防災ヘリ墜落:5人死亡、2人無事 遭難者救助中 埼玉

2010年7月25日 18時30分 更新:7月26日 0時7分

墜落した防災ヘリ(下)の上空を飛ぶ航空自衛隊ヘリ=埼玉県秩父市で2010年7月25日午後3時36分、本社ヘリから尾籠章裕撮影
墜落した防災ヘリ(下)の上空を飛ぶ航空自衛隊ヘリ=埼玉県秩父市で2010年7月25日午後3時36分、本社ヘリから尾籠章裕撮影
墜落事故現場
墜落事故現場

 25日午前11時ごろ、埼玉県秩父市大滝の奥秩父山系ブドウ沢で、7人が搭乗した同県防災ヘリコプター「あらかわ1」が、滝つぼに転落した女性を救助中に墜落した。パイロットとレスキュー隊員、消防隊員の計5人が死亡し、残る2人は無事だった。国土交通省運輸安全委員会は調査官3人を現地に派遣、事故原因の究明を始めた。女性も病院で死亡が確認された。

 防災ヘリは、県が「本田航空」(埼玉県川島町)に運航を委託。パイロット2人と県防災航空センター防災航空隊員(レスキュー隊員)3人、秩父消防本部の消防隊員2人の計7人が乗っていた。

 死亡したのは▽機長、松本章さん(54)=埼玉県桶川市▽副機長、西川真一さん(32)=同▽レスキュー隊員、中込良昌さん(42)=同県狭山市▽同、戸張憲一さん(32)=同県鳩ケ谷市▽消防隊員、大沢敦さん(33)=秩父市--の5人。レスキュー隊員の太田栄さん(36)=同県川口市=と消防隊員の木村準さん(38)=秩父市=に大きなけがはなかった。女性救助のため、既にヘリから降下していた。

 県警秩父署によると、遭難した女性は、東京都勤労者山岳連盟の「沢ネットワーク」メンバー、小野千枝子さん(55)=川崎市=で、24日午後、仲間8人と沢登りをしていて滝つぼに転落した。携帯電話が通じず、仲間が25日午前8時半に110番し、あらかわ1は同9時40分ごろ、埼玉県中部にある県防災航空センター(川島町)を離陸し救助に向かった。小野さんを沢からつり上げるため、ホバリングをしていて墜落したらしい。現場に向かっていた県警ヘリが、先着した「あらかわ1」のものとみられる煙を発見、墜落を確認した。

 現場は埼玉と山梨県境にある笠取山(1953メートル)の北約1キロの「ブドウ沢」。国道140号「雁坂トンネル」の埼玉側入り口から南に約4キロの地点。気象庁によると、ヘリが墜落する前の午前10時40分ごろ、秩父地方に大雨、洪水、雷注意報が出た。熊谷地方気象台の観測では、墜落後の同11時半ごろ急速に雨雲が発達。担当者は「24日から県内の上空に寒気があり、地表付近の空気が温められると雲が発生しやすく、大気が不安定な状態だった」という。

 県消防防災課によると、あらかわ1は今月12~14日に100時間点検をしたばかり。松本機長は総飛行時間5254時間で、防災ヘリの機長歴も14年のベテラン。吉野淳一・県危機管理防災部長は「現時点ではヘリの故障とは考えにくい」と話している。【佐藤丈一、町田結子、岡崎博】

 【ことば】あらかわ1

 前機種の老朽化に伴い06年5月に導入された。フランス・ユーロコプター社製を10億9725万円(諸経費込み)で購入。全長13.73メートル、全幅11.94メートル、全高3.97メートル。巡航速度時速269~279キロ(最大速度時速324キロ)、航続時間4.1~4.3時間、航続距離827キロ。座席数13。機体下部の「全方位カメラ」の映像情報を機内のパソコンでモニターできる。高度医療機器も備えており、ドクターヘリとしても使用している。

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