注意書き
ガンダムSEED_DESTINYの続き物です。
オリキャラが割と脈絡なく出てきます。
キラが主役(の予定)の物語(予定)
物を書くのははじめてなので、更新が遅いです。
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ガンダムSEED_DESTINY_if_遥か彼方の世界へ
プロローグ
CE73、ブレイク・ザ・ワールドと呼ばれるコロニー落下テロ事件が世界を激震させた。このテロ事件を切欠として、世界中が戦渦に巻き込まれ、各地では様々な悲劇が起きては消えていった。そうして時間がたつうちに、やがて世界中を巻き込んだ戦いの火は少しずつ小さくなり現在一端の終結を見せ、世界は表向き落ち着きを取り戻しつつあった。しかし実際には、各地に刻まれた戦争の爪あと、ニュートロンジャマーの影響によるエネルギー不足、ロゴスの消滅による経済的混乱など、さまざまな問題が未だ解決しておらずその影響は地球上の大多数の国に及んでいた。その中でも最も重大な問題はエネルギー不足による貧困の拡大だ。特にひどい地域では、限られたエネルギーの奪い合いから、小規模ながらも幾つかテロ事件まで発生している。
各国は戦争の因であった連合とプラントに対して強い不信を抱いており、このまま手をこまねいていては両国にとって後々厄介なことになるであろうことが予想できた。そのため、この件に早急に対応するためプラントと連合の間で幾度も会談が行われた。その結果、両国は火星のオーストレール政府に接触するという結論に行き着いたのだった。
火星には地球では希少なニュートロンジャマーキャンセラーのベースマテリアル、その鉱脈が存在している。また、火星はレアメタル鉱脈こそ多いが、水や食物の供給が困難な過酷な土地も多く、支援を必要としていた。そこで、両国は火星の開拓、様々な技術提供と引き換えに、ニュートロンジャマーキャンセラー製造協力の約束を取り付けたのだ。
ニュートロンジャマーキャンセラーが主要都市部に行渡れば、当面のエネルギー不足に関しては対応することできる。両国はお互いが牽制しつつも、各国流動量や名義を公表しベースマテリアル産出管理を火星側が行うというという条件の下、ニュートロンジャマーキャンセラーの作製が開始された。火星に大きな借りを作ることになったが、これでエネルギー不足の問題は一応解決の目処が立つことになったのである。
両国はまず、地球と火星の長距離移動可能な手段の構築に取り掛かった。本格的に火星に人、物、技術などの支援を行うため、またニュートロンジャマーキャンセラーのベースマテリアル等のレアメタル大量運搬のためである。
当初、オーストレールをはじめとする火星政府との会談時の際には、ニュートロンジャマーの影響が低いレーザー通信を行っていた。しかし実際に現地に赴くことの出来ない現状では、ベースマテリアルの確保にも支援にも十分対応できるとは言えなかった。そこで、プロト・ジェネシスと呼称される以前からも開発が進められていた幾つかの宇宙船加速器を改修し、物資運搬を行おうという案が出され、火星と地球、双方の宙域に2基の大型加速器《ジェネシス・ロード》の設置を決めたのだ。
かつての殺戮兵器ジェネシスは本来の加速器ジェネシス・ロード(新世界への道)としてその役割を果たすこととなったのだった。
こうして始まった火星と地球の関係だが、ここから更にいくつもの波紋が生まれることとなった。
一時的なエネルギー不足解消により、さらに拡大していく宇宙開発関連業。
より高性能な加速器を、より大量輸送可能な宇宙船を、と次々大型の長距離輸送船が登場し、火星との交流が少しずつ活発化していく。
それにともなう経済の活発化と新たに職を得る人々。
火星という苛酷な環境のなか、互いに手を取り合うナチュラルとコーディネイター。
未知の資源を求めて火星へと足を伸ばす企業。
人々の目は今、火星、そして宇宙という新たなフロンティアへ向けられている。
*
カチャカチャと音の響く薄暗い部屋。
部屋の中には複数の男がおり、そのうち何人かは先ほどから銃器をいじっている。
光源の弱さ以上にその場の雰囲気が部屋を暗くしているように感じられる。部屋の中は、誰一人眼を向けていない備え付けられたTVから漏れる女性ニュースキャスターの声のみが響いていた。
「……そのため、火星と地球は手を取り合うための一歩目として合同会談が開かれることになりました。困難はまだまだ残されているでしょうが、世界は新たな一歩を踏み出すこととなったのです。」
そのニュースを聞いてはいたのだろう、暗がりの中の一人がピクリと肩を動かした。
「何が、新たな一歩だ……。今まで火星の状況に見て見ぬ振りをしてきた奴らが、今頃になに言ってやがる!」
喋ることで更に怒りが募ったのか、男は肩を震わせ握りこんだ手を振り下ろした。
「地球に見捨てられた火星の民は、これまで苦難も自ら乗り越えてきたんだ。一番苦しいときは一切眼も向けなかったくせに、軌道に乗り出したとたんに口出ししてくる! オーストレール政府も役に立たない! 奴らがやってるのは結局俺達から自由を奪うだけだ!!」
徐々にヒートアップしていくこの男が鬱陶しくなったのだろうか、暗がりの中、更に一人が静かに体を起こした。
「落ち着けサーロ。なにも的外れではあるまい。」
「ぁあ?!」
食って掛かるサーロと呼ばれた男とは対照的に、静かに佇む新たな男のこけた頬には笑みがを浮かんでいる。
「火星と地球が手を結ぶのに、我々という《困難》が残されていること、我々によって世界が《新たな一歩》を踏み出すこと、まさに言葉通りだ。」
サーロは痩身の男が放つ迫力に押されて、勢いをなくしていく。
「レメナントゥスで行われるマーズ・テラの合同会談。そこにはオーストレール政府の首相ブラーフ・ラマン、プラント議長ラクス・クライン、地球連合代表グロースタ・ローリン、世界の3勢力の代表がそろう……。我々のデモンストレーションには相応しい状況じゃないか。」
尚強くなる笑みと対照的に瞳の中に浮かぶ炎。
痩身の男が浮かべているのはまさしく狂信者の笑みだった。
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あとがき
今回はSEEDのキャラは一人も出ていません。プロローグなので。
次回はキラが登場(予定)です。