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【口蹄疫】移動制限を完全解除 初動の遅れ、国と県の対立…3カ月で大きな犠牲 (1/3ページ)
口蹄(こうてい)疫問題で、宮崎県は27日午前0時、県内最後の宮崎市の発生地を中心とした家畜の移動制限を解除した。完全解除までに約3カ月を要した口蹄疫。初期には対応が遅れて被害が広がり、終盤には民間種牛の殺処分をめぐり国と宮崎県が対立するなどドタバタ劇の連続だった。経緯を振り返りながら、大きな犠牲の教訓を探った。(高橋裕子)
■初動で明暗
最初の感染疑い例が確認されたのは4月20日。だが、農林水産省の疫学調査チームの調査で、20日時点で少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたことが判明。結果的に約1カ月間もウイルスが野放しになっていたとみられる。実態が分からなかった初動で、県が設置した車両の消毒ポイントは4カ所。畜産関係車両を対象に消毒薬を吹きかける方法だった。感染は幹線道路沿いにジワジワと拡大した。
一方、感染を1カ所で抑えた都城市は感染前の4月22日以降、県の消毒ポイント以外に市独自に9カ所を設置。市内での感染発生後はすぐに4カ所増やし、対象を全車両に拡大した。初動の消毒の徹底で明暗が分かれたともいえる。
初動など都道府県の防疫の最前線に立つのは「家畜保健衛生所」だが、九州で畜産の盛んな鹿児島県に6カ所、熊本県に5カ所あるのに対し、熊本県の2倍以上の畜産産出額を誇る宮崎県には3カ所しかない。
疫学調査チームは「都道府県は今後に備え、発生時に大量の人材・資材を投入するための体制構築に努めること」と提言している。