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白鵬、耐え抜いて号泣3場所連続全勝V

 優勝力士インタビューで涙をこらえる横綱白鵬=愛知県体育館
 優勝力士インタビューで涙をこらえる横綱白鵬=愛知県体育館

 「大相撲名古屋場所千秋楽」(25日、愛知県体育館)

 横綱白鵬が大関把瑠都を上手投げで退け、年6場所制となった1958年以降、史上初の3場所連続全勝優勝を果たした。相撲存亡の危機に見舞われた場所で、一人横綱の重責をまっとうしたことで、表彰式では思わず号泣した。初場所14日目から続く連勝は「47」に伸ばした。秋場所(9月12日初日、両国国技館)で、昭和以降では歴代2位の連勝記録となる千代の富士の53連勝の更新を目指す。

  ◇  ◇

 せきを切ったように、涙があふれた。白鵬が人目をはばからず、土俵上で号泣した。

 史上初の3場所連続15戦全勝優勝を果たし、迎えた表彰式。土俵に上がる前から、横綱は顔をくしゃくしゃにして泣いていた。天皇賜杯はない。外部表彰もない。賞状と優勝旗授与だけの表彰式は、わずか1分余りで終了した。

 直後の優勝力士インタビュー。開口一番、涙声で「うれしいです」。続けて「一番うれしいのは、今場所15日間、応援してくれた名古屋の皆さまに感謝です」と声を震わせた。「大変な場所でしたが、心と体を一つにして頑張ってきました」。苦しい胸の内を、初めて明かした。

 野球賭博問題で揺れに揺れた名古屋場所を、一人横綱は圧倒的な強さで駆け抜けた。前日に15回目の優勝を決めていたが、千秋楽の一番まで全力を尽くした。怪力の把瑠都と右四つがっぷりに組み合い、最後は力ずくの上手投げ。15日間白星を並べることで、来場してくれた大相撲ファンに感謝の気持ちを伝えた。

 通算の連勝を47まで伸ばし、場所中に大鵬の45連勝を超えた。「こういう場所で残念。でもこういった場所は二度とないと…」。言葉を詰まらせた横綱に、ファンから温かい拍手が降り注ぐ。「この国の横綱として、力士の代表として、賜杯だけはいただきたかった」。恨み節でも、批判でもない。大相撲を愛する者の素直な思いを吐露した横綱に、館内は大歓声で賛同の意を示した。

 支度部屋に戻ると、長女・愛美羽ちゃんと長男・真羽人くんが駆け寄った。パパに戻った白鵬の顔に、ようやく笑みがこぼれた。

(2010年7月27日)





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