シーズン前のキャンプに合流して3日目。長友が早くも、チェゼーナ・サポーターの心をわしづかみにした。気温26度、快晴の下で格下クラブと練習試合。FC東京、日本代表と同じ背番号5(正式決定は8月)を付けて先発すると、持ち前の運動量でピッチを上下にかけずり回った。
「日は浅いけど、身ぶり手ぶりや、教えてもらった言葉でコミュニケーションを取っています。すごくいい経験でした」
前半12分にドリブルで攻め上がり、最初のクロスを上げた。「エースキラー」と呼ばれた南アW杯は守備に徹したが、この日は味方の攻撃時には上がりっぱなし。前半終了間際に初めてファウルを犯すと、約200人の観衆から喝采(かっさい)を浴びた。
新戦力を品定めしたフィッカデンティ監督は、「まだ足は重いが、良いシーンもあった。最初の試合でペースに乗ってくれた」と及第点だ。目の肥えたイタリア人記者もうなずいた。26日付のコリエレ・デロ・スポルト紙は『チームはいまいちだが、ナガトモは抜群』との見出しで、「昨日の試合のプラスは長友、マイナスは(FW)マロンガ。長友はやる気満々」と持ち上げた。
キャンプ地に駆け付けたサポーターも「ダイナミックなプレーをする」「がめついプレーをする(漫画ドラゴンボールの)ゴクーのようだ」と賛辞の嵐。移籍加入後、初の実戦で、まさに満点デビューだ。後半11分に物足りない顔でベンチに下がった長友は、「楽しくやっています」と余裕たっぷり。28日は地元アマチュアクラブと対戦する。