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【芸能・社会】

V6森田「金閣寺」主演で丸刈り 神奈川芸術劇場こけら落とし公演

2010年7月26日 紙面から

 V6森田剛(31)と演出家宮本亜門氏(52)が初タッグを組み、三島由紀夫の不朽の名作に挑むことが25日、分かった。作品は、来年1月29日に初日を迎える神奈川芸術劇場(横浜市山下町)のこけら落とし公演になる「金閣寺」。言語の障害などでコンプレックスの塊の主人公の僧・溝口役に、森田は5年ぶりの丸刈り頭で臨む。

 「海外からも注目されている公演で、これが世界で上演されるのも夢ではない」。同劇場の初代芸術監督を務める宮本氏が野望を語る作品。主演を託された森田も「まだけいこは先ですが、少しでも早くセリフを覚えてしまいたい、そんなふうに思っています」と心が躍る様子だ。

 三島文学の中でも名作として名高い「金閣寺」で描かれるのは、溝口が憧憬の念を抱いていた金閣寺に火を放つに至った軌跡。宮本氏は「三島由紀夫は、映画『炎上』で溝口を演じた市川雷蔵を『君には全く感心した』と褒め、その孤独感の表現に『君の人生から汲み上げたあらゆるものを注ぎ込んだのであらう』と述べている。この溝口は、日本文学史上、最もやりがいのある役の一つと言っても過言ではない」と断言する。

 森田がこれに燃えないわけがない。「豊潤な言葉で読み手を魅了する三島の世界で、溝口が何を考え、どう人生を見つめていたのかを掘り下げていくのはとても興味がわきます。書かれている年齢はかなり近く、自分の実人生と重ね合わせてみることが、そんなに難しくないように思います」と静かに闘志を燃やす。

 また、溝口には「『生きる意味』を捜そうとする孤独な現代の若者と共通性が多い」と宮本氏は指摘する。「常に演技熱心で、捨て身で役に没頭する」と評す森田が体現する溝口の姿から、若者らに自分を見つめ直してほしいようだ。

 共演陣は後日発表される。

◆過去2度の映画化

 三島由紀夫の小説「金閣寺」は、市川雷蔵主演の「炎上」(1958年)、篠田三郎(61)主演の「金閣寺」(76年)で映画化、ドイツでオペラ作品として上演されている。しかし、その世界観を表現する難しさからか、1957年に新派が舞台化した以外は「あまり例がない」という。

◆4作目の主演舞台 「光栄、身が引き締まる思い」

 森田にとって本作は、「荒神」(05年)、「IZO」(08年)、「血は立ったまま眠っている」(10年)に続き4作目の主演舞台。丸刈りが条件となるが、「光栄と同時に身の引き締まる思い。日本を代表する作家三島由紀夫の作品を舞台で表現する壮大なプロジェクトのみならず、歴史的事件を考証することにもなるから」と意に介していない様子だ。森田の丸刈りは、05年のテレビ朝日系スペシャルドラマ「零のかなたへ〜THE WINDS OF GOD〜」以来。

 

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