<概算要求基準>「特別枠」「政策コンテスト」−−原案提示 苦心の「政治主導」演出
7月27日7時29分配信 毎日新聞
政府は26日の予算編成に関する閣僚委員会で、11年度予算の概算要求基準の原案を決め、各省庁に提示した。27日の閣議決定を目指す。民主党の提言に沿って、成長戦略などに充てる「元気な日本復活特別枠」を設定。一方、厳しい財政状況の中、財源確保のめどが立っていないことから、特別枠の規模については「1兆円を相当程度超える額」とし、党提言の「2兆円」の明記を見送った。【坂井隆之】
◇「特別枠」「政策コンテスト」
「経済成長や国民生活の向上を実現するため、政策効果の高い新たな政策に重点配分する」
仙谷由人官房長官は26日の閣議後会見で、特別枠設定の狙いを語った。
財務省を中心に当初検討していた原案は、▽社会保障費などを除いた経費約24兆円について各閣僚は、10年度予算比で一律1割削減▽削減額の範囲内で、成長戦略やマニフェスト(政権公約)関連事業を上乗せ要望できる−−とし、党提言の「特別枠」は明記していなかった。
ところが23日、原案を各省に提示しようとした野田佳彦財務相に官邸が「待った」をかけた。「一律1割削減」に対する各閣僚や与党内の不満が高まる中、仙谷氏が「財務省の指示であるかのように概算要求基準が示されるのはよくない」と判断したためだ。
週末の再調整の結果、盛り込まれたのが特別枠の設定と「政策コンテスト」の実施。「最終的に首相の判断によって配分を決める」こともあえて明記し、「政治主導」の予算編成を強くアピールする形になった。
しかし、1割削減など基本的な枠組み自体は、「当初の案とほとんど変わっていない」(財務省幹部)。特別枠の規模についても、党要望の「2兆円程度」を明記しなかった。一律削減で約2・4兆円を確保したとしても、そのうち1・3兆円は社会保障の自然増吸収分。国債費を除く歳出を前年度(71兆円)以下に抑えることはすでに決まっているため、残りは約1・1兆円しかない。
玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は「最終的な予算編成の中で2兆円は確保できる」との見通しを示したが、そのためには一層の無駄削減などで財源を捻出(ねんしゅつ)しなくてはならない。政治主導で各省庁の抵抗を封じ込める必要があり、菅官邸の求心力が問われることになる。
◇一律1割削減に広がる警戒
特別枠の前提となる「一律1割削減」だが、各省庁の間では「必要な予算まで減らされる」との警戒感が広がる。
馬淵澄夫副国土交通相は26日の会見で、10年度予算で公共事業を前年度比15%削減したことを踏まえ「なすべきことはなした」と強調。公共事業への配慮を強く求めた。
また、従来の基準では一律削減の枠外となっていた▽法律で支出を義務づけられた経費▽人件費−−なども聖域なく対象とした。そのため、こうした経費の多い法務省などは「事業的経費がほとんどなく、どのように対応していくかは重い課題」(千葉景子法相)と懸念する。
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財務省を中心に当初検討していた原案は、▽社会保障費などを除いた経費約24兆円について各閣僚は、10年度予算比で一律1割削減▽削減額の範囲内で、成長戦略やマニフェスト(政権公約)関連事業を上乗せ要望できる−−とし、党提言の「特別枠」は明記していなかった。
ところが23日、原案を各省に提示しようとした野田佳彦財務相に官邸が「待った」をかけた。「一律1割削減」に対する各閣僚や与党内の不満が高まる中、仙谷氏が「財務省の指示であるかのように概算要求基準が示されるのはよくない」と判断したためだ。
週末の再調整の結果、盛り込まれたのが特別枠の設定と「政策コンテスト」の実施。「最終的に首相の判断によって配分を決める」こともあえて明記し、「政治主導」の予算編成を強くアピールする形になった。
しかし、1割削減など基本的な枠組み自体は、「当初の案とほとんど変わっていない」(財務省幹部)。特別枠の規模についても、党要望の「2兆円程度」を明記しなかった。一律削減で約2・4兆円を確保したとしても、そのうち1・3兆円は社会保障の自然増吸収分。国債費を除く歳出を前年度(71兆円)以下に抑えることはすでに決まっているため、残りは約1・1兆円しかない。
玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は「最終的な予算編成の中で2兆円は確保できる」との見通しを示したが、そのためには一層の無駄削減などで財源を捻出(ねんしゅつ)しなくてはならない。政治主導で各省庁の抵抗を封じ込める必要があり、菅官邸の求心力が問われることになる。
◇一律1割削減に広がる警戒
特別枠の前提となる「一律1割削減」だが、各省庁の間では「必要な予算まで減らされる」との警戒感が広がる。
馬淵澄夫副国土交通相は26日の会見で、10年度予算で公共事業を前年度比15%削減したことを踏まえ「なすべきことはなした」と強調。公共事業への配慮を強く求めた。
また、従来の基準では一律削減の枠外となっていた▽法律で支出を義務づけられた経費▽人件費−−なども聖域なく対象とした。そのため、こうした経費の多い法務省などは「事業的経費がほとんどなく、どのように対応していくかは重い課題」(千葉景子法相)と懸念する。
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最終更新:7月27日8時58分
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