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サッカー:南アフリカW杯 日本、8強逃す PK戦、パラグアイに苦杯

【パラグアイ・日本】PK戦で敗戦が決まり、悔しそうな表情を見せる日本の選手たち=南アフリカ・プレトリアのロフタス・バースフェルド競技場で2010年6月29日、佐々木順一撮影
【パラグアイ・日本】PK戦で敗戦が決まり、悔しそうな表情を見せる日本の選手たち=南アフリカ・プレトリアのロフタス・バースフェルド競技場で2010年6月29日、佐々木順一撮影

 ◇堅守、120分耐え

 【プレトリア野村和史】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、4大会連続4回目の出場となる日本は29日、当地のロフタス・バースフェルド競技場でパラグアイと対戦。延長でも0-0で譲らず、今大会初のPK戦(3-5)の末敗れ、惜しくも初の8強進出は果たせなかった。

 日本は前半、大久保(神戸)や松井(グルノーブル)がシュートを試みるなど積極的に攻めたが、無得点。守ってはGK川島(川崎)が再三セーブする場面もあった。後半は互いに決定力を欠いたが延長戦でも0-0で譲らなかった。

 日本の過去最高成績は02年日韓大会の16強で、当時は決勝トーナメント1回戦でトルコに0-1で敗れた。2度目の挑戦も実らなかった。勝ったパラグアイは初の8強入り。7月3日(日本時間4日未明)の準々決勝で、スペイン-ポルトガル戦の勝者と対戦する。

 今大会の日本は、1次リーグE組を2勝1敗の2位で突破。4大会連続8回目の出場となるパラグアイは同F組を1勝2分けの1位で通過した。

 ◇見えた戦うスタイル

 あと一歩届かなかった。ベスト8への壁は厚かった。それでも今大会、日本はW杯史上初めて、自国開催以外で決勝トーナメントに進んだ。これまでの試合を通し、日本が世界で戦うためのスタイルは、見えてきた。

 貫いたのは、1次リーグの3試合と同じ戦い方だ。華麗な足技を持つ松井が、それを封印して必死にボールに食らいつく。相手のシュートに中沢(横浜マ)は滑り込んで体をぶつける。主導権を握り、パスワークで崩すような上品さは、そこにはない。ボール際に厳しく詰め、1人がかわされても2人、3人と駆け寄り、相手との個々の力量差を埋める。その泥臭さを生むのは、運動量と俊敏性という、日本人が世界に対抗しうる部分だ。

 岡田監督は試合前日、これまで幾度となく繰り返した言葉を口にした。「レンガを上に積んでいくと、必ずどこかで倒れる。どこかで横に積まなきゃいけない時がある」。それは、日本サッカー界全体の歩みを表現したものだ。

 日韓共催となった02年大会。チームに規律を植え付けたトルシエ監督の下、決勝トーナメントに進んだ日本代表は、どこか満足感に支配されていた。決勝トーナメント初戦。1次リーグと選手を入れ替えて臨んだ結果は、敗戦だった。

 数々の苦い経験から導き出されたものが、日本らしさを前面に打ち出す今の戦い方だ。ただ、この戦いを貫いたからといって、毎回のように決勝トーナメント進出が保証されるわけではない。岡田監督は「確実にサッカーのレベルが上がってきたかというと、慎重に考えないといけない」という。オランダ戦で見せられた「個」の力の差。選手個々の力がなければ、チーム全体の力は大きくならない。

 前任のオシム監督は選手に「休むな」と言い聞かせた。その言葉は日本サッカー全体へのメッセージでもある。敗れた。だが、まだ立ち止まる時ではない。【江連能弘】

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 ▽決勝トーナメント1回戦(プレトリア)

日本 0 0-0 0 パラグアイ

     0-0

     0-0

     0-0

   PK3-5

毎日新聞 2010年6月30日 東京朝刊

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