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秩父の防災ヘリ墜落:原因調査が本格化 /埼玉

 秩父市の山中で県防災ヘリコプター「あらかわ1」が墜落し5人が死亡した事故で26日、事故原因を調査する動きが本格化した。また、犠牲になった人々を悼む声が改めて上がった。一方、「医療体制」への思わぬ余波も生じた。

 ■県議会、開会前に黙とう

 犠牲になった松本章機長(54)、西川真一副機長(32)が所属する「本田航空」(川島町)の近藤真取締役らが26日、取材に応じ「残念で、とても悔しい」と沈痛な表情で話した。

 松本機長のことは「温厚で、笑顔しか思い出せない。優秀なパイロットだった」と振り返る。同社の10人のヘリコプターのパイロットのほとんどは、松本機長の指導を受けているという。ヘリコプター課の松永和昭課長も「教官として、言葉は厳しくてもしっかりフォローしてくれて、信頼されていた。とても慎重な方だった」と話す。

 また西川副機長は、ベテランの多い同社で有望な若手として期待されていた。松永課長は「非常にやる気があり、これから次のステップの訓練を受けさせようと考えていた矢先だったのに」と言葉を詰まらせた。

 一方、県議会は26日、定例会の開会前に、犠牲になった5人のため全員で黙とうをささげた。上田清司知事はその後、「県民を代表し、心から哀悼の意をささげます。亡くなった方々は710万の県民の安心安全のため日々厳しい訓練を重ね、自らの危険も顧みず、日夜人命救助に全力を尽くしておられた。遺族の深い悲しみを察するにあまりある。このような事故が二度と起こらないように早急に対策を講じていく」と述べた。【佐藤丈一、藤沢美由紀】

 ■夜間のドクターヘリ休止

 事故によって、医療スタッフを乗せて救急現場に飛ぶ「ドクターヘリ」の夜間運用が休止した。県の防災ヘリ2機のうち墜落した1機に加え、もう1機も定期点検に出されているためだ。

 ドクターヘリは、日中は専用機1機を埼玉医大が運航し、国と県が補助金を出す。昨年7月からは、夜間から早朝にかけて飛行ができる防災ヘリ2機と合わせた3機で全国初の24時間体制を組んでいた。

 「あらかわ1」が墜落したのに加え、もう一機の「あらかわ2」も、8月16日まで年1回の定期点検中。近隣の県と協定を結んでいるため、災害時はヘリの応援を頼めるが、夜間のドクターヘリは県独自のため運航が休止に。ドクターヘリの出動回数は昨年度274件。前年度の2倍に増えている。

 新たな防災ヘリについて、上田清司知事は26日、報道陣に「早急に購入すべきだ」と述べた。【鷲頭彰子】

 ■オイル吸収マット設置

 秩父消防本部と県秩父環境管理事務所、市は26日、同市大滝の滝川と入川の合流付近に、オイル吸収マットを設置した。墜落事故で流れ出た燃料オイルの二瀬ダム流入を防ぐ処置。

 設置されたマットは幅約50センチ、長さ約20メートルの3本で、流れの静かな場所に敷かれた。現地から直線で約4キロ地点。この日は、黒いスス状のオイルが点々と付着する程度だったという。

 同本部は、墜落ヘリの燃料が約500リットル残っているとみている。機体回収時の流出の可能性があるため、市生活衛生課が警戒する。【岡崎博】

毎日新聞 2010年7月27日 地方版

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