2006-12-23 20:41:18

ファインズの良心

テーマ:ブルゴーニュ・その他
本年6月、ドメーヌ・ルネ・ルクレールのグリオット・シャンベルタン1998の
澱まみれの1本に遭遇し、その後の経緯をこのブログに書いた。
ドメーヌ・ルネ・ルクレール グリオット・シャンベルタン 1998
購入日    2006年5月
開栓日    2006年6月25日
購入先    うきうきワインの玉手箱
インポーター サントリー
購入価格   9980円

その際の記事はこちら
ショップに開栓したワインの状況を伝えたところ、インポーターであるサントリーの
子会社のファインズから連絡を頂いた。
ファインズという会社は、高級ワインの輸入にたずさわるサントリーの100%子会社で、
最近輸入されたワインは、インポーターはサントリーではなく、ファインズになっている。

返送した残りのワインの分析結果、クルチエ(仲買人)からのコメント、など、
不良ワインであった原因についていろいろご指摘いただいたが、わたしはそれに納得できず、
厳しく反論させていただいた。
その際の記事はこちらこちらこちら

購入代金はすでに返金いただいているが、昨日になって、同社の管理部長であるT氏から
メールを頂いた。
同社の方が直接ドメーヌを訪問され、今回のワインが澱だらけであった点について
ドメーヌの見解を聴取された報告であった。

前回苦情を申し上げた際、ドメーヌに連絡を取って報告いたします、とコメントを頂いていたが、
それがきちんと実行され、明快な回答を頂いたのである。
一消費者の、たった1本のワインに対する対応として、非常に誠意のあるものと考える。
このように、ドメーヌに直接出向いて消費者の感想や意見を直接伝えていただくことが、
日本のワイン市場にどれほど有益であるかは、言を待たないであろう。

わたしとしては、まったくクレーマー冥利に尽きると言うべきだが、
T氏からの報告を、ここに公開するのが消費者であるわたしの責務と考えるので、
以下に引用して記載するとともに、今回のファインズの対応について、心から謝意を申し上げたい。

(以下原文のまま)
先達っては弊社取扱い商品「ドメーヌ ルネ・ルクレール グリオット・シャンベルタン 1998」に
関しまして、大変ご迷惑をお掛けしました。

その後、クルティエを通じて生産者とのコンタクトを取っておりましたが、なかなか埒があかず
先日、弊社担当者がブルゴーニュの生産者を訪問の上、直接事情を聞いて参りましたので
改めてご報告させていただきます。

1998年においては、当該製品は228L入りの樽で8樽分が生産されました。
コラージュ(清澄化)、フィルター処理(濾過)は一切行わず、1樽あたり10mlの亜硫酸を
使用しています。

上記8樽のうち7樽は計3回のスティラージュ(澱引き)を経て、アッサンブラージュ用の
タンクに集められました。

残りの1樽分は発酵タンクからワインを直接抜き出し、新樽に詰められました。
樽熟成後、この樽はそれまでスティラージュを行っていないため、底に沈んだ澱が他の樽より多く、
より慎重に樽を傾けワインを取り出さなければなりませんでしたが、ルクレール氏によると
その年(’98)は誤って他の樽と同様に扱ってしまい、アッサンブラージュ用のタンクに澱を
含んだままワインが混入してしまった可能性が高いとのことでした。

もちろんアッサンブラージュ後にも試飲をしたそうですが、その際外観上も含め香味に
異常が認められなかったため、例年通り、濾過を行わずに瓶詰めを行ったそうです。

以上のとおり、誠に申し訳ありませんが、griotte様のご推察の通り、生産工程で
澱の多く残っている新樽1樽の取扱いを誤ったことが、きわめて澱の多いワインが
出荷された主原因だったと判断されます。

今回の事故発生に関して厳重に注意をするとともに、再発防止のための対策を求めたところ、
ルクレール氏から、「ワインの自然な風味を残すためにフィルター処理を行わないというポリシーは
変えることはできないが、澱引き時にはより一層の注意を払うことを約束する。」と確約を得るとともに
「お客様には心よりお詫び申し上げたい。」とのことでした。

また、今回のような澱が混入したボトルの出荷先が日本に集中しているか否かに関しては、
作業の工程上、特定のボトルを特定の出荷先に仕向けることは難しく、断じて日本市場を
軽視したり、侮辱したりすることは決してない。それどころか日本市場は重要な市場である
との認識でいる、ということを強調されていました。

griotte様からのご指摘に対し、改めて感謝致しますと共に、良い製品を良い品質の状態で
お客様にお届けするべく弊社としましても継続的に努力して参る所存ですので、今後ともよろしく
ご指導の程お願い申し上げます。

コメント

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1 ■こうありたいブログの正しい形

私も飲食店のサービス向上に携わるものとして、このブログは欠かさず読んで勉強しています。

今回のこの記事に関して非常に感銘を受けましたのでコメント書きました。

事の経過は読みました。今回のことを見通した筆者のワインに対する姿勢に感銘すると同時に、それにたいして真摯に対応したインポータの姿勢にも感じ入りました。

しかし、私が一番素晴らしく感じたことは、こうしたことの経過を載せたことです。

ブログはまだまだ発展途上だと思いますが、書く人も読むほうもこうしたコミュニケーションをブログで展開できれば、ある意味でブログの正しい方向を示す一つの形でないかと思っています。

今後もワインの記事楽しみにしています。

2 ■ysfさんこんばんは

過分なお褒めを頂き恐縮です。
わたしも含めてワイン飲みは、1本1本のワインとの出会いを大切にしていると思うのです。
ワインは農産物であり、しかも収穫後何年もしてから開栓しますので、
不良ワインであった場合など、どこに問題があるのか分かりにくいという問題があります。

今回のワインは、出荷後の経緯や保管状態まで明らかにされ、インポーターの姿勢まで
明らかになって、わたし自身もたいへん勉強になりました。
同時に、このファインズというインポーターの姿勢も、非常に信頼に足ることが分かったことも
収穫でした。
これはただの独り言のブログですが、何かのお役に立っているとすれば、望外の喜びです。

3 ■勉強させていただきました

コミュニケーションというものは
すべからくかくありたいものです。

素晴らしい♪

4 ■どうも

UTAさん、恐縮です。
このT氏は、電話でも非常に感じのよい方で、このブログも読んでいただいている、
とのことでした。
やっぱりどの分野でも、信頼関係が重要であると思います。

5 ■ご報告

お久しぶりです。
今日は怖い夢を見て、朝五時から眠れなくなりました。
昨日飲んだワインのご報告です。
先日賞賛されていたプリューレロックの99クロデコルヴェを何とか入手して、お店に持ち込んで飲みました。

正直、だめでした。最初は小さいグラスで出されたので、変更しましたが、今思えばあれはお店の正しい選択だったか・・・2時間経ってもそれほど開かず・・・3時間後の最後の一杯は枯れてました・・

どうもビンテージだけの問題でも無いような気がします。

万円するのに本当に博打ですね、ブルゴーニュは・・・
去年ここで持ち込んで飲んだパカレ2003ポマールのプルミエは凄まじかったのになあー。と思い出しました。

6 ■maedaさんこんにちは

そうでしたか、ご報告ありがとうございます。
わたしも六覚燈で99を飲んだあと、1本だけ手に入れました。
ついでに2000と01も購入しましたが、00は先日書いたように、まるで冴えませんでした。
やはりボトル差が大きいのでしょうかねえ・・
わたしが1万円以上ブルゴーニュをあまり開けない最大の理由は、ハズレが多すぎることです。
まったく、何とかならないものでしょうか。

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