福岡県前副知事への贈賄罪で起訴された同県添田町の山本文男・前町長(84)=公判中=の辞職に伴う出直し町長選に、副町長の寺西明男氏(60)が立候補の意思を固めたことが22日、町関係者への取材で分かった。山本前町長も同日、出馬を表明しており、これまで前町長を支えてきた寺西氏が袂(たもと)を分かつことになった。寺西氏は23日にも会見して正式に出馬を表明する見通し。前町長のリコール運動を進めた町議の多くは、寺西氏を支持するとみられる。【林田雅浩】
町関係者によると寺西氏は22日、山本前町長の出馬表明の報道を聞き「前町長が当選しても町長派、反町長派に二分され混乱は続く。今後4年間のビジョンを持って新しい町づくりをすべきだ」と話した。また「(前町長を支援してきた)区長や前町長後援会の一部からも『町のために決断すべきだ』と出馬を促す声が寄せられた」とも明かしたという。
寺西氏は同町出身。74年に福岡県庁に入り自然環境課長、大阪事務所長などを務めて退職。山本前町長の要請で07年4月、副町長に就任して以来、前町長を支え、前町長が2月初めに逮捕され同月下旬に保釈されるまでの間、町長職務代理者を務めた。今月21日には前町長に会い「出馬しても厳しい戦いになる」と直言したという。
毎日新聞の取材に寺西氏は「今はお話しできない。23日には私の考えを明らかにしたい」と語った。
一方、山本前町長は22日、後援会の出馬要請を受ける形で「期待に応え、立候補する」と表明。周辺には「来年1月までの(本来の)任期で、おれが町を正常化する」と意欲を語ったという。前町長は1971年から10期連続で町長に当選し、全国町村会長などを務めたが、贈賄容疑で逮捕され福岡地裁で公判が続いている。
出直し町長選は8月17日告示、同22日投開票。公選法上、山本前町長が当選した場合の任期は辞職前と同じ来年1月末までとなる。町長選には他に、会社員、山本文隆氏(62)が「町政の世代交代を図る」として立候補を表明している。
毎日新聞 2010年7月23日 西部朝刊