員とするための施設である。
洗脳に必要な設備は全てここに集結されているのだ。
ジュリアがいるのは第2号洗脳教育室だった。
その中で、三人の研究員たちは、ジュリアの解析を黙々と進めていく。
「感情パターン解析」
抑揚のない声で、研究員の一人が言い、目にも止まらぬ速さで操作盤のキーを叩いていく。
彼女達のきびきびとした無駄のない動きは、効率性を得た代償に、人間らしさを損なっているかのようにも見える。
部屋の中には、ジュリアを閉じ込めている、機械仕掛けのカプセルと、同じく複雑な機械を密集させた肘掛イスが設置されていた。
2つとも、捕獲対象を洗脳し、シャドルーに引き入れるための悪魔の装置だ。
白衣を着こなした彼女達を取り巻く環境は、傍から見れば医療の現場ともとれそうなものだったが、
ここはあくまで、日常と断絶された、秘密結社シャドルーの「教育」の現場なのである。
「アドレナリン値測定……」
機械的に動く、洗脳担当者である研究員達も、元々はシャドルーとは無関係の民間人だった。
ジュリアと同じように拉致されたあと、徹底した洗脳を施されたのだ。彼女達は洗脳教育室の卒業生とも言える存在だった。
ある一人以外は。
「感情パターン解析終了。さあ、始めるわよ」
眼鏡をかけた、栗色の髪の女性が指示を出した。
「はい、カノン様」
残りの二人は、その女性の言葉に忠実に従う。
「そう、好い子よ」
妖しく微笑む女性、カノン=モリスンは、洗脳教育室を創設した第一人者であった。
この部屋にある装置も、彼女が一から作り上げたものだ。
もちろん、彼女は洗脳教育を受けてはいない。シャドルー総帥の持つ野望に惹かれ、自ら入社を志願した者の一人である。
今、彼女はジュリアの洗脳プログラムを進めながらも、最近シャドルーに引き入れた女性研究者の様子にも目を光らせていた。
(全く問題は見られない、か)
カノンをマスターと仰ぎ、淡々と作業をこなしていく女性研究者2名、ミランダとアリスの洗脳も、カノンの手によって行われたのだ。
元々二人は、それぞれ化学、医学を学ぶ、カレッジスクールの優等生だった。その彼女達も、シャドルーに拉致され、ベガに対する忠誠と、軍事研究についての知識・ノウハウを叩きこまれたのだ。
技術だけをみれば、洗脳教室創設者、カノンに劣るものではない。
「催淫ガスを注入しなさい」
カノンの指示に従い、二人は次々に機械を操作していく。
プシュー……
空気が漏れるような音が聞こえてきた。と同時に、甘い匂いがジュリアの鼻孔をついた。
催淫ガスが管を駆け抜け、マスクへと送り込まれているのだ。マスクから送られる甘いガスは、蠱惑的なかぐわしさをもってジュリアに迫ってくる。
(あまい……?)
ジュリアの体の動きは次第にとまり、ゆったりとしたものになった。
先ほどまでの混乱が嘘みたいに引いていく。あとに残るのは水面を漂っているかのような穏やかさだ。
「はあ……はあ……」
(熱い……どうして……)
もしジュリアが、訓練を受けた軍人だったのなら、少しは抵抗できたのかもしれない。
だが、訓練などを受けた経験のない彼女は、体を官能の炎に包み、心を淫らに変貌させる催淫ガスの効果に、あっという間に支配されてしまった。
顔を赤く上気させ、快感にとろけた瞳を虚空に彷徨わせているのがその証拠だ。
「はあ……んっ……」
呼吸がだんだんと荒くなる。口から、ガスを吸い込んでは胸を膨らませ、吐いてはしぼませる。
ガスが彼女を満たしていくに従って、快感が全身に感染し、呼吸の速度も加速していく。
「ああ……いい……はあ……ひもち……ひい」
(だめぇ……勝手に……こうふんして……)
全てが、淫らな思念の渦に沈んで消えた。
先ほどまで抱いていた不安をもう彼女は感じていない。
状況を理解しようという努力も、もう見えない。
マスク越しで見えにくいものの、彼女の口元が歪んでいるのは外からでも確認できた。普段の彼女なら決して、恋人の前でさえ見せない、淫らな、娼婦染みた笑みだ。
(ほしい……ほしい……)
彼女のヴァギナが、ひくひくとうごめいている。咥えたくて、咥えたくて、我慢できないと主張する子供のようだ。
愛のジュースが、とろとろと、とめどなく溢れては垂れ落ちていく。
彼女の変化を待っていたかのように、機械から一本の管が伸びてきた。
丸い粒が一杯ついた、嫌らしい形状の突起が先端に付けられている。
男性器をかたどったバイブだった。
女の興奮を掻き立てるバイブの後ろに、股間全てを覆うカバーが控えていた。
女から愛液を貪欲に絞っては吸い取っていく淫猥なマシン、膣液吸引機である。
それが、ジュリアの股の間をゆっくりと進み、彼女の秘密の近くにまで進んだ。そのことに、彼女は気付かない。
「対象の膣液を採取するため、吸引器を挿入します」
カプセルの外で研究員が言った。ジュリアの耳は外の声を捕えていたが、彼女の心にまでは届かなかった。
それどころではない状態なのだから、当然だ。
嫌らしい突起が、ゆっくりと彼女の秘密に触れた。
「ひっ!!」
それだけで、すさまじい衝撃を感じた。
高圧の電気が流れたかのよう。彼女の体は驚き、快楽から逃げるかのように、激しくはねた。だが、腹部を固定する枷に阻まれる。
少しずつ、突起がジュリアの中へ侵入する。
突起についた粒が、ジュリアの膣壁をこすっては、愛液の分泌を急き立てた。甘い電気が彼女の脳をスパークさせる。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
悲鳴があがった。ジュリアは目を固く閉じ、限界まで体を反らせた。
ゾクゾクとする。甘い感覚に、全てがはじける。
1センチ、3センチ、5センチ。
進むたびに、腰が砕けるかのような愉悦が爆発する。
ヴァギナから誕生した甘い激震は、心臓を躍らせ、体を快楽の炎に包みこむ。呼吸も不安定になった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
声にならない声。快楽の爆弾から逃れるかのように、彼女の体は勝手に暴れまわる。
ジュリアは何度も限界の扉を見た。しかし、扉はいとも簡単に開かれる。その先にあるのは新たな限界の扉。
催淫ガスは女を獣のように発情させる。快楽中枢を剥き出しにされ、興奮を強制的に高められたジュリアに限界などなかった。
ついに、突起は彼女の最奥にまで達した。
ぴたりとその動きを止める。カバーが股間に密着して、女の秘図を覆い隠してしまった。
ただ入れただけなのに、既に秘唇は熱い愛液に濡れ爛れていた。股間と吸引部分の僅かな隙間から、熱い液体が涙のように流れている。
このとき既に、彼女は甘い沼の中で自身を失った状態であった。
「あっ がっ ああ」
いつの間にか、彼女の上げる声は無機的な声に変っていた。感じるに従って声をあげる、単純な機械がそこにいた。
吸引機の動きは止まったが、突起部分は彼女の震えに応えるように膣壁を舐めている。
その深くもやさしい快感は、先ほどの衝撃に比べればマイルドなものだった。
「興奮数値101、性感数値81」
「異常ありません。膣液のさらなる分泌を促進するため、吸引器の前後運動を開始します」
女達の声がしたすぐ後だった。
「あがっ!?」
膣内を静かに舐めていた機械が、激しく前後運動を始めた。時折回転運動を織り交ぜる不規則な動きは、ジュリアの女をかき乱しては満たしていく。
グチュ グチュ グチュ
「があああっ!ああああああ!!!おおあああああああ!!!!!」
機械と膣がもたらす水音、体がカプセルを叩くタップ音、そして快楽の叫び。
カプセル内に狂悦の多重奏が響きわたる。
「ひいぃぃぃいぃ!!!があああああああああああ!!!!」
淫らな獣が上げる甲高い咆哮。
通常、人体が感じることのできないほどの、凶暴なオーガズムをジュリアは感じていた。
神経を焼き切る程の絶頂感が、強烈なスパークを脳に叩きつけ続ける。
「ああああああああああ!!!!はああっ!!!!うあああああああ!!!!!」
(!!!!!!)
悶え狂うジュリアに構うことなく、突起は膣内で何度もピストン運動を繰り返す。
不規則に、身をひねる回転を加え、あらゆる刺激を与え続ける。
女を悦ばせる為の機械は、ジュリアの性本能を肥大化させ、破裂させていった。
何度も絶頂する。そのたびに咆哮する。膣に与えられる刺激の一つ一つが、オーガズムへ直結するスイッチと化していた。
強制的な連続絶頂で、ジュリアは完全に自身を失った。自分が何をされているのか、もう分かってもいない。
「これは中々の逸材ね」
半ば白目をむきかけ、絶叫するジュリアの様を、楽しそうに見つめながらカノンは満足そうに言った。
ここまでの反応を示す女は初めてだった。これは教育し甲斐がある。
二人の研究員は、狂態の悲鳴に顔を向けることも無く、仕事を続けている。
「膣液を採取しました。ただいまの興奮数値134、性感度数136。オルガスムスを1分につき3回観測」
「搾乳可能状態になりました。これより射乳を促し、採取を行います」
通常、出産経験のない女性は母乳を出すことは無い。射乳を促すホルモンが生成されていないからだ。
だが、一定以上の性的興奮状態に陥ったとき、特殊な手法を対象者に用いれば、母乳の生成を促し、搾乳することが可能だ。
「分かったわ。はじめなさい」
この射乳で、大抵の者は失神する。未出産女性の強制射乳は人外の悦楽を伴うのだ。
豊満な乳房をいじられて、この女はこれ以上、どうよがり狂うのだろう。
淫らな想像を背景に、カノンは静かに笑みを浮かべた。
「あ……は……」
絶頂の嵐はまだ続いていた。ジュリアの声は枯れ、意識も半ば失神に向かいかけいた。
彼女が意識を手放そうという寸前で、吸引機は止まった。嵐が去って行く。
「あ……!……はあ……」
(と……とまっ……ら……?)
体の痙攣が徐々におさまってくる。だが、いったん火のついた身体はまだ疼いたままだ。
あれだけ狂悦を演じ、堪能したと言うのに、ジュリアは物欲しそうに足をすりあわせていた。
マスクも、ジュリアの興奮の炎を消さないように、間断なくガスを与え続けていた。
胸に吸いついた搾乳機が突然動きだした。チューブから、優しい風が吹いてくる。それは渦を巻くような気流となって、槍のようにとがった乳首を撫でまわし始めた。
「ああ……」
再三、絶頂を迎えたにもかかわらず、これまで全く触られていなかったピンクの突起は、気流が与えるソフトな刺激に悶え始めた。
甘い風が乳首から乳房へ、乳房から一気に全身へ。
「はああああ!!んん!!」
(むねが、からだが、しびれる!!!)
気流は竜巻のように、小さな渦を巻いている。渦は乳首の側面を優しく、抱き締めるかのように愛撫し続ける。
「ふわっ、ふわああああああああ!!!!」
先ほどまでのハードな刺激とは違った、ソフトな責め。
気流の責めで、乳首の感度はますます上がる。
あっという間に、二つの乳首はクリトリス並みの感度を持つ器官へと作り変えられてしまった。
「ふああ!!!ああああ!!!
ジュリアの声は止まらない。だが、先ほどまでとは違い、どこか柔らかさのある悲鳴。
少しずつ、気流の動きが変わっていった。
とがった乳首の側面を愛撫していた気流の間隔は徐々に狭まり、乳頭の先の一点に集中しはじめた。
細い、針のような、微小な竜巻が生成された。小さな竜巻は先の部分、尻尾の部分で乳首の先端を拡げ、中に押し入ってくる。
「うわあああああ!!!!!」
乳首の内壁を撫でられる感覚は、ソフトな感覚とは程遠いものだった。
やわらかいヤスリが、快楽中枢をじかにこすりつけてくるかのよう。
ゾクゾクと震える乳房。呼応するように、体全体が痙攣し始める。
再びジュリアの目が上にひっくりかえり始めた。口からははしたなく唾液を垂れ流している。
「あぐっ あ ああ」
竜巻は乳房の中にまで侵入した。乳房の内部を、竜巻は激しく愛撫し始める。
「ら らめ ああ おああああああああああ!!!!」
二つの乳房が、搾乳機によって激しくかきまわされる。
普段触られることのない、乳房内部の乳管を直接愛撫する異様なマッサージは、母乳の生成を強制する。
激しい疼きを感じていた。切ない気持ちがあふれ出してくる。
乳房の内部に何かがたまってゆくのをジュリアは感じた。それは先端に集中し始め、外へ出ようとしていた。
「乳の生成を確認。搾乳を開始します」
カプセル外の声と共に、搾乳機の動きが変化した。気流はかき回す運動をやめ、
一気に吸い出した。
「ぐああああああああああ!!!!!!!!」
ジュリアの絶叫が響く。
母乳が、乳首から勢いよくほとばしる。ゆっくりと出るのではなく、水鉄砲のように発射される母乳。
母乳は、発射される度に乳首の内壁をこすって、快感を置き去りに体外へと出ていく。
その様は、男性の性器官、ペニスが精を放つのに酷似していた。
母乳は過敏になった乳首から発射される。どんどん出る。
もう十分なほどの量を出したと言うのに、まだ搾乳機は乳首を吸い続ける。
二つの豊満な乳房は、白い果汁を搾りだす果物のようだった。
ジュリアの体が暴れ、乳房が激しく動作しても、しっかりと吸いついた搾乳機は全く離れる様子はない。
ガクガクと、体が全体が砕けるような痙攣がジュリアを襲った。絶えまなく続く痙攣は、彼女の思考をふるい落としていく。
ジュリアの意識がだんだんと遠くなってきた。母乳を吐きだすとともに、精神も一緒に抜けて出ていくようだった。
あそこを貫かれる快感とは違い、無理やり母乳を作り、それを搾取される等、常人には理解できない程の快楽なのだ。
苦痛にも似た、未知の快楽にジュリアは耐えることが出来ない。
「あっ!!!」
彼女の精神が壊れるのを防ぐ為、脳はぷつっと、ブレーカーを落とすかのようにジュリアの全ての機能をシャットアウトした。
「対象の失神を確認しました」
女はそう言い、終了キーを叩いた。
ジュリアを悦ばせていた、カプセル内の全ての機能がストップする。
搾乳機は胸から離れ、ヴァギナを貫いていた吸引機も、たまった愛液を滴らせながら、ゆっくりと抜け出る。
体中に吸いついていた吸盤も次々に外されていった。
脱力したジュリアの姿を見届けて、カノンはカプセル横の検査機に向かった。
女から絞り出された体液は、カプセル内部から外へ向かう管を通り、外部の検査機に行きつく。
検査機は、膣液から本能レベルを、母乳から代謝レベルを瞬時に割り出すものだ。
女性の興奮状態により、分泌される膣液は、粘り、匂い等が多様に変化する。
性的な興奮状態にある時、女は普段脳を制御している理性を麻痺させ、奥深くに眠った本能を解放する。
猿から進化を遂げた人間が、失った獣性に全てを支配され、牝に立ち返る瞬間である。
極限にまで高められた性興奮状態で放出される膣液から、人間が潜在的に抱え持つ、「本能」を解析することが可能なのだ。
一般的に、本能レベルが高ければ高いほど、洗脳教育の成果が色濃く表れてくる。
本能レベルは、対象を教育するプランを立てる上で、最も重要視すべき項目の一つとして数えられる。
一方、母乳からは体が持つ代謝のレベルを割り出すことが可能だ。
生命を維持するために、人間は肉体の様々な箇所において、常にエネルギーを消費している。
母乳を作るのも、体がエネルギーを消費して行っているものの一つだ。
乳房を特殊な技術でマッサージし、強制的に射乳を誘発させるという行為は、人体のエネルギーを母乳の生成のために無理やり引き出すと言うことだ。
あり得ない条件下で作られた母乳から、異常な状況に置かれた肉体がどれだけのエネルギーを引き出すことに成功したのかを割り出すことが可能なのだ。
どちらも、これから行われるセッションにおいて、必要となってくるデータである。
カノンが見た時には既に、検査機の液晶モニタには検査結果が映し出されていた。
「本能レベル94、代謝レベル98……」
素晴らしい数値だった。
一般女性の平均数値は、性興奮レベルが76、代謝レベルが67。
ジュリアのレベルは、そのどちらも大きく上回っている。
良い素材だ。これでこそ、ベガ親衛隊にふさわしい。
1号室で検査した、もう一人の親衛隊候補、エレンもなかなか良い数値を叩きだしていた。連続で優良な人間が手に入ったのは嬉しい限りだった。
彼女がほくそ笑んでいるときだった。
「どうだ、カノン。プロジェクトの調子は」
教育室の扉が突如開き、マントをはおった男が悠然と現れた。
彼が入ってきただけで、部屋の空気が一気に様変わりしたようだった。
彼が纏う、黒く、禍々しいオーラが部屋の属性に影響を与えているのだ。
男の名はベガ。秘密結社シャドルーの総帥である。
「ベガ様。全ては順調に進んでおります」
カノンは手を額に添えて敬礼をした。二人の女性達も同じように敬礼をとる。
「それは結構なことだ」
彼は両脇に女性戦闘員を侍らせていた。
二人とも、頭に小さな帽子をかぶり、濃紺のレオタードを着こんで、赤いナックルパーツを着用している。
シャドルー親衛隊のコスチュームだ。
彼女達は、一切の感情を失った、人形のような瞳をカノン達に向けていた。
二人も、かつては平和に暮らしていた一般人であった。だが、カノンの手によって教育されてからは、立派な親衛隊としてベガの傍で奉仕している。
ベガがカプセルに近づく。それに合わせるように研究員がカプセルを操作し、蓋を開いた。
静かな音を立てながら、ゆっくりと蓋が開いて、中からジュリアが女の全てを露出した姿で現れた。
ベガの指がジュリアの唇に触れた。やわらかな唇を出発点として、あご、首と降りていき、胸元、腹、下腹部の茂みに辿りついた。
「事前のリサーチ通りの娘だな。素質がある」
ベガの満足そうなその笑みは、カノンの自尊心を満足させるものだった。
「はいベガ様。彼女はベガ様を護衛する、親衛隊にふさわしい素材と言えるでしょう」
ジュリアの上で遊んでいたベガの指が離れた。
「『ユーリ』の完成、楽しみにしているぞ」
そう言い残し、彼は洗脳教育室の扉へ向かった。二人の親衛隊員も付き従う。
彼が部屋を去った後も、暗黒のオーラはその場に残っていた。
まだこの研究室に彼が存在していると思わせる濃いオーラは、カノンの胸を心地よく高鳴らせていた。
▽第一回測定結果報告
オルガスムス記録回数…32回
最高興奮値…164
最高性感度数…143
肉体組成値…145
特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
本能レベル…94
代謝レベル…98
○適性診断結果(F〜S)
適性職種
研究員…C
戦闘員…A+
工作員…B
私見……類稀な潜在的戦闘能力。期待値はこれまでの親衛隊の中でも群を抜く。
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ジュリアの意識が、深い眠りの海から浮上する。
「……んんっ」
目が覚めたと言っても、完全な覚醒にはまだ至っていなかった。
頭がまるで鉛のように重く感じるし、視界もぼんやりと霞がかっている。
それになんだか息苦しい。体にもまだ力が入らなかった。
(ここは、どこ)
ジュリアがまず考えたのは、自分のいる場所がどこかということだった。
持てる全ての感覚を研ぎ澄ませて、彼女は状況の確認を始めた。
彼女は、自分が仰向けに寝かされた状態で、何かの器のようなものに入れられているのだと気付く。
白い、浴槽のようなもののようだ。しかし、それは浴槽と言うには、あまりに機械的だ。カプセルと言ったほうが正しいのかもしれない。
肌にひんやりとした空気が触れるのを感じる。
頭や腕と言った、普段から露出することの多い場所だけでなく、腹や乳房、下腹部等の、布で覆い隠すべき部分にも直接、空気が触っている。
彼女は下着さえ身につけていない状態だった。
僅かに息苦しさを感じるのは、鼻と口を覆うようにマスクが装着されているからだった。
気圧を調整された麻酔用マスクは、彼女が首を激しく振ったとしても、しっかりと吸いついて離れない。
腕に力を入れ、持ち上げようとしても、何かに阻まれて、動かすことが出来なかった。
足も同じ状態だ。手首、足首そして腹部に、丸い輪っかのようなものがはめられていて、ジュリアの動きを拘束しているのだ。
彼女が思い切り暴れて見せても、全く外れる様子はない。
彼女の体は昆虫標本のように、軽く股を広げた状態で張り付けられているのだった。
頭は固定されていないようで、僅かにだが、首を起こすことが出来た。
首を起こした状態で、ジュリアは視線を下の方へと向けていった。
見えたのは、腕や腹など、体の各所に張り付いた白い吸盤のようなもの。吸盤からは黒いコードが伸びているのが見えた。
ジュリアの目に映ったものの中で、特に異質だったのは、彼女の豊満な乳房に吸いついた、細長い透明な筒のようなもの。
筒からも、吸盤と同じように、黒いなチューブが伸びていた。
目まいがする。
なぜこのような状態で自分は寝かされているのだろう。何が行われようとしているのだろう。
恐怖が今さらのようにやってくる。
(誘拐されたんだ)
自分が冷たい表情をした少女達に襲われたことを、ここに至ってようやく彼女は思い出したのだ。
「対象の覚醒を確認」
唐突にやってきた誰かの声で、ジュリアの思索は終了を迎えた。
「測定を開始します。測定科目は……」
淡々とした女の声が、カプセルの外から聞こえてくる。ジュリアの存在を全く無視しているかのようだった。
(教育?測定?)
意味が分からなかった。だが、
「データを読みあげます。対象者名、ジュリア=カーソン、女性、年齢、18歳」
女性が頭上で告げる内容は、間違いなくジュリアを指し示すものだった。
「ここはどこなの?あなたは誰?」
ジュリアは近くにいると思われる女性に向けて問いかけた。その声は十分に女性の耳に届いた筈だった。
「意識レベル、安定。測定を開始します」
「答えてよ!」
女はジュリアを完全に無視していた。ここがもし病院だったのなら、ジュリアの声を黙殺するなど、あり得ない筈だ。
「測定」という単語からジュリアは、自分が病院にいるのかもしれないと想像したのだが、ここは違う。自分の全く知らない、日常からかけ離れたどこか遠いところなのだ。
機械が静かに唸り声をあげた。その音と共に、カプセルの蓋が覆いかぶさってきた。
「何するのっ!出して!」
何とかここから抜け出さなければと、めちゃくちゃに体を動かすが、拘束は頑として溶けない。それでもあきらめきれなかった。
抵抗も空しく、蓋が完全に閉じてしまった。
外が見える透明なガラスがはめられているおかげで、彼女は外からの光を奪われるようなことは無かったが、不安と恐怖を拭う要素には数えることができない。
(一体何が始まるの?)
曇天のような分厚い不安が、彼女の心を捕えて離さない。
外界から隔絶されたとある島に創設された、秘密結社「シャドルー」中枢本部。
最先端軍事力の結晶と称される施設の中に、洗脳教育室はある。
麻薬売買、軍事兵器密入、暗殺等、数々の悪事に手を染めるシャドルーであるが、その構成員も多種にわたる。
野望に魅了され、自ら志願することで構成員となった者。
弱みを握られたために、無理やり構成員として働かされる者。
補助を受ける代わりに構成員として尽くす者。
能力を見込まれて、スカウトされた人間も存在する。
そして、シャドルーの持つ技術力の行使によって、洗脳を施された者もいるのだ。
第1号から第5号まで設けられた洗脳教育室は、誘拐した人間に精神操作、肉体改造を施し、シャドルーの構成員とするための施設である。
洗脳に必要な設備は全てここに集結されているのだ。
ジュリアがいるのは第2号洗脳教育室だった。
その中で、三人の研究員たちは、ジュリアの解析を黙々と進めていく。
「感情パターン解析」
抑揚のない声で、研究員の一人が言い、目にも止まらぬ速さで操作盤のキーを叩いていく。
彼女達のきびきびとした無駄のない動きは、効率性を得た代償に、人間らしさを損なっているかのようにも見える。
部屋の中には、ジュリアを閉じ込めている、機械仕掛けのカプセルと、同じく複雑な機械を密集させた肘掛イスが設置されていた。
2つとも、捕獲対象を洗脳し、シャドルーに引き入れるための悪魔の装置だ。
白衣を着こなした彼女達を取り巻く環境は、傍から見れば医療の現場ともとれそうなものだったが、
ここはあくまで、日常と断絶された、秘密結社シャドルーの「教育」の現場なのである。
「アドレナリン値測定……」
機械的に動く、洗脳担当者である研究員達も、元々はシャドルーとは無関係の民間人だった。
ジュリアと同じように拉致されたあと、徹底した洗脳を施されたのだ。彼女達は洗脳教育室の卒業生とも言える存在だった。
ある一人以外は。
「感情パターン解析終了。さあ、始めるわよ」
眼鏡をかけた、栗色の髪の女性が指示を出した。
「はい、カノン様」
残りの二人は、その女性の言葉に忠実に従う。
「そう、好い子よ」
妖しく微笑む女性、カノン=モリスンは、洗脳教育室を創設した第一人者であった。
この部屋にある装置も、彼女が一から作り上げたものだ。
もちろん、彼女は洗脳教育を受けてはいない。シャドルー総帥の持つ野望に惹かれ、自ら入社を志願した者の一人である。
今、彼女はジュリアの洗脳プログラムを進めながらも、最近シャドルーに引き入れた女性研究者の様子にも目を光らせていた。
(全く問題は見られない、か)
カノンをマスターと仰ぎ、淡々と作業をこなしていく女性研究者2名、ミランダとアリスの洗脳も、カノンの手によって行われたのだ。
元々二人は、それぞれ化学、医学を学ぶ、カレッジスクールの優等生だった。その彼女達も、シャドルーに拉致され、ベガに対する忠誠と、軍事研究についての知識・ノウハウを叩きこまれたのだ。
技術だけをみれば、洗脳教室創設者、カノンに劣るものではない。
「催淫ガスを注入しなさい」
カノンの指示に従い、二人は次々に機械を操作していく。
プシュー……
空気が漏れるような音が聞こえてきた。と同時に、甘い匂いがジュリアの鼻孔をついた。
催淫ガスが管を駆け抜け、マスクへと送り込まれているのだ。マスクから送られる甘いガスは、蠱惑的なかぐわしさをもってジュリアに迫ってくる。
(あまい……?)
ジュリアの体の動きは次第にとまり、ゆったりとしたものになった。
先ほどまでの混乱が嘘みたいに引いていく。あとに残るのは水面を漂っているかのような穏やかさだ。
「はあ……はあ……」
(熱い……どうして……)
もしジュリアが、訓練を受けた軍人だったのなら、少しは抵抗できたのかもしれない。
だが、訓練などを受けた経験のない彼女は、体を官能の炎に包み、心を淫らに変貌させる催淫ガスの効果に、あっという間に支配されてしまった。
顔を赤く上気させ、快感にとろけた瞳を虚空に彷徨わせているのがその証拠だ。
「はあ……んっ……」
呼吸がだんだんと荒くなる。口から、ガスを吸い込んでは胸を膨らませ、吐いてはしぼませる。
ガスが彼女を満たしていくに従って、快感が全身に感染し、呼吸の速度も加速していく。
「ああ……いい……はあ……ひもち……ひい」
(だめぇ……勝手に……こうふんして……)
全てが、淫らな思念の渦に沈んで消えた。
先ほどまで抱いていた不安をもう彼女は感じていない。
状況を理解しようという努力も、もう見えない。
マスク越しで見えにくいものの、彼女の口元が歪んでいるのは外からでも確認できた。普段の彼女なら決して、恋人の前でさえ見せない、淫らな、娼婦染みた笑みだ。
(ほしい……ほしい……)
彼女のヴァギナが、ひくひくとうごめいている。咥えたくて、咥えたくて、我慢できないと主張する子供のようだ。
愛のジュースが、とろとろと、とめどなく溢れては垂れ落ちていく。
彼女の変化を待っていたかのように、機械から一本の管が伸びてきた。
丸い粒が一杯ついた、嫌らしい形状の突起が先端に付けられている。
男性器をかたどったバイブだった。
女の興奮を掻き立てるバイブの後ろに、股間全てを覆うカバーが控えていた。
女から愛液を貪欲に絞っては吸い取っていく淫猥なマシン、膣液吸引機である。
それが、ジュリアの股の間をゆっくりと進み、彼女の秘密の近くにまで進んだ。そのことに、彼女は気付かない。
「対象の膣液を採取するため、吸引器を挿入します」
カプセルの外で研究員が言った。ジュリアの耳は外の声を捕えていたが、彼女の心にまでは届かなかった。
それどころではない状態なのだから、当然だ。
嫌らしい突起が、ゆっくりと彼女の秘密に触れた。
「ひっ!!」
それだけで、すさまじい衝撃を感じた。
高圧の電気が流れたかのよう。彼女の体は驚き、快楽から逃げるかのように、激しくはねた。だが、腹部を固定する枷に阻まれる。
少しずつ、突起がジュリアの中へ侵入する。
突起についた粒が、ジュリアの膣壁をこすっては、愛液の分泌を急き立てた。甘い電気が彼女の脳をスパークさせる。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
悲鳴があがった。ジュリアは目を固く閉じ、限界まで体を反らせた。
ゾクゾクとする。甘い感覚に、全てがはじける。
1センチ、3センチ、5センチ。
進むたびに、腰が砕けるかのような愉悦が爆発する。
ヴァギナから誕生した甘い激震は、心臓を躍らせ、体を快楽の炎に包みこむ。呼吸も不安定になった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
声にならない声。快楽の爆弾から逃れるかのように、彼女の体は勝手に暴れまわる。
ジュリアは何度も限界の扉を見た。しかし、扉はいとも簡単に開かれる。その先にあるのは新たな限界の扉。
催淫ガスは女を獣のように発情させる。快楽中枢を剥き出しにされ、興奮を強制的に高められたジュリアに限界などなかった。
ついに、突起は彼女の最奥にまで達した。
ぴたりとその動きを止める。カバーが股間に密着して、女の秘図を覆い隠してしまった。
ただ入れただけなのに、既に秘唇は熱い愛液に濡れ爛れていた。股間と吸引部分の僅かな隙間から、熱い液体が涙のように流れている。
このとき既に、彼女は甘い沼の中で自身を失った状態であった。
「あっ がっ ああ」
いつの間にか、彼女の上げる声は無機的な声に変っていた。感じるに従って声をあげる、単純な機械がそこにいた。
吸引機の動きは止まったが、突起部分は彼女の震えに応えるように膣壁を舐めている。
その深くもやさしい快感は、先ほどの衝撃に比べればマイルドなものだった。
「興奮数値101、性感数値81」
「異常ありません。膣液のさらなる分泌を促進するため、吸引器の前後運動を開始します」
女達の声がしたすぐ後だった。
「あがっ!?」
膣内を静かに舐めていた機械が、激しく前後運動を始めた。時折回転運動を織り交ぜる不規則な動きは、ジュリアの女をかき乱しては満たしていく。
グチュ グチュ グチュ
「があああっ!ああああああ!!!おおあああああああ!!!!!」
機械と膣がもたらす水音、体がカプセルを叩くタップ音、そして快楽の叫び。
カプセル内に狂悦の多重奏が響きわたる。
「ひいぃぃぃいぃ!!!があああああああああああ!!!!」
淫らな獣が上げる甲高い咆哮。
通常、人体が感じることのできないほどの、凶暴なオーガズムをジュリアは感じていた。
神経を焼き切る程の絶頂感が、強烈なスパークを脳に叩きつけ続ける。
「ああああああああああ!!!!はああっ!!!!うあああああああ!!!!!」
(!!!!!!)
悶え狂うジュリアに構うことなく、突起は膣内で何度もピストン運動を繰り返す。
不規則に、身をひねる回転を加え、あらゆる刺激を与え続ける。
女を悦ばせる為の機械は、ジュリアの性本能を肥大化させ、破裂させていった。
何度も絶頂する。そのたびに咆哮する。膣に与えられる刺激の一つ一つが、オーガズムへ直結するスイッチと化していた。
強制的な連続絶頂で、ジュリアは完全に自身を失った。自分が何をされているのか、もう分かってもいない。
「これは中々の逸材ね」
半ば白目をむきかけ、絶叫するジュリアの様を、楽しそうに見つめながらカノンは満足そうに言った。
ここまでの反応を示す女は初めてだった。これは教育し甲斐がある。
二人の研究員は、狂態の悲鳴に顔を向けることも無く、仕事を続けている。
「膣液を採取しました。ただいまの興奮数値134、性感度数136。オルガスムスを1分につき3回観測」
「搾乳可能状態になりました。これより射乳を促し、採取を行います」
通常、出産経験のない女性は母乳を出すことは無い。射乳を促すホルモンが生成されていないからだ。
だが、一定以上の性的興奮状態に陥ったとき、特殊な手法を対象者に用いれば、母乳の生成を促し、搾乳することが可能だ。
「分かったわ。はじめなさい」
この射乳で、大抵の者は失神する。未出産女性の強制射乳は人外の悦楽を伴うのだ。
豊満な乳房をいじられて、この女はこれ以上、どうよがり狂うのだろう。
淫らな想像を背景に、カノンは静かに笑みを浮かべた。
「あ……は……」
絶頂の嵐はまだ続いていた。ジュリアの声は枯れ、意識も半ば失神に向かいかけいた。
彼女が意識を手放そうという寸前で、吸引機は止まった。嵐が去って行く。
「あ……!……はあ……」
(と……とまっ……ら……?)
体の痙攣が徐々におさまってくる。だが、いったん火のついた身体はまだ疼いたままだ。
あれだけ狂悦を演じ、堪能したと言うのに、ジュリアは物欲しそうに足をすりあわせていた。
マスクも、ジュリアの興奮の炎を消さないように、間断なくガスを与え続けていた。
胸に吸いついた搾乳機が突然動きだした。チューブから、優しい風が吹いてくる。それは渦を巻くような気流となって、槍のようにとがった乳首を撫でまわし始めた。
「ああ……」
再三、絶頂を迎えたにもかかわらず、これまで全く触られていなかったピンクの突起は、気流が与えるソフトな刺激に悶え始めた。
甘い風が乳首から乳房へ、乳房から一気に全身へ。
「はああああ!!んん!!」
(むねが、からだが、しびれる!!!)
気流は竜巻のように、小さな渦を巻いている。渦は乳首の側面を優しく、抱き締めるかのように愛撫し続ける。
「ふわっ、ふわああああああああ!!!!」
先ほどまでのハードな刺激とは違った、ソフトな責め。
気流の責めで、乳首の感度はますます上がる。
あっという間に、二つの乳首はクリトリス並みの感度を持つ器官へと作り変えられてしまった。
「ふああ!!!ああああ!!!
ジュリアの声は止まらない。だが、先ほどまでとは違い、どこか柔らかさのある悲鳴。
少しずつ、気流の動きが変わっていった。
とがった乳首の側面を愛撫していた気流の間隔は徐々に狭まり、乳頭の先の一点に集中しはじめた。
細い、針のような、微小な竜巻が生成された。小さな竜巻は先の部分、尻尾の部分で乳首の先端を拡げ、中に押し入ってくる。
「うわあああああ!!!!!」
乳首の内壁を撫でられる感覚は、ソフトな感覚とは程遠いものだった。
やわらかいヤスリが、快楽中枢をじかにこすりつけてくるかのよう。
ゾクゾクと震える乳房。呼応するように、体全体が痙攣し始める。
再びジュリアの目が上にひっくりかえり始めた。口からははしたなく唾液を垂れ流している。
「あぐっ あ ああ」
竜巻は乳房の中にまで侵入した。乳房の内部を、竜巻は激しく愛撫し始める。
「ら らめ ああ おああああああああああ!!!!」
二つの乳房が、搾乳機によって激しくかきまわされる。
普段触られることのない、乳房内部の乳管を直接愛撫する異様なマッサージは、母乳の生成を強制する。
激しい疼きを感じていた。切ない気持ちがあふれ出してくる。
乳房の内部に何かがたまってゆくのをジュリアは感じた。それは先端に集中し始め、外へ出ようとしていた。
「乳の生成を確認。搾乳を開始します」
カプセル外の声と共に、搾乳機の動きが変化した。気流はかき回す運動をやめ、
一気に吸い出した。
「ぐああああああああああ!!!!!!!!」
ジュリアの絶叫が響く。
母乳が、乳首から勢いよくほとばしる。ゆっくりと出るのではなく、水鉄砲のように発射される母乳。
母乳は、発射される度に乳首の内壁をこすって、快感を置き去りに体外へと出ていく。
その様は、男性の性器官、ペニスが精を放つのに酷似していた。
母乳は過敏になった乳首から発射される。どんどん出る。
もう十分なほどの量を出したと言うのに、まだ搾乳機は乳首を吸い続ける。
二つの豊満な乳房は、白い果汁を搾りだす果物のようだった。
ジュリアの体が暴れ、乳房が激しく動作しても、しっかりと吸いついた搾乳機は全く離れる様子はない。
ガクガクと、体が全体が砕けるような痙攣がジュリアを襲った。絶えまなく続く痙攣は、彼女の思考をふるい落としていく。
ジュリアの意識がだんだんと遠くなってきた。母乳を吐きだすとともに、精神も一緒に抜けて出ていくようだった。
あそこを貫かれる快感とは違い、無理やり母乳を作り、それを搾取される等、常人には理解できない程の快楽なのだ。
苦痛にも似た、未知の快楽にジュリアは耐えることが出来ない。
「あっ!!!」
彼女の精神が壊れるのを防ぐ為、脳はぷつっと、ブレーカーを落とすかのようにジュリアの全ての機能をシャットアウトした。
「対象の失神を確認しました」
女はそう言い、終了キーを叩いた。
ジュリアを悦ばせていた、カプセル内の全ての機能がストップする。
搾乳機は胸から離れ、ヴァギナを貫いていた吸引機も、たまった愛液を滴らせながら、ゆっくりと抜け出る。
体中に吸いついていた吸盤も次々に外されていった。
脱力したジュリアの姿を見届けて、カノンはカプセル横の検査機に向かった。
女から絞り出された体液は、カプセル内部から外へ向かう管を通り、外部の検査機に行きつく。
検査機は、膣液から本能レベルを、母乳から代謝レベルを瞬時に割り出すものだ。
女性の興奮状態により、分泌される膣液は、粘り、匂い等が多様に変化する。
性的な興奮状態にある時、女は普段脳を制御している理性を麻痺させ、奥深くに眠った本能を解放する。
猿から進化を遂げた人間が、失った獣性に全てを支配され、牝に立ち返る瞬間である。
極限にまで高められた性興奮状態で放出される膣液から、人間が潜在的に抱え持つ、「本能」を解析することが可能なのだ。
一般的に、本能レベルが高ければ高いほど、洗脳教育の成果が色濃く表れてくる。
本能レベルは、対象を教育するプランを立てる上で、最も重要視すべき項目の一つとして数えられる。
一方、母乳からは体が持つ代謝のレベルを割り出すことが可能だ。
生命を維持するために、人間は肉体の様々な箇所において、常にエネルギーを消費している。
母乳を作るのも、体がエネルギーを消費して行っているものの一つだ。
乳房を特殊な技術でマッサージし、強制的に射乳を誘発させるという行為は、人体のエネルギーを母乳の生成のために無理やり引き出すと言うことだ。
あり得ない条件下で作られた母乳から、異常な状況に置かれた肉体がどれだけのエネルギーを引き出すことに成功したのかを割り出すことが可能なのだ。
どちらも、これから行われるセッションにおいて、必要となってくるデータである。
カノンが見た時には既に、検査機の液晶モニタには検査結果が映し出されていた。
「本能レベル94、代謝レベル98……」
素晴らしい数値だった。
一般女性の平均数値は、性興奮レベルが76、代謝レベルが67。
ジュリアのレベルは、そのどちらも大きく上回っている。
良い素材だ。これでこそ、ベガ親衛隊にふさわしい。
1号室で検査した、もう一人の親衛隊候補、エレンもなかなか良い数値を叩きだしていた。連続で優良な人間が手に入ったのは嬉しい限りだった。
彼女がほくそ笑んでいるときだった。
「どうだ、カノン。プロジェクトの調子は」
教育室の扉が突如開き、マントをはおった男が悠然と現れた。
彼が入ってきただけで、部屋の空気が一気に様変わりしたようだった。
彼が纏う、黒く、禍々しいオーラが部屋の属性に影響を与えているのだ。
男の名はベガ。秘密結社シャドルーの総帥である。
「ベガ様。全ては順調に進んでおります」
カノンは手を額に添えて敬礼をした。二人の女性達も同じように敬礼をとる。
「それは結構なことだ」
彼は両脇に女性戦闘員を侍らせていた。
二人とも、頭に小さな帽子をかぶり、濃紺のレオタードを着こんで、赤いナックルパーツを着用している。
シャドルー親衛隊のコスチュームだ。
彼女達は、一切の感情を失った、人形のような瞳をカノン達に向けていた。
二人も、かつては平和に暮らしていた一般人であった。だが、カノンの手によって教育されてからは、立派な親衛隊としてベガの傍で奉仕している。
ベガがカプセルに近づく。それに合わせるように研究員がカプセルを操作し、蓋を開いた。
静かな音を立てながら、ゆっくりと蓋が開いて、中からジュリアが女の全てを露出した姿で現れた。
ベガの指がジュリアの唇に触れた。やわらかな唇を出発点として、あご、首と降りていき、胸元、腹、下腹部の茂みに辿りついた。
「事前のリサーチ通りの娘だな。素質がある」
ベガの満足そうなその笑みは、カノンの自尊心を満足させるものだった。
「はいベガ様。彼女はベガ様を護衛する、親衛隊にふさわしい素材と言えるでしょう」
ジュリアの上で遊んでいたベガの指が離れた。
「『ユーリ』の完成、楽しみにしているぞ」
そう言い残し、彼は洗脳教育室の扉へ向かった。二人の親衛隊員も付き従う。
彼が部屋を去った後も、暗黒のオーラはその場に残っていた。
まだこの研究室に彼が存在していると思わせる濃いオーラは、カノンの胸を心地よく高鳴らせていた。
▽第一回測定結果報告
オルガスムス記録回数…32回
最高興奮値…164
最高性感度数…143
肉体組成値…145
特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
本能レベル…94
代謝レベル…98
○適性診断結果(F〜S)
適性職種
研究員…C
戦闘員…A+
工作員…B
私見……類稀な潜在的戦闘能力。期待値はこれまでの親衛隊の中でも群を抜く。