名古屋グランパスは24日の清水戦(瑞穂陸)に3−3で引き分けた。得点にはつながらなかったが後半ロスタイム、DF田中隼磨(27)は自陣から相手ゴール前まで激走してチャンスメーク。夏場でも衰えないスタミナは、チームにとって心強い。
距離にして約70メートル。暑さを吹き飛ばす激走だった。後半ロスタイム。自陣中央で相手ファウルを受けた田中隼は即座にリスタートすると、猛然と駆け上がった。ボールは闘莉王を経由し、右サイドの杉本から再び田中隼へ。惜しくも寸前で清水DFボスナーにクリアされたが、田中隼はすでに相手ゴール前まで到達。疲労がピークに達する時間帯で、底知れぬ走力は際立った。
「ボールが出てくれば、絶対(ゴールまで)行けたなあ」。田中隼は悔しそうな表情を浮かべつつ、走る事への自負をのぞかせた。
「この試合に限らず、自分はスペースがあれば走っている。パスは出て来ないときもあるけど、チームのために走ること。それを続けたい」
日本屈指の運動量は、夏場も衰えない。高いプロ意識が支えている。中断期間の古川合宿で同部屋となったDF松尾は「食事の取り方や睡眠、サッカーに対する姿勢が本当に勉強になる。それが習慣になっていることもすごい」とその体調管理に驚いていた。田中隼自身は「20歳くらいから、ずっと自然にやっていること」とサラリと言うが、その姿勢は若手の手本にもなっている。
リーグ戦13節を終えて、出場時間はフィールドプレーヤー最長の1216分。GK楢崎と共に全試合に先発出場。数字が雄弁に、働きぶりを示している。 (塚田陽一郎)
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